女性活躍優良事例

「早くから女性活躍を推進。
今見据えるのはより多様化に対応できる組織」

学校法人修道学園 広島修道大学

  • その他産業
  • 広島市
  • 301以上
  • 両立・継続支援
  • 評価・処遇
  • 登用
  • 職場風土
所在地 広島県広島市安佐南区大塚東1丁目1-1
URL http://www.shudo-u.ac.jp/
業務内容 学校法人修道学園によって1952年に設置された大学であり、設立当初は短期大学であったが、1960年に4年制大学へ移行。中四国の私立大学では最も多い学生数を誇り、「道を修める」という建学の精神のもと、「地域社会・地域経済の発展に貢献できる人材」の育成に取り組んでいる。2018年4月には新しく国際コミュニティ学部を開設する等、グローバル人材の輩出にも力を入れている。
従業員数 382名
女性従業員比率 44.8%
女性管理職比率 27.3%

(2017年11月現在)

type2_shudo_2.jpg

広島修道大学学長 市川 太一 氏

seika_header_sesakuyaseika.png

  • 早くから取り組んできた甲斐あって、女性比率も女性管理職比率も高い傾向
  • 各種両立支援制度と、それを支える『職場風土』
  • 女性だけでなく、多様化する人材への対応も

seika_footer.png

1 早くから取り組んできた甲斐あって、
女性比率も女性管理職比率も高い傾向

広島修道大学(以下、修道大学)のように、学校教育産業に従事する女性は多い。労働力調査の統計(※1)によると、平成28年の「教育、学習支援業」における女性従業員比率(全国平均)は56.8%で、「医療、福祉業」の同比74.8%、「宿泊業、飲食サービス業」の61.6%、「生活関連サービス業、娯楽業」の59.8%に次いで高い。修道大学に目を向けると、女性従業員比率は44.8%と全国平均に比べてやや低いが、女性管理職比率の高さに注目したい。修道大学の女性管理職比率は、教員・職員合わせて27.3%と、全国平均(※2)21.0%に比べて6.3ポイントも高い(図1)。また、職員のみの比率でみると41.7%とさらに高くなる。

図1 業界別の女性比率・女性管理職比率と、修道大学の同比
type2_shudo_3.jpg


女性研究者の活躍推進も重要なテーマではあるが、本記事では、修道大学の中でも教員ではなく「職員」に焦点を当てる。

男女雇用機会均等法が制定された昭和60年当時は、修道大学も女性比率、女性管理職比率ともに低かった。しかし、同年に修道大学に導入された育児休業制度を機に、結婚しても働き続ける女性職員が少しずつ増えた。この制度の導入時期とその当時の「育児休業法」の動き(図2)をみると、修道大学が世の中の動きよりも早い段階で制度の導入に踏み切ったことがわかる。

また、女性の増加に伴い、男女平等な人事制度・処遇体系の整備を進めてきた。勤務地の異動がない修道大学では、同じ場所で子育てをしながら働き続け、さらに成果を出せば「昇進昇格もできる」という、女性にとっては魅力的な職場であったことから、女性従業員比率、女性管理職比率ともに伸びていった。ここ数年では女性管理職比率の急激な伸びも見られ、平成26年度から3年間で女性課長の数は倍増し、平成29年度の課長職における男女比率は50:50である。また、職員の係長、課長補佐等の役職の男女比率も同様であり、女性が活躍していることがわかる。

このように早くから女性活躍に取り組んだ結果、「ロールモデルが身近にいる」状況がつくられている。女性管理職として活躍中の種田理事兼財務部長は「女性活躍の成否は管理職が大きな鍵を握っています。上司が魅力的な働き方をしているか、部下のモチベーションを維持できているか、部下はちゃんと見ています。管理職自身のワークライフバランスは取れているのか、この点の振り返りが実は大切」と述べる(種田氏へのインタビュー記事はこちら)。


