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輝く女性事例

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「女性活躍の先駆者たちが築いてきた、柔軟な職場風土」

マナック株式会社

  • 製造業
  • 福山市
  • 101〜300
社名 マナック株式会社
所在地 【福山工場・研究所】福山市箕沖町92番地
URL http://www.manac-inc.co.jp/index.html
所属・役職・ご本人氏名

購買部課長 古川 泉さん

所属・役職・ご本人氏名 環境品質保証室品質保証課長 田中 利永子さん

(2019年12月現在)

1948年に苦汁(にがり)製品の製造・販売を目的として、福山で創業したマナック株式会社(以下、マナック)。主に、難燃剤として家電製品やOA機器、医薬品に使用される臭素化合物の国内トップメーカーだ。同社の女性従業員比率平均は15%と多くはないが、直近3年間の育休取得率は100%であり、2019年にはユースエール企業の認定(※)を受けるなど、働きやすい環境が整っていると胸を張る。今回は、同社で女性初の管理職として活躍するお二人に話を聞いた。

1.購買部 古川 泉さん

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1990年 中途でマナック入社。人事部で採用や新入社員教育を経験。

2008年 課長補佐として、購買部へ異動。

2018年 購買部門課長に就任。

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従業員のことは家族の名前まで覚えていた人事部時代

中途でマナックに入社後、人事部で17年間経験を積んだ古川さん。入社前に、人事の経験はなかったというが、「知らないことを身に付けることは、それだけ成長できる」と、関連法規を勉強するなど、主体的に仕事に取り組んだそう。また、新入社員研修では、「入社した人が、早く会社になじめたらいい」という思いで、研修カリキュラムを工夫するなど、試行錯誤を重ねた。「マナックの化学合成技術ついては詳しくありませんでしたが、従業員のことなら家族の名前まで知っているという感じでした」と話すように、常に従業員に寄り添い、支えてきた。

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その後、課長補佐として購買部へ異動。購買部は、製造部門と仕入先双方への細やかで密な連携が必要となる部署だ。例えば、製造部門から「〇〇までに納品してほしい」などと、急なリクエストを受けたときは、仕入先が対応でき得る策を自ら考え、提示し、交渉までも担当したりする。高度なコミュニケーションスキルが求められるが、社内調整の場面では、「人事時代に築いた社内の人脈がとても生きた」そう。 
2018年には、課長に就任。「管理職になって、周囲の期待に応えられているかなど、人からどう思われているかが気になるようになりました」と自身の内面の変化を語ってくれた。


これからも、会社の成長を支える「縁の下の力もち」として

現在は、購買部門で課長としての役割を担いながら、働き方改革のプロジェクトリーダーとして、全社横断的な指揮を執っている。「部署間で仕事の『ダブリ』があったりと、まだまだ改善する点があると思っています。今は、さまざまな部署や年代の人から意見をもらう機会をつくり、『マナックのここがおかしい』を吸い上げ、課題を洗い出し、整理している段階」と話してくれた。社内で人脈を築いてきた古川さんだからこそ、プロジェクトリーダーの役割を任されたに違いない。

最後に、後進へのメッセージを聞いた。「女性だからという時代は既に古いと感じていますが、家庭生活の負担が女性に偏っているという事実もあると思っています。そういったとき、女性自身が、困っていることを、上司を含め周りに相談して解決していくことも大事ではないかと感じています」。

共に働く仲間のことを、誰よりも考えてきた古川さん。この先もマナックの「人」を支えていく。


2.環境品質保証室 田中 利永子 さん

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2004年  マナックに転職し、福山工場で品質管理の試験検査を担当。

2006年  医薬品製造管理者として、郷分事業所に異動。

2009年  品質管理課長補佐となる。

2018年  品質管理課長代理を経て、品質管理課長に。

2019年  福山工場に異動し、環境品質保証室課長兼監査室室長となる。

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資格を強みに、ライフスタイルに合った選択

中途でマナックに入社した田中さん。それまでは、病院や製薬会社で薬剤師として働いていたが、子育てとの両立を最優先に考え、働きやすい環境を求めてマナックへ転職した。医薬品の原料(以下原薬という)を製造する同社では、薬剤師資格を持つ「医薬品製造管理者」が必要となる。田中さんは薬剤師の資格を生かし、専門職として原薬の製造管理や品質管理が適切に行われていることをチェックし、お客様に製品の品質を保証する役割を担っている。

マナックでは、1990年代から育児休職制度の利用者が多く、仕事と育児を両立する文化が根づいていた。田中さんが入社した当時、子育てをしながら働いている先輩従業員がおり、とても心強かったそうだ。
「過去に働いていた会社では、子供が風邪を引くなど体調を崩したときに、休みにくいと感じることもありました。マナックは、そういった家庭の事情を当然のこととして受け入れてくれ、参観日などの学校行事にも気兼ねなく行くことができました。ここにいてもいいと思える環境で働けることがとてもありがたいと感じています」と話してくれた。

2009年には、同部署で課長補佐となる。業務内容自体は大きく変わらなかったものの、恒常的に育休明けの従業員が復帰する職場で、「仕事と家庭のバランスをどのように取ったらいいのか?」といった相談を受けるようになり、個々の環境を踏まえた上で、どのように部下を育成していくかについて、考える機会が増えていったそうだ。

管理職登用の打診を受け、「ご縁ならば応えたい」と挑戦

2018年に、課長に就任。入社以来、一貫して専門領域で経験を重ね、その延長線上にあった管理職のポストだ。「管理職の話に限らず、声を掛けてもらうということは、ご縁があるということだと思っています。せっかくなら、期待に応えたいと思いました」。

2019年からは、環境品質保証室課長兼監査室室長として、製品の品質だけでなく、会社全体の仕組みが適正に機能していることをチェックする役割を担っている。監査室は、これまでのキャリアとは全く畑違いの部署だが、「社内の状況をチェックする立場である監査室での経験を通して、他部署の方との接点も増え、会社全体のことが理解できるようになりました」と、これも「ご縁」と思って引き受け、与えられた役割に丁寧に向き合っているという。

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管理職としての立場について、「自分のやることには責任が伴い、良くも悪くも周りに影響を与えると感じています」と話してくれたが、後進の育成については、こんな風に語ってくれた。「今の若手は、私たちの時代と比べて、ニュートラルでフラットな印象があります。性別に関係なく、多様な価値観を尊重し、それぞれが生き生きと働くことができる環境を整え、後進にチャンスを与えられるようにすることが、管理職である私の役割だと思っています」。

※ 若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業に対し、若者雇用促進法に基づき厚生労働大臣が認定する制度。労働時間や離職率の低さ、有休休暇の取得率などの数値目標が設定されており、条件を満たすと認定される。(制度に関する詳細はこちら