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輝く女性事例

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「たゆまぬ努力と明るさで女性活躍の扉を開く」

広島電鉄株式会社

  • 運輸業・郵便業
  • 広島市
  • 301以上
社名 広島電鉄株式会社
所在地 広島市中区東千田町2-9-29
URL https://www.hiroden.co.jp/
所属・役職 経営管理本部 総務部長
ご本人氏名 嶋治 美帆子 様

(2019年11月現在)

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1990年~
大学卒業後、広島電鉄株式会社に入社。人事課で採用を担当し、その後、広報課、総務課を経験。

2001年~
女性大卒総合職初の係長に。グループ内組織再編のプロジェクトメンバーとして業務に従事。業務に関連する法律である会社法、金融商品取引法などの知識について独学で学ぶ。

2008年~
新たに設立された法務チームの課長に就任。法務全般を取り扱うため、民法や民事訴訟法、また、いわゆる業法である鉄道法、軌道法、自動車運送事業法など、さまざまな法律について知識を深める。宅地建物取引士の資格も取得。

2013年~現在
経営政策グループで部長に昇格後、経営企画部、人事部、総務部の部長を歴任。コミュニケーション能力と見識の幅を広げるため、異業種交流を積極的に行う。国家資格である「キャリアコンサルタント」を取得。

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女性が少ない運輸業界の管理部門で着々とキャリアを重ねる

升本.JPG広島の代名詞ともいえる路面電車をはじめ、広島県の西部地域で運行しているバスや不動産事業などを通じて、広島のインフラを支えている広島電鉄株式会社(以下、広島電鉄)。運輸・郵便業の女性従業員比率と女性管理職比率は全産業平均と比較して低く、広島電鉄においても同様だ。(右写真:女性自動車運転士 升本直美さん)

図1.ver.2.jpg

出所:
全産業及び運輸・郵便業の女性従業員比率: 「労働力調査結果」(総務省統計局)労働力調査平成30年度 第1表 就業状態別15歳以上人口,産業別就業者数,求職理由別完全失業者数
全産業及び運輸・郵便業の女性管理職比率: 厚生労働省「平成30年度雇用均等基本調査 図6 役職別
女性管理職割合の推移 課長相当職以上(役員を含む。)(企業規模10人以上)」

そんな広島電鉄で、2008年に女性初の課長となり、現在は部長として活躍中の嶋治美帆子さん。女性比率こそ低いものの、「男性女性問わず、結果を出せば認めてもらえる会社です」と嶋治さんは言う。入社以来、たゆまぬ努力を積み重ね、持ち前の明るさと魅力に溢れた人柄で着々とキャリアを築き上げてきた。さらに後進の育成にも注力し、女性管理職登用への道筋をつくった。

入社以来、一貫して管理部門畑を歩み、現在は経営管理本部総務部長として、キャリアを磨き続けている、嶋治さんのキャリアヒストリーについて話を聞いた。

女性総合職の幕開け、働く方も雇う方も模索し、一筋のやりがいが未来を照らす

IMG_2277.jpg「広島で働けて、転勤がなく、安定している会社に入りたいと考え、就職活動をした中で出会った広島電鉄に入社しました。当時は社会的にも、女性をいわゆる事務職(一般職)だけでなく、総合職として採用するようになった転換期であり、私は広島電鉄における女性総合職の3期生でした」。

若手時代には、新卒、中途採用業務や、広報担当としての業務をこなすなど、さまざまな経験を積んだ。しかし、「当時の上司は、女性総合職に何をさせたらいいんだろう?という感じでした」と振り返るように、女性総合職への仕事の任せ方を模索していた段階だったようだ。

「与えられた仕事を粛々とこなすのは苦手で、自分で考えて自分のやり方でやることが好きだし、得意です」と嶋治さんは言うが、総務課での経験が今でも印象に残っているそうだ。

当時の課長から、株主総会のやり方を見直す業務の実務担当者を任されたが、それまで株主総会の担当ではなかったため、周囲から反発の声も少なからずあったそう。それでも、自身で勉強しながら業務をやり遂げた。「私のことを信頼してくれて、任せてくれた上司との出会いに感謝しています。女性総合職として入った先輩や同期も、結婚したら退職する時代でした。そんな中で、若手時代に充実した経験をさせていただくことができました」。

