働き方改革優良事例

従業員を巻き込む3つの委員会を中心に
経営者も従業員も、楽しみながら改革を推進

株式会社マークスラッシュ

  • 製造業
  • 広島市
  • 1〜30
  • 推進体制(経営者)
  • 休暇取得の促進
  • 時間・場所等の多様な働き方
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒730-0806 広島県広島市中区西十日市町1-21
URL http://konomiya-gr.com/
業務内容 スポーツ用品マーク加工・洋服を中心としたリサイクルショップ
従業員数 24名(男性10名、女性14名)

(2018年10月現在)

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  • 3つの委員会の設置で従業員間の相互の協力体制を強化
  • 新たなコミュニケーションツール「社内報」の作成
  • 社内ルールブックの作成で業務を見える化
  • ユニークなネーミングの休暇制度で社内の関心を集める
  • ライフスタイルの変化に応じた、柔軟な働き方の提供
  • 男性従業員の育休取得促進に向けた声掛けの実施

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取り組んだ背景とは? ~新卒採用を機に取組のさらなる加速化を目指す

ユニホームへのマーク加工や、洋服の買い取り販売等を行う同社では、女性従業員も多く活躍している。そのため、「以前から女性のライフステージに配慮した働き方を模索し続けてきました」と語る、代表取締役の藤原克実氏。そうした背景から、同社では男女を問わず、働きやすい職場をつくろうという風土が自然と芽生えていた。一方で、5年ほど前から新卒採用を定期的に開始したこともあり、自社の取組を積極的に社外へ発信すると同時に、働きやすい職場づくりに向けて取組を加速化させようと、今回の働き方改革が始まった。


取組導入のプロセス ~3つの委員会を設置して、取組の推進体制を整備

同社では、まず無記名の従業員満足度アンケートを行い、その上で個別面談を実施し、従業員の具体的なニーズを洗い出した。その結果、「工場や店舗が離れているため、各職場との接点がない、一体感がない」「有給休暇が取りにくい」「業務の偏りがある」といった声が上がってきた。そこで藤原氏は、従業員から出た課題を解決するため、同社の働き方改革の取組の中心となる「働き方改革委員会」の他、「会報誌作成委員会」「社内ルールブック作成委員会」の従業員主体の3つの委員会を設置し、取組を進めていった。


主な取組と工夫点 ~時にはユーモアを交えて、楽しみながら改革を推進

3つの委員会の設置で従業員間の相互の協力体制を強化

前述の委員会は、各職場からの立候補によるメンバーで構成され、交流も兼ねて、順番に各拠点でミーティングを行っている。委員会の設置により、従業員間で相互の協力体制も整いつつあるそうだ。例えば古着販売では、ボタンが取れていても以前はそのまま販売していたが、各職場間の連携ができたことで、グループ会社のリフォーム事業部門で古着を直し、より付加価値の高い商品として販売できるようになったという。「従業員間の交流の活発化だけでなく、営業面でグループの強みが発揮できるようになったのはうれしい成果です」と、藤原氏は語る。
さらにこの委員会を通じて、他職場の現状や取組を知ることができ、自職場の課題発見や取組推進に役立てられるようになった。こうした動きを社内でしっかり共有するため、全従業員が参加する会議を年1回のペースで開催することも決定した。

新たなコミュニケーションツール「社内報」の作成

「他部署がどんな仕事をしているのか分からない」「各部署との接点がない」といった従業員からの声に対応するため、前述の「会報誌作成委員会」が中心となり、従業員同士のコミュニケーションツールとして社内報『このみや通信』を発行している。第1号は2018年10月に発行され、まずは従業員同士のことを知ってもらおうと、各職場のメンバー、業務内容、結婚や出産などの祝い事を紹介している。「新たなコミュニケーションのきっかけにもなりますし、従業員同士のプライベートが分かれば、お互いに協力できる関係も築きやすいと思います」と、藤原氏は語る。

「社内ルールブック」の作成で業務を見える化

それまでは各職場で、明確な業務分担がなく、暗黙の了解のもと業務が行われていた。しかし業務が明確でないと、従業員の不満の原因にもなる。そこで委員会が中心となって社内ルールブックを作成し、どの業務が誰に帰属するか、職場ごとのルールを整理した。さらに、それを踏まえて各自がフォローし合えるような体制も構築し、スキルの均一化(多能工化)にも努めている。社内ルールブックは作成途上で、今後も引き続き改善していくという。

