女性活躍事例一覧

「『ゆめCanプロジェクト』始動!
業界ならではの課題解決へ大きな1歩」

株式会社イズミ

  • 卸売業・小売業
  • 広島市
  • 301以上
  • 方針・取組体制
  • 両立・継続支援
  • 能力開発・キャリアアップ支援
  • 職場風土
  • 管理職のマネジメント
認定マーク
所在地 広島県広島市東区二葉の里3丁目3番1号
URL https://www.izumi.co.jp/corp/
業務内容 イズミグループは、戦後間もない1946年に、現会長の山西義政氏が広島駅前で露店を始めたことを機に創立。今では、グループ全体で売上7,000億円超、中四国および九州に約200店舗(2016年時点)展開し、広島県内企業の中でも最大規模に。事業内容としては、ショッピングセンター、ゼネラル・マーチャンダイジング・ストア(GMS)、スーパーマーケット等の業態による衣料品、住居関連品、食料品等の販売およびインポート事業を行う。
従業員数 17,928名
女性従業員比率 75.5%
女性管理職比率 8.3%

(2017年10月現在)

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代表取締役社長 山西 泰明 氏

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  • 女性管理職比率アップを目指す「ゆめCanプロジェクト」の立ち上げ
  • 新制度の運用開始後、出産後の継続就業率は98%に。リキャリア制度や女性活躍先進企業への訪問も
  • 女性従業員、男性管理職それぞれに適した内容で「女性リーダー育成研修」を実施
  • 社内広報誌「ゆめCanNEWS」を四半期毎に発行し、意識改革と情報伝達

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1 女性管理職比率アップを目指す「ゆめCanプロジェクト」の立ち上げ

「女性の活躍がなぜ重要かというと、優秀な人材が増えることは会社や社会にとって大きな貢献となるからの一言に尽きます。今まで時代の流れもあり、主に男性が管理職に就いていましたが、女性が同じ数加わるだけで単純に2倍になります。採用は男女平等なのに、結婚や出産で辞める選択をするのはもったいない。女性も働き続けられる環境を整え、今まで発揮することが難しかった女性の潜在能力を顕在化し、さらにそれを活用することができれば、会社にとってこんなにうれしいことはありません」と山西社長は語る(※1)。

(株)イズミ(以下、イズミ)は、「2020年度までに女性管理職比率を20%にする」という目標を掲げ、1兆円企業に成長するために不可欠な要素の1つとして女性活躍推進に取り組んでいる。平成26年9月時点で、女性の正規従業員は全体の4割。しかし、女性管理職比率は7.3%と男性に比べて圧倒的に少ない状況であった。

その原因を探ると「女性自身が管理職になりたがらない傾向にある」ことが判明し、その背景には「今の管理職のように長時間働きたくない」「管理職になるだけの知識やスキルがない」「女性管理職のロールモデルが少ない、管理職が何をしているのか見えない」といった思いが女性従業員の中にあることがわかった。

同社では主任までは男女ともに同じペースで昇進昇格するが、結婚・出産を機に一般職(役職なし)や「パートナー社員(※2)」を希望する従業員が多く、キャリアアップにつながっていない。そこで、「女性管理職を増やし、男女問わず優秀な人材が当たり前に活躍できる場をつくることは急務」と考え、平成26年9月、女性活躍推進に舵を切ってキックオフしたのが「ゆめCanプロジェクト(以下、ゆめCan)」である。

このプロジェクトは、人事部、能力開発部、総務部からメンバーを選出。①制度の充実、②能力開発、③全体への周知を3本柱に置き、女性従業員の定着、スキル向上と能力発揮、意識改革と制度周知に努めている(図1参照)。その結果、平成29年10月時点で女性管理職比率が8.3%と1%上昇し、管理職登用検定参加者は2年前と比べて約2倍となり、少しずつ成果が表れてきていることがうかがえる。

図1 ゆめCanプロジェクトの組織図
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平成29年5月には「女性正社員の育児休業取得率80%以上を維持」「男性正社員1名以上の育児休業取得」といった目標をクリアし、「子育てサポート企業」として「くるみんマーク」(※3)を取得、さらには平成29年9月に「えるぼし」(※4)認定の最高位である3段階目も取得した。これは「採用」「就業継続」「労働時間等の働き方」「管理職比率」「多様なキャリアコース」のすべての項目で認定基準を満たした結果である。

※1イズミの社内広報誌「ゆめCanNEWS」より一部抜粋。
※2イズミでは、パート従業員のことを「パートナー社員」と呼ぶ。
※3くるみん認定・・・次世代育成支援対策推進法に基づき一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し一定の基準を満たした企業は、申請を行うことによって「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受けることができる。(出典:厚生労働省HP)
※4えるぼし認定・・・「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(通称:女性活躍推進法)」に基づき、女性の活躍推進への取り組みが一定の基準を満たした企業に対して厚生労働大臣から受けられる認定マーク

2 新制度の運用開始後、出産後の継続就業率は98%に。
リキャリア制度や女性活躍先進企業への訪問も

ゆめCanの柱の1つである「制度の充実」に関して、イズミでは様々な両立支援制度を整備した。まずは優秀な人材が退職しないよう、「全正規従業員が利用できる半日有給休暇制度」、「子供が満3歳に達するまでの期間取得ができる育児休業制度」、「育児時短勤務者への休日保育の利用料補助」、「妊娠中の女性従業員へのマタニティーバッジの貸出」等の制度を開始した。その結果、平成28年度は、女性正社員が妊娠・出産後も継続就業した率は98%となった。
また「リキャリア制度」という、以前イズミで働いていた正社員が、何らかの理由で辞めた後もまた正社員として再就職できる制度がある。以前も「再雇用制度」はあったが、年齢や「退社して○年以内まで」という制限があり、利用者は制度変更前の2年間で5名であった。「リキャリア制度」では、こういった制限をなくし、多くの人が再就職できるように制度を変更。その結果、子育て中の女性が多く戻ってくるようになり、利用者は制度変更後2年間で15名に増加した。