20代に、自分のやり方で生き生きと働くことができた、任された仕事を自分の力で成し遂げたという成功体験が、「仕事をずっと続けていきたい」というモチベーションにつながったようだ。

20代で積み重ねた信頼を管理職としても生かし、専門的なプロジェクトも自分らしく運ぶ

2001年には係長に昇進。当時、社内ではグループ内組織再編を進めており、そのプロジェクトの実務担当者としての役割を任された。前任者がいないなか、全て自分で一から勉強し、進めていかなくてはならなかった。中でも、会社法や金融商品取引法については猛勉強したそう。実務においては、会計士や税理士、弁護士などの専門家など、社内外問わず密にコミュニケーションをとりながら、プロジェクトを着実に進めていった。

担当者時代から築き上げた周囲からの信頼をバックに、常に向上心を持って努力を惜しまない姿勢が、プロジェクトを成功に導いたようだ。このときの経験が土台となり、「会社法といえば、嶋治さん」と言われるほど、社内での立ち位置を確立し、自身も仕事に全力投球したと実感できる、充実した時期だったという。

2008年には課長に昇進し、新規に立ち上げた法務関連の部署で、実務責任者としての役割を担うこととなった。法務に関してはほとんど知識がなかったため、再び、民法はじめ民事訴訟法、知的財産法などの関連法規を独学で勉強。常に努力を惜しまず、「やれば認めてもらえる」企業風土が醸成されつつある中、与えられた役割で確実に成果を出していったようだ。

また、「課長になってからは、自分の発言が最終判断に結びつくことになるため、自信をもって発言できるよう、根拠を明確にすることを心掛けるようになりました」と話すように、管理職ならではの役割も実感したそう。

未来を担う女性の「ありたい自分」の実現をお手伝いしたい

2013年に経営政策グループの部長に昇進後は、いくつかの管理部門で部長を経験することとなる。人事部長時代には、社外の女性管理職と交流を深めながら、女性活躍推進の取組を積極的に進めた。「当社をご利用いただく半数は女性のお客様ですので、女性の視点というのは、とても大事だと考えています。女性活躍は、さまざまな立場の人が力を合わせて取り組む必要があると思います」と嶋治さんは言う。こうした方針のもと、広島電鉄では、短時間正社員制度をはじめ、さまざまな制度を整備し(働き方改革の記事参照)、また「女性が働きやすい職場であること」を採用活動時に説明するなどしている。

IMG_2229.jpgそして今、人財管理本部人事部人事課長として、その取組を進めるのは村岡直美さんだ。
2019年2月に新たに3名の女性管理職が登用されたが、村岡さんはその中の一人。嶋治さんが、道なき道を切り開き、社内で着実に結果を出してきたことが、後進の女性管理職登用につながり、会社としても、女性活躍の幅を広げることに結びついているようだ。 (左写真:女性課長の一人である村岡直美さん)

そして、嶋治さん自身は、社内にとどまらず、社外の人脈づくりや後進の育成にますます積極的に取り組んでいる。
「女性管理職として、悩みを相談したくても、社内には男性しかおらず、相談相手がいなくて辛い時期もありました。社外とのつながりを持つようになり、同じ悩みを抱える女性管理職が多くいることも分かりました。私自身、偶然出会った社外の方がメンターとなり、客観的にアドバイスをもらえたことで、一人で悩んでいた閉塞感から抜け出すことができました。今もその方と会って、話を聞いてもらっています。広島県の他企業で働く女性管理職の方も、きっと悩んでいるはず。もっと社外にも相談できる相手がいれば」という思いを持ち、忙しい仕事の合間を縫って、国家資格である「キャリアコンサルタント」を取得したそうだ。

最後に、「まずチャレンジすることだと思います。ロールモデルという言葉をよく耳にするかと思いますが、女性の働き方は一人ひとり違っていて、全く同じ人はいません。キャリアを考える上で大切なのは、ロールモデルを探すことではなく『ありたい自分』を明確にし、その実現のために何ができるかを考えること。私が出会ったメンターが私にしてくれたように、今度は、私がそのお手伝いをしたい」と、全ての女性に対して、温かいメッセージを送ってくれた。