働き方改革優良事例

生産性向上を目指し、ITツールを積極的に導入
多様性に対応した働き方で満足度を高める

Sen社会保険労務士法人

  • サービス産業
  • 広島市
  • 1〜30
  • 推進体制(経営者)
  • 長時間労働の削減
  • 時間・場所等の多様な働き方
認定マーク
所在地 〒730-0037 広島県広島市中区中町7-41広島三栄ビル4F
URL https://romu-kanri.com/
業務内容 人事評価制度策定、給与計算等のBPO
従業員数 14名(男性6名、女性8名)

(2018年10月現在)

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  • 定型的な事務作業を自動化するRPAを導入
  • チャットワークを使って、時間に拘束されず情報共有
  • マニュアルは質問した本人がつくり、みんなで修正を加えて更新
  • 定期的にワークエンゲージメントを測定し、改革の浸透度や効果を確認
  • 「在宅ワーク」や「短時間正社員」など、個人の事情に応じた制度

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取り組んだ背景とは? ~会社の成長に伴い、従業員の要望を元に働き方を見直し

「創業して10年少々ですが、当初は売り上げを確保することに一生懸命で、働き方にまで目が向けられませんでした。従業員が増えてくるにつれて、従業員から『労働時間を短くしてほしい』などの要望が出てきて、一人一人と向き合って働き方を考えていくようになりました。一方で私たちの仕事自体が、働き方改革を推進していく立場なので、わが身を持ってやっていかなければと思ったことも大きなきっかけです」と、代表社員の石山洋平氏は振り返る。


取組導入のプロセス ~生産性を上げ、属人化の抑制を目指す

「単に有給休暇の取得を増やし、残業を減らした場合、企業はそれまで通り存続できるのか?というと、それは難しいでしょう。目指すところは何かというと、生産性を上げることに他なりません」と石山氏。働き方改革を進めるに当たって、まず短時間で売り上げや利益を確保できるように、生産性の向上に取り組んだ。さらに、仕事が属人化していることも生産性向上の阻害要因の一つと分析。個人の主観が持ち込まれた属人的な仕事は非効率な部分が多々あるため、マニュアル等をつくるとともに、ITツールを積極的に導入した。「総労働時間を10%削減し、5年後に1時間当たりの売上高(粗利)4000円を達成する」という目標を立て、取組を進めた。


主な取組と工夫点 ~ITツールを駆使して仕事を効率化

定型的な事務作業を自動化するRPAを導入

同社では、定型的な事務作業をソフトウエアが代行・自動化するRPA(Robotic Process Automation)を、いち早く導入している。例えば、毎日行っているデータチェック・転記・グラフ作成といった一連の作業や、個別に集めていた情報を一つの管理シートに集計するといった作業をソフトが自動的に行うもので、作業時間の大幅削減が可能となる上、業務処理のエラーもなくなり効率性も向上。現在使用しているツールは、難しいプログラムが必要なく、研修を2日受けるだけで使えるようになるため、取り入れやすいという。「2018年にITの展示会で見つけ、面白いと思ってすぐに導入しました。今はまだ業務の一部に使っているのですが、費用対効果は高いと思います」と、石山氏は語る。

チャットソフトを使って、時間に拘束されず情報共有

「従業員間のちょっとしたお願いや聞きたいことは、チャット形式のコミュニケーションツールで行います」と石山氏。集まって打ち合わせや相談を行うと全員の時間を拘束することになるが、チャットであれば、個々人が手の空いた時に情報共有できるため、時間のロスを削減できるという。
「部署ごとにグループをつくっており、メンバーの一人がメッセージを残したら、全員が見られます。わざわざ時間を取るまでではないけど、ちょっと伝えておきたいといったことを気軽に共有できるので、話す機会が減るというより、逆にコミュニケーションが増えたという感じです」と、コンサルティング課の原田氏は話す。社外のお客さまともグループをつくり、時間に拘束されず情報共有を行うことで円滑に業務を進めている。

