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広島銀行木下さんとサポーター対談

キャリアアップは一人じゃできない。職場の上司・同僚・後輩、家族・パートナー等などの周囲と良好な関係性を築き、働く私のサポーターを増やすためにはどうすればいいのでしょうか。この記事では、広島県で管理職として活躍中の「輝く女性」のひとりである木下麻子さん(輝く女性記事はこちら)にフォーカスし、上司・ご家族へのインタビューから、その秘密を探りました。
木下 麻子さん

木下 麻子さん 株式会社広島銀行 人事総務部 担当課長 兼 ひろぎんホールディングス経営管理部 人事総務グループ 担当課長

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大段 茂樹さん

大段 茂樹さん 株式会社広島銀行 人事総務部長 兼 ひろぎんホールディングス 経営管理部 人事総務グループ長

「それぞれのやり方をお互いが尊重できる未来へ」

株式会社広島銀行で、女性管理職として活躍中の木下麻子さん。ボスである大段茂樹部長には、仕事はもちろん、プライベートの相談事も含め常にサポートしてもらっているそう。
上司と女性部下との相互理解、女性活躍のこれからなどについて、お二人にお聞きしました。

Q1. 女性活躍について、大段部長ご自身はどのようにお考えですか。

大段部長当行において、女性職員はなくてはならない存在で、女性が活躍する企業であるかどうかが、会社の将来を決めるといっても過言ではない。それほど重要だと考えています。創業140年を超える長い歴史の中で、男性は外回りの営業、女性はいわゆる窓口業務という性別役割分担がありました。当行もお客様あってこそですが、その顧客のニーズも時代とともに変化、多様化し、よりきめ細やかに対応する必要がある。そういった意味でも女性の視点は必要不可欠です。そして、変化できなければ、企業としての成長はないと考えています。

Q2. 大段部長ご自身が、そのように考えるようになったきっかけはありますか。

大段部長2000年から6年間ほど、東京支店で勤務していたのですが、すでに東京では多くの女性が第一線で活躍されている様子に驚かされました。その当時、広島の企業で融資等の窓口となる経理や財務の責任者として、女性と相対する機会はほとんどありませんでした。この流れは、いずれ地方都市にもやってくるだろうと感じました。時代が変わり、社会の価値観が変化していく中で私自身の意識も少しずつ変わっていたのかもしれません。

Q3. 木下さんの印象や、貴行にとって「外の風」を入れることの意義を教えてください。

大段部長当行では、以前からキャリア採用などを行ってきていますが、金融以外の異業種からの転職者は少なく、木下さんはその数少ない内の一人です。金融業界の風土として、過去に積み上げてきたものをベースに物事を決めることが多いように感じますが、木下さんは常に前しか見ていません(笑)。いつも未来を描いて、そこに向かって進んでいく姿勢はとても新鮮でした。
また、これまでの慣習的なプロセスを、上手に取捨選択して、要らないものや今の時代に合わないものをそっと外してくれる。企業として、生産性の向上が至上命題である中で、「目的を明確にして結果を出す」という木下さんのスタイルは、組織にいい影響を与えてくれています。また、まさにこれからの時代で求められる働き方でもあるんじゃないかなと考えています。これからも変わらず、今のスタイルを貫き続けてもらいたいと思っています。

Q4. 女性部下の育成方法について悩む男性管理職も多いですが、同じように悩まれることや、コツがあれば教えてください。

大段部長一人ひとり性格や考え方、置かれた環境も異なるため、部下のマネジメントは難しいと感じることも多いですが、やはり相互理解が大事だと思います。私が一方的に理解するだけでは不十分で、部下にも私を理解してもらわなければいけない。そういった意味では、性別はあまり関係ないのかもしれません。
一人ひとりを理解し、それぞれに合った対応をする。減点主義ではなく、今は「長所」を伸ばし、生かしてもらうことが大事だと思っています。そのためにも、何でも言える職場環境をつくることはとても重要。私自身もよくしゃべるように心掛けていますし、極力「今、忙しい」は言わないようにし、部下とのコミュニケーションの時間を大事にしています。

Q5. 木下さんにお聞きします。キャリアアップと家庭の両立という点で、上司である大段部長からどのようなサポートを受けていると感じますか。

木下さん一時的に家庭と仕事の両立が難しい時期はどなたにでもあると思うのですが、直近では、コロナ禍で非常に難しくなった時期がありました。働く時間を制限せざるを得なかったときに、部長ができる方法を一緒に考えてくださり、救われた気持ちになりました。「それぞれのやり方でいい」というのは、とても重要だと感じます。女性活躍推進にもつながりますが、これまでと同じスタイルでは、仕事100%以上のような人材しか残らない。限られた時間しか働けないという理由で、責任ある仕事が与えられなかったり、過度に配慮され過ぎてしまったりすると、モチベーションはどんどん下がり、生産性も下がってしまう。そうではなくて、今の環境でできるやり方を模索してくださる上司の存在というのは、本当にありがたいと感じます。
管理職である私が先に帰ったり、質問したいときに不在だったりする状況を負担に感じたり、不満を持ったメンバーもいたと思うのですが、見えないところでたくさんフォローしてくださっていて、本当に感謝しています。

Q6. 貴行の女性活躍推進において、木下さんに期待する役割とはどのようなことでしょうか。

大段部長当行は、「女性がさまざまな分野でいきいきと活躍し、女性の価値観・視点が経営に生かされている銀行」を目指し、女性活躍に向けた取組に積極的に取り組んでいます。木下さんは、常に前向きで、これまで当行にいなかったタイプの人材で、周囲からは、真似できない特別な存在だと一目置かれていることも多いですが、木下さん自身も常に悩み、もがいています。そういった一面は、側にいなければなかなか分からないのも事実です。木下さんには、家庭とキャリアアップを両立させる女性管理職のロールモデルの一人となっていただき、それぞれのやり方で活躍する女性が増えてくれたらいいと考えています。

Q7. 多様な人材が活躍できる組織になるには、どのようなことが必要だとお考えですか。

大段部長「公正・公平」は人事の根幹を成すものなのですが、多様な人材を生かすことが求められるこれからの時代においては、いわゆる「皆一律、皆平等」といった旧来の意味合いの公正・公平を重視し過ぎないことが重要ではないかと考えています。例えば、当行では、一定の年次に一律で昇級する年功序列型の考え方を撤廃しました。一方で、女性はライフイベントなどでキャリアにブランクができてしまい、それが昇給の遅れや責任ある業務を任されないといった、いわゆるマミートラックに陥りがちでした。それを解消するため、育児休業入り前の活躍ぶりや、育児休業中の資格取得などを踏まえ、復職後まもなく昇格できるようにする等、実力や能力、努力次第でステップアップできる制度にアップデートを進めています。
働き方という点では、現在は本部のみですがリモートワーク制度を導入し、週2回のリモートワークを推奨しています。一人ひとりの性格や思考、環境を理解し、長所を伸ばす制度や職場環境を、働き方のオプションを含めて整えることが、多様な人材が活躍する組織づくりにおいて求められていると考えています。

木下さん当行に限らず、女性活躍推進のステージは「両立支援」から「両立しながらどうキャリアアップを支援するか」というフェーズへ移行しつつあると感じています。今後のカギは、ボスが「一人ひとりが多様であり、だからこそ尊い」という視点に立ってマネジメントできるかどうかではないでしょうか。大段部長のように、ダイバーシティの本質をご自身の言葉で語られ、実践されるボスが、広島にも増えていくとよいと思いますし、その実現のために、私自身もできることをやっていきたいと考えています。