退職前に主任だった従業員については、希望すれば「主任」からの再スタートも可能だが、「リキャリア制度」活用者の多くは、ブランクに不安を感じており、一般職から再スタートする人が多いという。

ゆめCanでは、女性活躍の先進企業へ訪問し、参考となる取組事例の収集もしている。平成28年8月に他社を参考にして作成したのが、管理職用の「ワークライフバランスマネジメントハンドブック」だ。ハンドブックの内容の一例を聞くと、「妊娠の報告を聞いたら、まずは『おめでとう』と伝える」といった女性に対する配慮から、産休前後および復職1カ月前後までの両立支援プログラムスケジュール等まで、細かく記載されている。これは、就業継続やキャリアアップを促すために、産休前・復職前の従業員に対する直属の上司の支援や配慮が重要であるが、管理職が「制度や配慮の仕方が分からない」といった現状に対応するためだ。また、このハンドブックは配布するだけではなく、月1回開催される幹部会において、記載されている事項がどのくらい達成されているか、確認を行っているという。

3 女性従業員、男性管理職それぞれに適した内容で「女性リーダー育成研修」を実施

柱の2つ目である「能力開発」においては、主に社内研修制度の拡充に力を入れている。

この中で、3年前から本格的に取組を強化したのが「女性リーダー育成研修」だ。「なぜ、女性管理職比率を向上させることが必要なのか」といった意識改革や、管理職になるにあたって不安要因となっていた論理的思考力、マネジメント力のアップにフォーカスした研修を実施し、キャリアアップ志向の醸成やスキルアップを図る。

この研修に合わせて、男性管理職向けに「女性リーダーをどう育成すればよいか」といった研修も実施。男性管理職としても女性活躍の重要性を認識し、自身が管理職のやりがいを部下に伝えること、管理職に集中しがちな様々な負担を軽減し、安心してキャリアアップを目指せる職場づくりをすることなどを学ぶ機会を設けているという。

4 社内広報誌「ゆめCanNEWS」を四半期毎に発行し、意識改革と情報伝達

type2_izumi_4.jpg柱の3つ目「全体への周知」において実施しているのが、3カ月毎の「ゆめCanNEWS」という社内広報誌の発行だ。

女性管理職へのインタビュー、両立支援制度の紹介、専門家による意見・アドバイス、ゆめCanの取組紹介など、女性活躍推進に関する幅広い情報を掲載することで、制度の社内周知や女性活躍の風土醸成につながる内容となっている。

また、毎号表紙には現時点での女性管理職比率を掲載し、達成状況の「見える化」を行っている。創刊当初は、冊子形式で発行したが、作成側も読者側もボリュームが多すぎることが問題と認識。そこでvol.3からA3カラー両面へと形態変更し、一気に読み手が増えたという。発行後の反応は、「プロジェクトが何をしているかわかる」といった声が多く、概ね高評価であるようだ。

平成29年10月発行号(vol.11)では、「2020年度に女性管理職比率20%達成」をコミットするという山西社長のトップメッセージが掲載されていた。「管理職の公休改善、育児休業中の社員に対する新たなサポートプログラム、四半期に一度のゆめCanプロジェクト会議に山西社長も参加する」といった社長自身の今後の目標が掲載されており、トップの本気度を伝えている。

取材担当者からの一言

「卸売業・小売業」全体の課題として、女性従業員比率が51.1%(※5)と高いにも関わらず、女性管理職比率が13.8%(※6)と低いことが挙げられる。

特に小売業においては、平日・休祝日関係なく、早朝から深夜までの営業時間が一般的となっている近年の背景から、長時間、早朝・深夜労働、土日出勤といった状況が発生しやすくなり、仕事と家庭の両立が難しい業種となってしまっていることが考えられる。

厚生労働省の「平成28年就労条件総合調査」においても「卸売業・小売業」の年次有給休暇の取得率が32.6%(年間5.2日)と、宿泊業、飲食サービス業に次いで低い水準である。一般職の状況から鑑みても、管理職ともなれば、「長時間労働の削減」や「有給休暇の取得」が難しい状況になると思われ、この課題に切り込まなければ業界として女性活躍推進の基本である「男女ともに働きやすい職場」とするのは難しいだろう。

イズミの今後の課題も、やはり管理職における労働環境整備だろう。ゆめCanでは、現在の働き方の状態のままでは、時間的制約のある社員が管理職になった場合、仕事と家庭の両立ができるかという点に不安を抱えているといい、「管理職の公休を増やす」という目標に対して、「各店舗に副店長制を敷く」、「管理職においてもシフト制にする」等の制度導入に向けた準備を始めている。

イズミの「2020年度の女性管理職比率20%」に向けての取組は、今後ますます加速するだろう。これからのイズミにおける活動に注目したい。

※5出典:総務省統計局(2016年)『労働力調査 長期時系列データ 表5 第12回改定日本標準産業分類別就業者数』
※6出典:厚生労働省(2015年)『平成27年度雇用均等基本調査 図4 産業別女性管理職割合(企業規模10 人以上)』

type2_izumi_5.jpg●取材日 2017年11月
●取材ご対応者
能力開発部担当マネージャー ゆめCanプロジェクトリーダー 飛子 晴美 氏