図2「育児休業法」の動きと修道大学の制度導入時期
type2_shudo_4_2.jpg

2. 各種両立支援制度と、それを支える『職場風土』

さらに、修道大学において「女性が長く働き続け、能力を発揮できる理由」を探ってみよう。

まず育児支援制度における育児短時間勤務は、通常1日7時間就業のところ、6時間または5時間の就業時間が選択でき、始業・終業時間も所属長との合意の上で決めることができる。また、大学という特性から、授業や入試業務などで日曜日や祝日に出勤となることもあるが、子育て中の教員・職員が出勤しやすいように、休日の託児料を補助する。最近では、職場のメールシステムが自宅からも利用できるようになり、産休・育休中にも大学の情報が入手でき、復職がよりスムーズになったという。

次に、人事考課制度については、短時間勤務中の職員も「働いた時間の長さ」ではなく、時間内でのパフォーマンスを大切にし、目標の設定を上司とともに行っている。また考課については、上司が部下の働き全体をバランス良く様々な視点で点数化している。今後、考課項目を含め、より公平な考課の実現と大学職員としての高度な「専門性」を育成できるよう、人事制度を検討していきたいと考えている。

修道大学では転勤せず、様々な経験を積み、長期的なキャリア形成を実現することができる。これらは、両立支援制度や人事考課制度の整備のみならず、長期間にわたる組織的な取組や、一人ひとりの意識の涵養が図られてきたことにより、働きやすい職場の風土、文化が自然な形で存在していることも大きいと考える。

3 女性だけでなく、多様化する人材への対応も

「女性にとって働きやすい職場は、男性にとっても働きやすい」と語るのは、人事課の古川課長。事実、その言葉通り、修道大学では男性職員でも女性と同様、介護や育児など、家庭との両立を図りながら仕事をしている職員が多いという。男性の育児休業制度の利用実績も複数あり、長いものでは半年程度の取得があったそうだ。この背景には、大学として男女共同参画への理解や意識が高いこと、また女性が様々な両立支援制度を利用しながら管理職にも登用されていることから、男性も制度を利用しやすいことがあるようだ。ただ、制度の利用者が増えると、その間の業務をどうカバーしていくかという問題も生じる。現在は、派遣職員や臨時職員を募集して業務をカバーしているが、専任でなければ対応できない業務もあり、代替する専任職員の業務負担が重くなるケースもある。今後は様々な事情に配慮していきたいと古川課長は考えている。

育児以外の支援としては、傷病による長期治療を支援するため、有給休暇以外に病気欠勤期間の給与支給制度がある。また、設備においては、車いすでも使いやすいコピー機の導入やトイレの改修など、バリアフリーを含めた環境整備を行う。このような職場環境づくりの結果、新卒採用において男性に比べ圧倒的に女性のエントリーが多く、逆に男性の確保に困るほどの状態だそうだ。

今後の目標について古川課長は、「さらに働きやすい職場にする」ために、育児、病気治療をしながら就労する人への支援を続けるとともに、家族の介護をしながら就労されている人への支援も重要と述べる。女性だけでなく「多様性を重視した職場環境づくり」を進め、あらゆる人にとって働きやすい職場を目指し、教員・職員だけでなく、教員・職員の家族からも「良かった」と思われる職場にしたいと考えているそうだ。

取材担当者からの一言

教育業界においては、「育児・介護休業法」の動きを見てもわかるとおり、医療や福祉の現場同様、早い段階で「女性にとって働きやすい職場環境」が整備されてきた。そういった背景や法律の追い風もあって、修道大学では女性活躍が進んでいるのであろう。ただ、法律や制度の整備だけでは不十分な部分もある。種田財務部長と古川人事課長が語るように「女性活躍にとどまらず多様な人が活躍できる組織を作るには、①制度を整える、②風土を醸成する、③推進するリーダーの存在、この3本柱が重要」である。それを実践してきたからこそ、役員、管理職、従業員において男性、女性がバランスよく配置されているのだろう。今後はさらなる多様性を実現させ、広島県内をリードしてほしい。

type2_shudo_5.jpg●取材日 2017年11月
●取材ご対応者
広島修道大学 人事課長 古川 亜衣子氏


type2_shudo_6.jpg学校法人修道学園 理事
広島修道大学 財務部長 種田 奈美枝氏