マニュアルは質問した本人がつくり、みんなで修正を加えて更新

「質問した人が回答をもらったら、その内容を記録するという方法でマニュアルを作成中です」と石山氏。マニュアルを整備するのは大きな負荷が掛かるが、教えられた本人が情報の整理も兼ねてアウトプットすることにより、理解も深まり、分かりやすいマニュアルができるという。質問したいことがあれば、まずマニュアルを読み、読んで分からなかったら追加で質問して、そのマニュアルを手直しすることで、より精度の高いマニュアルに仕上がっていく。社会保険の手続き方法から総務的なことまで多彩なコンテンツがそろい、動画でしか分からないことは録画してユーチューブで見られるように工夫している。「聞いた本人がつくり、みんなで修正を加えて更新していく、自然発生的なマニュアルで、どんどん増えていくという感じです」と原田氏も続けた。

定期的にワークエンゲージメントを測定し、改革の浸透度や効果を確認

従業員のワークエンゲージメント(仕事に対する満足度や意欲など)をクラウド上で定期的に測定するしくみを取り入れている。従業員にはパソコンに毎月10項目の質問が届くが、質問は、以前の回答に合わせてAIが判断した、一人ずつ異なる内容になっている。「個人は特定できませんが、理念の浸透度や従業員との関係性などを知ることができます。行った対策に対して従業員がどう思っているか、効果が出たかどうかの検証材料になりますし、従業員の変化に気付くこともできます。変化に気付かず物事を進めると、離職など取り返しがつかない事態に発展することもありますが、その前に気付いてアクションを起こすこともできます」と石山氏。

「在宅ワーク」や「短時間正社員」など、個人の事情を尊重する制度

個人の多様性を尊重するため、在宅ワークなどさまざまな制度を用意している。障害のある従業員は、体調が良い時は出社してもらうが、体調がすぐれない時は在宅ワークを可能としている。成果物は、チャットソフトで納品できる環境を整えている。保育園に通う子どものいる女性従業員の中には短時間勤務の正社員もいる。「希望する人があれば、在宅ワークも短時間勤務もどんどん活用していきたいです」と石山氏。

業務内容に応じて「フレックスタイム制度」を試験運用中

企業に対する業務が中心の同社は、土日は休日だが、一般のお客さまに対して障害年金の手続きなどを代行する部署では「フレックスタイム制度」を試験運用している。土日に対応してもらいたいというお客さまの声に応えて、土日に働き平日に休む。「最終的には営業の全部署まで広げたいと思っていますが、帰属意識の問題等も考えて、模索中です」と石山氏。


取組の中での苦労点

「基本的に失敗はありません。まず、失敗しかけたら見直しますし、うまくいきそうになかったら、うまくいかないのはなぜかという気付きがあります。気付きを経ることで新しい方法が導き出されますので、気付けて良かったと考えられます」と石山氏。原田氏は「システムを一気に入れたので、環境変化が大きかったです。従業員にも変化に対する負担は、あったと思います」と話す。


取組の成果

育児休業は、女性・男性従業員ともに100%取得している。「その人にしかできない仕事が多いと、有給休暇も育児休業も取りにくくなりますので、どう改善したらいいかを考えて取り組んでいます。属人化を脱却する上でも、改善に取り組む効果は大きいと思います」と石山氏。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)が169.2時間
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得率50.0%

育児(直近3年間)

・配偶者が出産した男性従業員(2人)のうち、育児休業を2人取得(100%)


今後の目標や目指す方向性など

「ワークエンゲージメントを1年見て、従業員の満足度の高い会社を目指せば、必然的に働き方改革になると思っています。また、自社にマッチした方法でやっていきたいと考えています。変化が早い時代なので、変化に対応する力を身に付けることが大切です。一般的に従業員は変化を嫌いますが、新陳代謝をしなければ、改革はうまくいきません。そのため、変化を受け入れる土壌づくりを長期的に、丁寧にやっていきたいと思っています」と、石山氏は締めくくった。

取材日 2019年1月