もちーと ひろしま
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輝く女性事例

「支えてくれる周りに感謝。私らしい道を見つけるカギは、常に“学ぶ”こと」

中国工業株式会社

  • 製造業
  • 呉市
  • 101〜300
社名 中国工業株式会社
所在地 呉市広名田1-3-1
URL http://www.ckk-chugoku.co.jp/
所属・役職 コンプライアンス室 室長
ご本人氏名 渡邊 みどりさん

(2019年12月現在)

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1984年~
新卒で中国工業株式会社(以下、中国工業)へ入社。経理課で、担当者として経理の経験を積む。

2005年2月~10月
鉄構輸送機工場製作課(現、鉄構機器部)へ異動し、初めて製造の現場を経験する。

2005年10月
経営管理部経営管理課へ異動。財務報告に係る内部統制制度対応(J-SOX)メンバーに抜擢。

2007年5月
係長に就任。

2009年5月
社内で女性初となる課長に就任。

2011年5月
コンプライアンス室へ課長として異動。コンプライアンス関連のさまざまな整備と同時に、内部監査業務の責任者としての役割も担う。

2014年1月
コンプライアンス室室長に就任。

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自ら学び続けることで理解や好奇心が増して

呉市広に本社を構える中国工業は、主にプロパンガスを供給する容器を製造する会社だ。同社が属する金属製品製造業の女性管理職比率は2.1%(※1)であり、中国工業も同比率が2.2%で、全国平均とほぼ同じ状況である。現在28名いる女性従業員は全て事務系の仕事に配属されており、女性管理職登用や職域拡大は、同社における今後の課題の一つに位置付けられている。
その中で、女性管理職第一号として活躍中なのが、渡邊みどりさん。

新卒で中国工業へ入社後、経理課に配属されて以来20年近く、経理担当者として経験を積んだ。当時はまだ、経理課とシステムに関連する部署は別々であったが、新人の頃の上司から「経理とプログラミングの両方を勉強しておいた方がいいよ」とアドバイスを受けたことをきっかけに、経理の勉強と共にプログラミングも勉強した。初めはとても苦労したプログラミングの勉強だが、システムは管理部門における土台であるため、のちのちの実務でとても役に立ち、当時の上司のアドバイスにとても感謝しているそうだ。

1980年代から、出産後も仕事を続ける先輩が社内にいたこともあり、渡邊さんも3度の出産を経験し、育児休業を経て仕事を続けた。

「仕事がとにかく楽しかったです」と話す渡邊さん。子供を寝かしつけた後など、忙しい合間を縫って、システムや経理関連の資格など、実務に直結する勉強に励み、努力を積み重ねてきた。勉強をすると、仕事がやりやすくなり、ますます興味が湧いたようだ。

※1 出典:厚生労働省(2019年5月)女性の職業生活における活躍推進に関する法律に基づく認定制度に係る「産業ごとの管理職に占める女性労働者の割合の平均値」について(改訂)

畑違いの部署異動に戸惑うも、後から思えば「必要な経験」

2005年には、製造部門へ異動する。入社以来、経理一筋だったが、初めて現場を経験することとなる。「入社以来ずっと経理で経験を積んできて、異動当初はショックだったというのが本音です」と振り返る。しかし、異動先で作業日報の集計や勤怠管理、売上処理など現場事務を経験したことで、「製造部門の受注から売上、請求といった、一通りの流れが理解できるようになりました」と話すように、他部門への異動という経験は、視野を広げることとなり、結果的には、自身のキャリアにプラスであった、と今では思っているそうだ。

育児と仕事の両立と葛藤、多忙な日々を夫婦二人三脚で乗り切る

2.jpg製造部門を1年弱経験し、経営管理部経営管理課へ異動。全社の予算管理や、株主総会関連業務の担当となり、また当時、全社的に喫緊の課題であった内部統制制度の構築プロジェクトメンバーに抜擢された。

「最初は、専門的な知識はほぼなかった」と言うが、上司から与えられた課題に対し、着々と仕事をこなしていった。その実績を評価され、係長、課長といったポストがついてきた。しかしその一方で、小さな子供の育児と、新規プロジェクトの進行、管理職への昇進と、公私共々ハードな時期が続くこととなった。

「特に夫の主体的な育児参加がなければ、乗り切れなかったと思います。私の帰宅が遅いことも多く、保育園のお迎えはほぼ夫。帰ってから、ごはんを食べさせ、お風呂にいれて寝かしつけ、全てをこなす、今でいう『イクメン』ですね」。

また、ご夫婦で忙しい時には、ご夫婦の両親も子供を病院に連れて行ってくれたり、夕食を準備してくれたりなど、全面的にサポートしてくれて、心から感謝しているそうだ。

一方で、子供が母親を必要とする時期にそばにいてあげられず、寂しい思いをさせてしまったのではないかと、母親として心に引っ掛かっている部分があるという。「働きやすい環境に変わりつつある昨今ですが、時短勤務だと仕事が十分にできないのではないかとか、会社の人に迷惑をかけているのではないかとか、色々な葛藤を抱えながら女性は頑張って生きているのだと感じています」と語ってくれた。まだ、女性の活躍や、働き方改革といった流れが一般的でなかった時代に、仕事と子育ての両立という難しい課題を乗り越えてきた渡邊さんだからこそ、とても実感のこもった言葉だ。

周囲に感謝しつつ、与えられた役割を果たし、また次のステージへ

現在は、コンプライアンス室長として、全社横断的な施策を行う傍ら、内部統制関連業務の監査責任者として、会社の「守りの要」ともいえるポジションを担っている。また、一歩踏み出すまでに少し悩んだそうだが、内閣府と広島県が実施する女性管理職向け研修へ参加するなど、新たなチャレンジを始めている。

「研修では、リーダーとしての知識と見識を高めるための、ガバナンスやリスクマネジメント、経営戦略等の講義や、第一線で活躍されている経営者の講話があり、毎回ワクワクしています。入社以来、この会社しか知りませんでしたが、社外のいきいきとした女性管理職の方とお話しすることで、私ももっと頑張ろうと思えて、いい刺激になります。また、相談相手というか同志のような存在ができることも、とてもありがたいと感じています」。

社内初の女性管理職として、ロールモデルを築いてきた渡邊さんに、後進の育成についての考えを聞いた。「私自身、経理の仕事に長く就いた後、短い期間ではあったけれど、製造現場を経験できたことは、キャリアにおいてとても大きかったと感じています。女性に限らず、ジョブローテーションは非常に大事だと思います。会社の規模的な問題や物理的な問題があり、全社員がその機会を得ることは難しく、また、製造現場の労働環境などを考えると、まだ全ての職場に女性が活躍できる環境が整っているとも言い切れないのが現状です。しかし、その中で、職域をどう広げていけるか、幅広い経験を積んで成長する機会を与えるかについて、会社として考えていきたい」と話してくれた。

取材中、何度も渡邊さんから出てきた「感謝」という言葉。どの職場でも期待して背中を押してくれた上司や同僚、理解ある夫、応援しサポートしてくれた両親、渡邊さんを取り巻く全ての人に感謝しつつ、一つ一つ積み重ねていくことで、これまでそしてこれからの渡邊さんがあるのだろう。