ユニークなネーミングの休暇制度で社内の関心を集める

従業員が少しでも有給休暇を取りやすいようにと、アニバーサリー休暇・ラブ休暇・家族サービス休暇・失恋休暇など、バラエティーに富んだ休暇制度を整備した。ユニークな制度名は、「働き方改革推進委員会」が主体となり、従業員に親しみを持ってもらうように工夫したもの。今のところ、最も利用率の高い休暇はラブ休暇(デートのための有給休暇)で、休暇取得が従業員間のコミュニケーションのきっかけや、従業員間で協力し合おうという気持ちにもつながっているという。繁忙期を避けてもらう、1カ月前に申請してもらうなどの調整で、誰かが休んでも社内の業務がスムーズに進むよう皆で協力している。その他にも、有給休暇の取得を意識してもらう工夫として、給与明細に取得状況を記載したり、上司が率先して休暇を取得したりするなど、さらなる取得率向上に向けて取組を進めている。

ライフスタイルの変化に応じた、柔軟な働き方の提供

「柔軟な働き方に対応できること。これが自分たち中小企業の一番の強みです」という藤原氏。同社では、各従業員のライフスタイルの変化に応じた、柔軟な勤務時間を設定している。例えば子育て中の従業員は、始業時間を早めの午前8時半とし、子どもの登下校に合わせて早く帰れる時差出勤制度を利用している。その他、小学校入学までの短時間勤務制度を導入し、希望によってはパート従業員として自分のペースに合わせた働き方を選択(正社員復帰の時期も自分で選択可能)できるなど、安心して継続して働ける環境を整備している。

男性従業員の育休取得促進に向けた声掛けの実施

会社側から男性従業員の育休制度について、一通り説明していたものの、従業員側の反応は薄く、実績がなかったという。そこで、経営陣が育休取得対象者に「こういう休暇があるけど取ってみないか?」と直接声を掛け、必要性を説明し、取得を推奨した。実際に育休を取得したマーク部門主任の矢島さんは「制度があることは知っていましたが、あまり意識をしていませんでした。でも実際に取得してみて、妻から『すごく心強かった』と言われた時は、育休を取って良かったなと思いました」と喜ぶ。矢島さんが同社で最初の男性育休の取得者となった後、2人目の取得者も誕生したという。


取組の中での苦労点

「ゼロからの出発には生みの苦しみを伴いますが、『従業員と楽しみながら改革を進める』ということをベースにやってきて、苦労というほどのものではありませんでした。しかし、休みなどを積極的に活用してもらうことについては、難しさを感じました。休みの必要性を説いても反応が薄かったり、社歴の浅い従業員には遠慮があったり、繁忙期を抱えるこの仕事で本当に休めるのかと懐疑的になられたこともありました」と藤原氏。だが実際に取組を進めてみると、業務に支障が生じていないことが分かり、徐々に従業員の間にも理解が生まれてきたという。


取組の成果

休暇に対する意識改革や事前の休暇申請(1カ月前)により、以前は10%くらいであった有給休暇の取得率が56.5%までに上昇。売り上げを維持しつつ、計画的に休めるようになったので、「今後は取得率100%を目指しながら、同時に売り上げアップも目指したい」と、藤原氏は意欲を示す。取組を通して従業員同士の協力や、会社の雰囲気がさらに明るくなるなど、取組前と比較しての改善も見えてきたという。

休暇(直近1年間)

・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得率56.5%

育児(直近3年間)

・在籍中に出産した女性従業員のうち、育児休業を取得した者の割合が100%
・配偶者が出産した男性従業員(2人)のうち、育児休業を2人取得(100%)


従業員からの評価

「以前は店長として働いていましたが、出産後はパートに切り替えて働いています」とベクトル(店舗)部門の坪倉さん。「子どもがまだ3歳なので、勤務時間を融通しやすいパート従業員という立場がありがたいです。子育てをしながら、慣れ親しんだ職場で働けるので私自身も安心です」と語る。

同じくベクトル(店舗)部門の入社3年目の槙さん。会報誌作成委員会に参加したことで、「他職場との交流が何よりもうれしいです。自分と同じような若手ががんばっているのを知って励まされました。つながりができたことで、頼みごともしやすくなりました」と、社内の一体感を実感している。


今後の目標など

「今後は、働き方改革の両輪である、効率化によるさらなる利益アップを目指したいです。経営者にとって、働き方改革は決してネガティブなものではないと感じています。むしろ経営者にとっては良いツールです。これからも楽しみながら働きやすい職場づくりに挑戦していきたいです」と、藤原氏は語る。さらに続けて、「そもそも人生で一番活動的な時期を過ごすのが会社です。楽しくなければ仕事も続かないし、会社の雰囲気も暗くなってしまいます。まずは経営者自身が楽しみながら改革に臨み、明るい職場をつくっていきます」と締めくくった。

取材日 2019年1月