女性活躍事例一覧

「週休3日の試験的実施と女性と若手で構成する
『月1指導会』など新たな取組に挑戦」

サタケ豊栄株式会社

  • 製造業
  • 東広島市
  • 31〜100
  • 方針・取組体制
  • 両立・継続支援
  • 人材活用
所在地 広島県東広島市豊栄町清武1595番地
URL なし
業務内容 1964年の創業以来、佐竹鉄工株式会社はサタケグループにおいてプラント向けの大型機械や自社開発した製品の生産ならびに据付をおこなっている。2012年よりGABAライスを中心とした食品製造を担い、地域循環型事業モデルの基幹工場となっている。
※令和3年1月に「佐竹鉄工株式会社」から「サタケ豊栄株式会社」に社名変更
従業員数 93名
女性従業員比率 16%
女性管理職比率 0%

(2017年11月現在)

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  • 第一次産業中心の町に女性でも働きやすい職場を
  • 女性の声を生かし、工場内の作業環境を改善する「月1指導会」の発足
  • 「従業員とその家族を幸せにしたい」、週休3日の試験的な取組

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1.第一次産業中心の町に女性でも働きやすい職場を

佐竹鉄工(株)(以下、佐竹鉄工)はサタケグループに属し、生産機能を受け持つ企業である。株式会社サタケにおいては、働き方改革をはじめとする「仕事と家庭の両立支援」と「女性活躍推進」を進めており、佐竹鉄工においてもグループの一員として同様の目的を達成するための取組をすすめているところである(株式会社サタケの「働き方改革優良事例」はこちら)。
佐竹鉄工は広島県の中央部に位置する東広島市豊栄町清武に本社および工場を構え、プラント向けの大型機械や自社開発した製品の生産から据え付け、豊栄町産の米からGABAライスを中心とした食品を製造している。六次産業化・循環型農業を実証する、地域循環型事業モデルの基幹工場としての役割を担うことを目標として事業を展開。昭和39年に従業員75名で創業した当初より、地元地域と密接な関係性を築き上げてきた。
東広島市豊栄町の主な産業は、農業や林業といった第一次産業である。第一次産業は自然環境の変化等に左右されやすく不安定である上、体力を必要とするため女性や健康に不安のある人は就業が難しい場合もある。そこで「地元の女性などに当社で働いてもらい、現金収入を得てほしい」との考えのもと、現在の場所「豊栄町」に工場を設立した経緯がある。そして豊栄町、福富町、河内町を中心とする地域住民を積極的に雇い入れた。
この方針は現在も変わることなく、平成30年春入社予定者は3名(うち女性1名)であり、いずれも近隣学校の卒業予定者だという。また、子育て中の女性の中途採用も実施。人員配置に配慮し、両立を支援する。

2.女性の声を生かし、工場内の作業環境を改善する「月1指導会」の発足

type2_sataketekkou_3.jpg現在、佐竹鉄工では従業員93名中15名が女性であり、うち7割が機械の生産部門に所属し、CADを用いた開発設計部門に1名、事務職4名、最も人手を要するモジュール組み立てに10名が配属されている。
興味深い取組として目を引いたのは、生産現場のみならず事務職も含めた全女性従業員と若手が参加する「月1指導会」だ。この会は、生産現場における悩みや問題を洗い出し、解決の糸口やそのためのきっかけとするための集まりだという。以前から同社では、定期的に勉強会や指導会は開催されていたが、参加するのはベテラン男性従業員のみであったため、若手、女性といった従来参加していなかったメンバーを集め「月1指導会」を始めた。
開催のきっかけとなったのは村若工場長の何気ない女性従業員への問いかけであった。「工場の所々に積み上げられたゴミが気になる。あなたならどうする?」すると、「ゴミを分別する」「ゴミ箱を別の場所に移動させる」など女性従業員からの活発な意見があり、またその後の改善に向けた素早いアクションには目を見張るものがあったという。
これを機に女性および若手従業員による「月1指導会」が始まったのだという。今まで女性従業員が研修を受けたり、意見を出したりする機会があまりなかったが、今ではコンサルタントから指導を受けつつ、業務における問題点を洗い出し、改善のテーマ選定および実施計画の策定まで行っている。若手、女性ならではの視点でベテラン従業員や男性だけでは気が付かなかった提案が行われ、「女性は行動が早いんです」と村若工場長が話すように、改善活動に大いに貢献しているという。従来は補助的な役割が多かったが、主体的に考えて行動するように促すことで、女性の力を引き出しているそうだ。平成29年11月現在、佐竹鉄工には女性の管理職はいないが、係長や将来の管理職候補となる人材が徐々に育ってきているようだ。


3.「従業員とその家族を幸せにしたい」、週休3日の試験的な取組

佐竹鉄工には「従業員とその家族を幸せにする」という基本方針があり、働き方についても常に独自の取組を模索している。例えば、自分の誕生月に特別休暇として1日付与する「バースデイ休暇」を平成29年4月から整備し、ほぼ100%の従業員が取得しているという。個人のライフイベント等で幸せな時間を味わってほしいという経営層の思いからである。
また、平成29年7、8月に、土日月を休みとした完全週休3日制度をサタケグループ全体で試験導入した。7月、8月は夏休みの期間中でもあるため、週休3日にして子どもや家族と有意義な時間を過ごすなど、自分のために時間を使ってほしいという思いからだ。導入に際し、佐竹鉄工では、かねてより導入していたジョブローテーションや従業員の多能工化が功を奏したそうだ。事務職も週に数時間は製造現場に出て、労働集約的な業務の平準化を図っていた。資格や衛生管理上の問題によって他部門からの一時的な配置が難しい業務もあるが、それ以外の部門では事務部門も生産に携わり、製造部門間で人員を融通しあう。そうして会社をあげて各部門の作業フォローを実施した結果、完全週休3日制度をなんとか達成。しかし正直なところ、従業員からは「休みが多いのはありがたいが、業務をこなすのが大変で苦しい」といった課題の声も上がったようだ。「今年の受注状況だからできたかもしれないが、来年はわからない」と村若工場長も話し、完全週休3日への道はまだまだ険しいようだが、時代や状況等に即した「従業員とその家族を幸せにする」ための取組を、これからも模索しながら進めていく考えだ。

取材担当者からの一言

佐竹鉄工は世界的課題である持続可能社会の実現をいち早く体現しようとチャレンジしている企業である。過疎化が進む東広島市豊栄町という地域に根差した企業として頼もしい存在ではないだろうか。周辺で収穫された米でGABAライスを生産し、もみ殻は肥料とし、糠(ぬか)は養鶏場に運び、鶏のエサとしているそうだ。女性活躍に視点を移すと、まずは働く場所を与え、関係人口を増やすといった地域活性化策への貢献が第1にくる。さらなる活躍を進めるための女性を中心とした改善活動等を継続し、女性従業員が力をつけることが期待される。「鉄工」という名前であるため、女性に人気がないと村若工場長がおっしゃっていたが、事業内容や経営理念をアピールすれば、共感する方の応募が多くなるのではと感じた。

type2_sataketekkou_4.jpg●取材日 2017年11月
●取材ご対応者
代表取締役工場長 村若 哲磨 氏
管理課 課長 米田 康雄氏