働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

休憩時間の確保と有休の取得促進を行い、
美容室全店での売り上げも伸ばす!

有限会社エイジ

  • サービス産業
  • 広島市
  • 31〜100
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
認定マーク
所在地 〒731-0137 広島県広島市安佐南区山本1-8-15-101
URL http://www.prosol.co.jp/
業務内容 美容業
従業員数 65名(男性13名、女性52名)

(2018年7月現在)

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  • 休憩時間確保の取組を各店舗で工夫し、共有して全社で実施
  • 会議のチェック表を作成し、無駄の削減と短時間化を推進
  • 入社3年目まで100%、4年目以降12日以上の有休取得を推進
  • 次回予約の推進で、満足度向上とともに売り上げアップを達成

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取り組んだ背景とは? ~美容業界を魅力的な業界にするために決断

「一般的に美容室は、お客さまに業務が左右されるため、長時間労働のイメージがあり、働き方改革は難しいと思われがちです。そんな美容業界を魅力的な業界にし、美容師になりたいと希望する若者が増えるように、働く環境を整えたいと考えたのです。課題はたくさんありますが、少しずつ解決していきたいと思います」と、取締役部長の鳴本一也氏は取組のきっかけを話す。「この仕事は、休めば人員が減ることにより、売り上げも減少するんではないかと危惧しました」


取組導入のプロセス ~部署横断的なプロジェクトチームが取組を先導

2017年、広島県が実施する外部視点アドバイス事業に参加し、専門のアドバイザーが、入社1~5年目、店長、役員など、さまざまな立場の従業員に会社の課題についてヒアリングを行った。その結果、「制度はあるが従業員に周知されていない」「現場と経営陣の思いにギャップがある」ということが分かった。そこでこれらの課題解決のため、社長や鳴本氏を含めさまざまな立場の従業員を集めた部署横断的な「働き方改革プロジェクトチーム」を結成。月に一度、会議を開き、取組の進捗状況や今後の取り組むべき方向性などを話し合って、目標に向かって進める体制をつくった。


主な取組と工夫点 ~会社・従業員・お客さまの協力と理解で取組を推進

休憩時間確保の取組を各店舗で工夫し、共有して全社で実行

従業員一人一人が安全かつ健康的に働くため、そしてより効率よく働ける意識や環境づくりを目的に、1時間の昼休憩時間の確保に取り組んだ。店舗によって、従業員の数や顧客の状況が違うため、まず従業員にアンケートを採った後、店舗ごとの取組を2018年4月から試行し、同年8月から本格的に実施した。具体的には、「朝礼時に休憩を取る時間をスタッフ全員で共有し、声掛けを実施する」「各従業員の休憩時間をあらかじめ避けて予約を取る」など工夫し、試行期間中は毎月の全体会議で店舗ごとの状況を発表し、お互いに情報交換しながら他店の取組も取り入れていった。全店が取組をプレゼンするコンテストも実施し、優秀な取組は表彰するなど良い取組が広がる工夫を行った。
「最終的には、昼の1時間に店舗を閉めることも検討しています。予約管理などの仕組みづくりをすることで、みんなが同じ時間に一斉に昼休憩を取れる。そんな美容室の新しい常識をつくっていきたいです」と鳴本氏。

会議のチェック表を作成し、無駄の削減と短時間化を推進

取組前のアンケート結果から、会議の頻度や時間の長さに対する課題が出た。そのため定期的に実施している全ての会議名、会議内容、所要時間を再確認した。さらに会議を進める上での「開始時刻、終了時刻が定まっていない」「話し合う議題を全員が把握していない」などという問題点も洗い出した。これらの問題に対して、会議を行う際のチェック表を作成し、事前に精査することで、無駄を削減した。全体会議の開始時刻もはっきりと定め、時間を守るよう周知を徹底した。
「あらかじめお客さまの予約を調整して、会議開始時刻に合わせて効率的に働き、会議に参加するという流れになってきました。途中で脱線して長くなりがちだった会議も、従業員の意識が変わって、1時間ぐらい短くなりました」と、鳴本氏は効果を実感している。

入社3年目まで100%、4年目以降12日以上の有休取得を推進

有給休暇を取りにくい雰囲気があったため、2018年4月より、入社3年目までは有給休暇を100%取得、4年目以降は12日以上の取得を推進した。原則1週間前までに店長へ申請することが条件だが、「具体的な調整は、店長に任せています。予約や従業員の状況を見極めて、うまくやりくりしてくれています」と鳴本氏。
さらに月曜の定休日にプラスして、新たに第3日曜日を定休日に制定した。有給休暇と合わせての連続休暇が可能になり、従業員のモチベーションが上がった。生産性の高い仕事への意識にもつながり、従業員アンケートでも喜ぶ意見が多数あった。

次回予約の推進で、満足度向上とともに売り上げアップを達成

「お客さまの来店頻度や予約方法などを確認して、次回の予約をご提案するよう取り組んでいます。キレイを維持するには、次はこの日に来ていただきたいという思いがあります。お客さまへの気配りを忘れないことが満足度の向上や、私たちのサービスの価値を高めていくことにつながります。その結果、予約が埋まれば、休憩時間も有給休暇も計画的に取れるようになります」と鳴本氏。
こうした次回予約の推進は売り上げにも貢献し、有給休暇の取得や定休日を増やしても、売り上げの前年比超えを全店で達成できたという。電話対応や新規のお客さまのカウンセリング、スタイリストとのマッチングなどを行うビューティーコーディネーターが次回予約の取り組みを加速させ効率化を図りながらお客さまとの関係を密にし、お客さまの満足度をさらに高めている。


取組の成果

休憩時間に対する従業員同士の気配り、譲り合いなど、お互いに気遣うコミュニケーションが増え、職場の雰囲気が良くなってきている。有給休暇の積極的な取得や連休を取りやすくなったことで、旅行で見聞を広げたり、自分のスキルを高める時間をつくったりと、従業員が多様な過ごし方をするようになり、お客さまとの会話もさらに弾むようになっているという。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)176.0時間
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得率 43.6%、平均取得日数8.7日


従業員からの評価

「2018年4月入社の半年後、10月に初めての有給休暇を取得しました。店休日の月曜日と絡めて連休にして、実家の祖父母に会いに行ってきました。次の有給休暇は三連休にして、友達と旅行に行きたいです。休憩時間は1時間きちんと取れていて、昼食やリフレッシュの時間に使っています。他の美容院でのアルバイト経験もありますが、この会社に就職して働きやすさに驚きました」と、Rita(店舗)勤務の渡邊さんは喜ぶ。


今後の目標など

「今後は入社したくても入りにくい会社になることが目標です。単に休みが多いから入社したいというのではなく、うまく時間を使って自分が成長でき、自信を持って仕事ができる環境があるから入りたいという会社です。まずは半歩先一歩先を見据えて、私たちが働き方改革に積極的に取り組むことで、美容業界全体の底上げにもつながればよいと思います」と、鳴本氏は締めくくった。

取材日 2018年10月