[特集]広島県女性活躍推進モデル企業創出事業事例

男女共に活躍できる警備業界を目指しロールモデルを作る

リライアンス・セキュリティー株式会社

法人名 リライアンス・セキュリティー株式会社
所在地 広島市中区舟入川口町14-22
URL https://www.reliance-s.com/
従業員数(うち女性人数) 231名(21名)
管理職数(うち女性人数) 12名(0名)

(2023年10月時点)

2000年創業。広島本社のほか県内外に5事務所を持つ警備会社。「お客さま主義」をモットーに、挨拶、服装・身だしなみ、表情、順序・序列、姿勢・態度、言葉遣いを徹底。女性警備員も擁し、商業施設などの現場で警備を行っています。

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前列左から 青原さん、喜和田さん、政成さん。後列左から小笠原アドバイザー、森重さん、有田さん。

取材に答えてくれたのは...

採用教育研修部長 有田 恭彰(ありた やすあき)さん

採用や社員教育を主に担当。「女性活躍推進モデル企業創出事業」では社内の旗振り役を務めています。

警備部長 森重 仁晴(もりしげ たかはる)さん

喜和田さん、青原さんの上長。警備部トップとして若手の人材育成や技術指導に励んでいます。

警備部班長  喜和田 紗織(きわだ さおり)さん

女性管理職候補として警備部で班長を務めています。社内初のメンター制度においては指導役として活躍中。

警備部班長 青原 史佳(あおばら ふみか)さん

喜和田さんと同じく警備部女性管理職候補の一人。落ち着いた話しぶりで後輩から信頼を寄せられています。

総務・経理部主任  政成 美代子(まさなり みよこ)さん

管理部門の女性管理職候補。経理や労務などの業務を担当し、大黒柱として会社の経営を支えています。

アドバイザー2.jpgリライアンス・セキュリティー株式会社のアドバイザーは...

小笠原 弓子(おがさわら ゆみこ)さん

大卸業の総務人事部、採用専門のアウトソーシング企業での経験を経て、社会保険労務士法人サトーに入社。2,000名以上の採用面接実績を基に採用支援事業を立ち上げました。企業と求職者とのマッチングに焦点を当てた採用、人材定着、職場最適化、助成金活用などが担当分野。広島県や広島市など自治体の人材確保・定着支援事業、働き方改革事業に数多く携わっています。

女性警備員を増やし、長く働き続けられる会社へ

「女性活躍推進モデル企業創出事業」に参画前は、女性警備員がほとんど在籍しておらず、採用後も定着率が低かったというリライアンス・セキュリティー。離職率を低減させると同時に、多様なライフスタイルに寄り添える働き方の模索や、ダイバーシティが叶う企業風土の醸成を目指して取組を進めています。

――本事業に参画することになった経緯を教えてください。

★インタビュー男性管理職.jpg有田 私たちは深刻な人手不足を解消するためダイバーシティの取組を進めており、定年を迎えたシニア層の雇用に力を入れていました。高度経済成長を支えた団塊の世代の方たちは働く意欲を十分に持っており、期待以上の戦力となってくれました。そこで次に、女性の採用に注力しようと考えました。人手不足解消が目的なのはもちろん、お客さまである商業施設などから「女性警備員を配置してほしい」という希望が少なからずあったからです。求人への応募は少しずつ増えていきましたが、10名前後の状況が続いていました。ちょうどその頃、「女性活躍推進モデル企業創出事業」の話があり、解決の糸口がつかめるのではと応募しました。

――貴社で行われている「女性活躍推進」の具体的な取組内容を教えてください。

小笠原アドバイザー 課題は大きく分けて2つだと考えました。まず1つはせっかく採用した女性社員が辞めてしまうこと。2022年には新卒採用者19名、うち11名が女性社員でしたので、「何としても辞めさせてはならない」と考えました。もう1つは、仕事を続けていく女性社員のために管理職への道筋を作ること。警備業は現場に出ることが基本なので、妊娠などの際には体に大きな負担がかかってしまいます。そこで管理部門の仕事ができる体制を整えておけば、社内で働く選択肢もできます。この2つの課題を解決するロジックツリーを作成し、それに基づき各種出前講座の受講や、離職を防ぐメンター制度導入に向けての定例会などを行いました。

