働き方改革優良事例

思い切った営業時間の変更で残業を削減し、
新人研修の見直しで離職率も改善

広島トヨペット株式会社

  • 卸売業・小売業
  • 広島市
  • 301以上
  • 推進体制(経営者)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
  • 多様な人材の活躍
認定マーク
所在地 〒733-0031 広島県広島市西区観音町7-8
URL https://www.h-toyopet.com/
業務内容 自動車・用品・情報通信機器販売、修理・点検整備、損害・生命保険代理店
従業員数 644名(男性588名、女性56名)

(2018年10月現在)

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  • 店舗の営業時間の思い切った見直し
  • 有休の計画付与と誕生日有休キャンペーンで休みやすい雰囲気づくり
  • 手厚いフォロー研修で若手の離職を軽減
  • 時間意識を高めるための朝礼・終礼を励行
  • 異動や要望を申し出る「チャレンジシート」でモチベーションアップ

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取り組んだ背景とは? ~長時間労働が当たり前の風土からの脱却を目指して

広島県内に40店舗を構え、トヨタ新車・中古車の販売、修理、点検整備などを中心に取り扱う同社。「当社は販売会社であるため、かつては成果が出るまで働くという風土があり、長時間労働が当たり前のように行われていました」と総務人事部主査の峯山龍夫氏は話す。このままでは、人材が集まらないばかりか離職も増えるとの危機感から、働き方改革への取組を始めた。


取組導入のプロセス ~トップダウンで意識改革からスタート

長時間労働が当たり前という従来の固定概念を払拭して、仕事と家庭の両立を目指すという方針をトップメッセージとして発信。毎月の定例会議や店長会議などで、管理職へ頻繁に啓発し、全従業員へ波及させた。
「折しも現在の社長就任と時期が重なっていたのですが、社長が積極的に取組を推進するよう指示したことで、自由で活発な意見が現場から上がるようになり、働き方改革に全員で取り組もうという風潮になってきました」と、総務人事部次長の伊藤泰雄氏は話す。


主な取組と工夫点 ~営業時間の変更や有休キャンペーンなど多彩な施策

勤務時間に応じた店舗の営業時間を設定

以前は、ショールームの営業時間が9:40〜19:30で、整備の対応時間は9:40〜18:20だった。一方で同社の営業職の勤務時間は19:45までで、技術職や事務職の勤務時間は18:30までとなっている。従業員の勤務開始・終了時間とショールーム営業時間の前後に余裕がなく、早く出勤して開店準備を行うことや、店を閉めてからも残業することが常態化していた。そこで2018年9月よりショールームの営業時間を再検討し、10時~18時に変更したところ、残業が削減され、効率よく開店準備や閉店後の処理も行えるようになったという。
「最初は、現場の店長からお客さまが不便になるのではないかといった反発がありましたが、だんだん浸透していき、お客さまにも理解していただけるようになりました」と峯山氏は語る。「子どもを幼稚園に連れて行ってから出社できるようになり、妻が楽になったと喜んでいる」といった報告も受けているそうだ。

計画有休と誕生日有休キャンペーンを実施

休暇を取ると他の従業員に迷惑がかかると考えがちで、有給休暇が取りづらい環境とともに、有給休暇は何か特別な事情があったときのために残しておくものという意識が社内に根強くあった。そこで有給休暇の取得を促進するため、計画的付与をスタート。キャンペーンという形で、年に3日もしくは2日の計画有休と、誕生月の誕生日有休の取得を推進したことにより、従業員の取得への抵抗感が減りつつあるという。

毎月1回、1泊2日のフォロー研修で離職を軽減

新入社員の定着が課題であったことから、2014年から入社1年目の従業員全員に入社時の研修に加え、毎月1回、1泊2日のフォロー研修を実施している。この研修では職場での失敗談や成功例、先輩との人間関係などを本音で話し合うことに主眼を置く。その結果コミュニケーションが密になり、同期の結束力が強まり、離職率は改善した。「“この研修があったから、今の自分がある”という意見を多く聞き、いい方向性に向かっていると感じます」と、人財開発部課長の矢野氏は手応えを話す。

時間意識を高めるため、朝礼・終礼を励行

10年ほど前から毎日、朝礼・終礼を各店舗で実施している。「最近は、さらに中身の濃いものに変わりました。例えば終礼時に『その残業は緊急を要することではないから、今日は定時で帰って、明日その業務を行ってください』と店長がアドバイスするなど、従業員の残業削減への意識が高まってきています」と峯山氏。

異動や要望を申し出る「チャレンジシート」

1年に1回、全従業員が「こういう職種に挑戦したい」とキャリアアップや異動を申し出るチャレンジシートを作成している。従業員のモチベーションアップと、自分のあるべき姿を常に考えながら仕事をしていく姿勢につながっている。異動などの希望だけでなく、会社への要望も多く上がっており、会社の制度を見直すきっかけにもなっている。例えば、福利厚生面では、整備士が着用する作業着のクリーニング代手当、営業が自家用車を使った場合の手当などが、このチャレンジシートから生まれているという。

65歳以上の従業員が働きやすい環境整備

65歳以上になっても、働きたい意欲のある従業員には、1年更新で継続雇用を行っている。現在は69歳が最高齢だが、以前は70歳の従業員が働いていたこともあるという。「今後は1週間当たりの勤務日数を少なくすることや、朝型と夜型に分けて勤務時間を少なくするなど、さらに多彩な働き方の検討を始めています」と伊藤氏は話す。


取組の中での苦労点

「店舗の営業時間を変更した時、現場から『開店準備で忙しい時に、それまで通りに電話がバンバンかかってきて困る。本部は時間変更の影響のことまで考えてやってくれないと現場はどうしたらいいんだ』と、苦情がたくさん上がってきました。働き方改革というアドバルーンを揚げれば終わりではなく、それに付随してやるべきことが出てきます。それを一つずつ解決していくことで、改革が実現するのだと痛感しました」と峯山氏。


取組の成果

「残業時間が減るだけでなく、従業員が時間を意識して、メリハリを持って働くようになってきています。そして、みんなが生き生きと働いている姿が、お客さまを呼ぶと思います。営業時間を短縮しましたが、業績は下がっておらず、現状維持もしくは良くなっています」と伊藤氏。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)が179.6時間

若年者(直近3年間)

・入社3年以内の離職率13.6%(2014年)が9.3%(2018)に改善


従業員からの評価

「産休・育休を2回取り、今は1時間の時短勤務です。子どもが急病のときなど、休みを取りやすく、助かっています。仕事量の配慮や、私が不在の場合のフォロー体制も整えてもらっています」と経理部の谷山さん。経理部部長代理の酒屋さんは「不要な仕事の見直しやマニュアルの共有化などに取り組んでいるため、以前より残業はずっと減りました。私は経理部全員の誕生日をメモしていて、全員が誕生日有休を取れるように配慮しています」と語った。


今後の目標など

「社会や個人の価値観は変わっていきますが、それに対して従業員あるいは会社そのものがどれだけ変化・対応していけるかが重要になってきます。変化していくためのアプローチは無限にあると思います」と伊藤氏。
「会社が存続するためには、時代の流れに沿いながら、従業員の雇用も守りつつ、お客さまの支持を失うことなくやっていかなければなりません。働き方改革が名ばかりではなく、中身の伴った実のあるものにしていきたいと思います」と矢野氏。
「私は、まだまだ従業員の時間管理は課題と感じています。限られた時間で成果を上げる方法を、全従業員が自分たちで考えて、一丸となって実現するのがベストではないでしょうか」と、峯山氏は締めくくった。

取材日 2019年1月