[特集]男性育児休業取得促進の取組事例

「会社に大切にされている」感覚を抱いて貰えたら嬉しい

ツネイシカムテックス株式会社

法人名 ツネイシカムテックス株式会社
所在地 福山市箕沖町107番5
URL https://www.kamtecs.co.jp/

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ツネイシカムテックス株式会社(福山市)

産業廃棄物の収集運搬から中間処理、リサイクル、最終処分まで行い、廃棄物の新しい価値を創造する企業。従業員数243名のうち約8割を男性が占めています。2020年までは女性の育児休業取得率100%に対して男性は0%。2021年より新しい風が吹き始めました。

取材に答えてくれたのは...
総務部 チームリーダー 黒田 正子(くろだ まさこ)さん

社員の身近な相談役である総務部のリーダー。総務関係の専門スキルや経験を持ち合わせ、男性の育児休業取得についても、情報提供やサポート面などで大きな役割を果たしたキーパーソンです。

「ツネイシカムテックス株式会社」男性育児休業取得促進3つのポイント

  • 総務部が窓口となり、気軽に聞ける相談役に
  • 長期男性育休の実績あり
  • 男性育休への理解を深めるセミナーの定期実施

周知活動を徹底し、まずは機運づくりから

★インタビュ2-2.jpgツネイシカムテックスでは、育児休業規定を1999年に制定・運用していましたが、男女の区別がないにも関わらず、過去に取得したのは女性のみでした。世の中が男性の育休取得に肯定的になってきた20217月、本人の申し出により社内初の男性育児休業取得者が誕生。その後、第一号となった社員が、取得を悩む男性社員たちに「自分のためにも家族のためにも絶対に取った方がいい!」と勧めたこともあり、取得率は年々増加中です。これまで、現在育休中の社員を含めて7名が取得。今後も増加する見通しで、会社としても更なる取得を促していきたい考えです。「妊娠のタイミングだけでなく、出産後の申請も育児休業は可能です。男性社員の制度認知度もまだまだ低いので、周知活動を徹底していきたい」と黒田さんは話します。

同社が男性育休に積極的に取り組み始めたのは2021年から。全社員対象の説明会や「男性従業員の育児休業取得を推奨・促進します!」と書かれた掲示物などで周知を行いました。掲示物には宣言だけでなく、「男性の育児参加への理解が深まり、職場の雰囲気が変わる」「自分のライフスタイルや働き方を見直すきっかけとなる」「仕事の効率が上がる」といったメリットを記載。社内の機運を高める工夫がされています。また、20225月に実施した育児に関する出前講座には多くの男性社員が参加。ディスカッションを交えた参加型の内容で大いに盛り上がりました。こうした活動とともに社内の空気にも変化が見られ、「部署内で育休を取りやすくするために自分も取ります!」と宣言する社員が現れたほど。制度の運用には周囲の理解と協力が不可欠。こうした意識が育っていることに、同社では大きな手応えを感じています。

的確な情報提供&アドバイスで不安を解消

男性育休の取得日数は、18日から現在取得中の社員の237日までと様々。部署や本人の希望により、総合的に判断し決定しています。「一番気になるのは給与のこと。社会保険等の制度とも照らし合わせながら、具体的な内容をお伝えしています。手取りがそれほど変わらないと分かると、みなさんほっとした表情を浮かべます。悩みや課題を丁寧に取り除くことが、育休取得率のアップに繋がると考えています」と黒田さん。周囲にかかる負担が気になり長期休業を躊躇する人もいましたが、所属部署に早めに伝えて調整することで解決してきました。

協力体制がもたらす団結力が会社の活力に

男性育休の推進は、会社にどのようなメリットをもたらしたのでしょうか。黒田さんは「横の繋がりが強固になり、社内コミュニケーションが活発になったと感じます。休業中は仕事を周囲に託すことになりますが、全員が協力体制で挑み、部署の一体感が生まれています」と話します。周囲が快く送り出すことで、取得者にも感謝の気持ちが芽生え、復帰後のモチベーションアップになり、それが会社全体の活力に繋がっていました。また、採用に力を入れている同社にとって、誰もが働きやすい環境の整備は必須です。「当社には、社員の紹介で入社すると紹介者へ紹介料を支給する制度があり、この制度活用者も年々増加しています。社員満足度の向上と比例しているのではないでしょうか」と黒田さんは推測。男性育休をはじめとする社内環境の整備が、新しい人材の確保にも一役買っているようです。

★ビジョンカード-2.jpgワーク・ライフ・バランスを重視する人が増えるなか、一つの会社で長く働いてもらうことが難しい時代になりました。様々な制度や福利厚生が充実している企業は、将来のビジョンが描きやすく社員の安心感に繋がります。「これからも有益な制度はどんどん取り入れたいです。プライベート、健康、育休、有給休暇、時間外勤務など様々な角度から働きやすい環境づくりに努め、社員には『会社に大切にされている』という感覚を抱いてもらえたら嬉しいです」と黒田さん。同社には国内外に関連会社が14社あります。今後は関連会社の相談役として、より多くの社員が育休を取得できるようサポートを続けていく予定です。

\私も育児休業を活用しました/

家族写真4−2 2.jpg福山環境事業部 受入課 越智 弘樹(おち ひろき)さん

2021年に第一子で1カ月、2022年に第二子で4カ月、育児休業を取得しました。子どもにどう接すればいいのか戸惑うこともありましたが、休業中に多くの時間を一緒に過ごすなかで、どんどんわが子への愛情が芽生えてきました。家事や育児の大変さを知ることができた貴重な時間になりました。深夜に及ぶ育児には、夜勤の経験も活かせました()

 

(取材日 2023年11月)