メンター制度の導入とリーダー講座で人材育成

――出前講座の詳細やメンター制度の内容、それらの効果について教えてください。

小笠原アドバイザー 初年度(2022年)に受講した出前講座は管理職向けの「ダイバーシティ&インクルージョン」と、女性社員向けの「ライフスタイルの構築」です。2年目はメンター制度導入に際しての話し合いや、労務分野についてのミニ講座、リーダーシップについて学ぶ機会を設けました。

★インタビュー女性写真.jpg喜和田 メンター制度では、最初に日々の業務での困りごとなどを出し合い、「今の課題は何か」をテーマとして、2022年の19名の新入社員を対象にスタート。私と青原さんと男性社員1名がメンターとなり、週に数回電話でメンティ(後輩社員)の話を聞くようになりました。

青原 人間関係の悩みや現場のアドバイス、休日の過ごし方といった話題など色々な話をしました。「聞いてもらってすっきりしました」という後輩の声は、私の自信ややりがいにもつながりました。

政成 これまで警備部門の者が、管理部門の者に現場の相談をすることもありましたが、私たちではアドバイスに限界があって...。メンター制度は現場の悩みを先輩に相談でき、離職防止に大いに役立っていると思います。それから、自身の仕事の役に立ったのは労務分野についてのミニ講座。ちょうど「くるみん認定」(子育てサポート企業として厚生労働大臣から得られる認定)を申請する時期だったので、手順などについて小笠原さんに教えてもらえました。さらにリーダーシップを学ぶ機会については、多様なリーダーの形があることを知って勉強になりました。

喜和田 特に「支援型リーダー」は、従来イメージする周りを引っ張るタイプではなく、周囲と力を合わせて「皆で一緒に進もう」と頑張るタイプ。このリーダーなら自分にも目指せるのではないかと自信に繋がりました。

青原 私も「支援型リーダー」に一番共感しました。全部で4つの型があったので、自分が居心地良いと感じられる型で、自分なりのリーダーのかたちが作れるのではないかと感じました。

広い視野や積極的な社員の姿勢が会社を活性化

――小笠原アドバイザーと連携したことで生まれた変化や、効果はありましたか。

森重 まずは小笠原さんが入ってくれたことで、みんなが広い視野を持てるようになりました。他社の事例を知ることで見方が変わり、講座などで外部の人たちと接して世界が広がりました。メンター制度においては手探りの部分も多かったですが、試行錯誤するなかで関わった社員たちが大きく成長したと実感しています。喜和田さん、青原さん共におとなしい印象でしたが、メンターをやることで、どんどん自分から積極的に動いて、物事を建設的に考えるようになりました。

有田 これまで社内で色々な取組を進めてきましたが、社内の人間よりアドバイザーが言ってくれたほうが内容に信ぴょう性があって社員も動くので、小笠原さんに事業を引っ張ってもらいました。あまり交わされてこなかった、リーダーや女性活躍といったテーマが社内の議題に上がるようになったのも大きな成果ですね。

――最後に、今後の展望などがあれば聞かせてください。

喜和田 性別は関係ないとは思いますが、現場で「女性警備員さんがいてくれてよかった」と言われることが時々あります。今後は「女性警備員だけ来てよ」と言われるぐらい、女性警備員に対する信頼度が上がったら嬉しいなと思います。

IMG_5775.jpg青原 自分自身が会社の戦力であり続け、後輩の教育にも携わっていきたいです。男性の後輩にも、女性の後輩にも「青原さんみたいになりたい」と言ってもらえるような、お手本になれたらいいですね。

政成 気配りや気遣いのできる女性警備員のニーズはかなりあると思います。道行く人に挨拶をするだけで、警備をしている人や、施設の印象が変わるので、細やかな配慮のできる女性社員が増えていったらいいなと思います。

森重 これまで女性社員が根付くことの少ない状況でしたが、やっと女性が活躍するという空気感が醸成されてきました。この雰囲気をしっかりと定着させ、発展させていければと思います。

有田 今回、女性社員たちが自分の考えを持ち、会社に提案していく姿勢が育成できたのは大きな成果でした。これからも小笠原さんにアドバイスをいただきながら、後輩たちが目指したくなる女性社員のロールモデルをつくり、会社の活性化に寄与していきたいです。同時に、男性でも女性でも活躍できる会社を目指します。

(取材日 2023年10月)