女性活躍事例

「女性が活躍しやすい業種だからこそ、就業継続や子育て両立支援に自信あり」

株式会社のとテック

  • 卸売業・小売業
  • 尾道市
  • 31〜100
  • 両立・継続支援
  • 人材活用
社名 株式会社のとテック
所在地 尾道市高須町5103-1
URL https://www.nototec.co.jp/
業務内容 株式会社のとテックは、携帯電話販売代理店として備後地方に4店舗のドコモショップや福祉施設(デイサービス)等を運営している。時代の変化に応じて人と人のコミュニケーション方法が変わる中で、携帯電話・タブレット・光回線などを通じて、お客様とのコミュニケーションの広がりや楽しさ、驚きを追及し、地域、世代を人々が豊かに生活できる社会の実現に貢献することを目指す。
従業員数 65名
女性従業員比率 61.5%
女性管理職比率 75.0%

(2018年10月現在)

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  • 創業以来女性が多く、女性管理職比率も75%
  • 子育て世代の従業員に配慮した、就業継続対策を実施
  • 孤軍奮闘にならぬよう、相談の場を設けるなど、柔らかくサポート
  • お客様へのサービスの鍵を握るのは“人“。新卒採用と人材育成に注力

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1.創業以来女性が多く、女性管理職比率も75%

nototec_1.JPG株式会社のとテック(以下、“のとテック”)は広島県尾道市を中心として、4店舗の携帯電話販売代理店、デイサービス「リハプライドデイサービスセンターこうざん」、子供向け英会話教室「アップルツリーイングリッシュ」を運営している。今回の記事では、同社の主な事業である携帯電話販売代理店での女性活躍に焦点を当てる。

株式会社NTTドコモの携帯電話を専門に取り扱う販売代理店を運営する“のとテック”の特長は、スマートフォンが台頭する以前の2000年代初頭までは、女性従業員が中心となって活躍していたことだ。事実、当時の店長は4人全員が女性だったという。スマートフォンの普及とともに、 ITやアプリケーションなどに興味を持つ男性が続々と入社し、現在では女性従業員比率が61.5%となり、店舗では男女がほぼ半々になった。

もう一つの特長として、“のとテック”において結婚・出産といったライフイベントのために退職する女性従業員はほぼいないということだ。同社において過去5年間、育児休業の取得率は100%で、常に2~3名の女性従業員が育児休業中だという。中には第二子、第三子の育児休業を取得している従業員もおり、取得しやすさがうかがえる。「出産して子育てをしながらでも、戻ってきやすい組織づくり、風土づくりを心掛けています」と、自身も2児の子育て中である代表取締役の能登雅子社長は話す。

2.子育て世代の従業員に配慮した、就業継続対策を実施

“のとテック”の従業員の平均年齢は45歳。携帯事業においては35歳と男女共に子育て世代にあたる。さらに、近年入社した若手の従業員がライフイベントで退職せずに済むよう、2018年から新たに2つの取組を開始して強化を図っている。

1つ目の取組は、「働き方改革」である。シフトを変更し、従業員一人一人にノー残業デーを設定して、確実に定時で帰宅できる日を設けた。また、携帯電話の新規契約数が多く、繁忙期である3~4月に非正規従業員が出勤できるよう調整した。企業にとっても働く側にとっても需要と供給が合う対策を見つけ、実践しはじめている。

2つ目の取組は、2018年11月より会社独自の「子供手当」という子育て世代を支援する制度の新設である。会社独自の「子供手当」では、15歳以下の子供がいる従業員へ、扶養の有無に関係なく手当を支給する。例えば、夫が別の企業で働き、子供を扶養に入れていて、妻が同社で勤務している場合であっても支給される。

3.孤軍奮闘にならぬよう、相談の場を設けるなど、柔らかくサポート

「本当にいいのかな、と思うほどの裁量を与えられ、仕事を任せてもらいました」と話すのは携帯事業部の女性マネージャーである。実は前職を退職し、次の仕事を探すまでの、つなぎのつもりで入社をしたそう。「入社して驚いたのが、人間関係によるストレスをあまり感じなかったこと。同年代の女性が多かったこともあり、終業後、同僚とよく遊びに行っていました」と話す。さまざまなお客様に対して接客業務を行うため、少々悩むこともあったというが、携帯電話の販売を通して、地域に貢献しながら仕事ができることに喜びを感じていたという。「業界的にも常に変化があって、刺激もありますし、何よりお客様と信頼関係を築けたことがうれしかったです。コンテナ一杯の野菜や、お菓子を届けてくれる方も居て、驚いたこともありました」。

同社の働きやすさもあり、継続した結果、入社から半年後には正規従業員へと登用され、また7年がたった29歳の時には松永店の店長に抜擢された。従来の、接客・販売業務だけでなく、店舗の営業成績や、従業員育成などの店舗マネジメントを行わなければならない。今まで経験したことのない、販売施策の立案や新人教育などに当初は苦戦したという。

そんな時、助けてくれたのは競合他社の店長達だった。当時“のとテック”との間にネットワークがあり、彼女と同様の悩みを抱えていた他社の店長と情報交換しながら、解決策を導きだしていった。努力をともにした当時の店長達とは、今でも交流があるという。

その後、松永店の店長を部下に任せ、32歳で現職の携帯事業部のマネージャーへと昇格。全社的な予算や店舗の管理、店舗の新規立ち上げ、さらに人事も担当した。彼女は店長時代の経験を踏まえて、副店長や中堅の従業員に対して、短期間だけ別店舗で業務をおこなってもらい店舗間交流を促進した。目的は人材交流だけでなく、市場の違いを従業員に体験してもらい、自分の店舗に他店舗の良い点を活かしてもらうためだ。

また、4店舗の店長が一同に介する店長会議を始めた。これは各店舗の業績などを共有するだけでなく、店長同士が日頃からコミュニケーションを取ることで、業務上の悩みを相談しやすくするためだ。会社と店舗従業員の間に立つ店長が、悩みを抱えないよう、相談できる場所を持たせよう、という配慮である。

彼女はマネージャーの在任中に、2度の出産を経験し、育児休業を取得している。そして、現在も9時~17時までの短時間勤務でマネージャーを勤めているそう。持ち前の明るさと決断力、そして行動力を生かして、子育てと両立しながらマネージャーとしての任務を果たしている。次なる課題は物理的に距離が離れた従業員、また世代の離れた従業員とのコミュニケーションの強化だという。

4.お客様へのサービスの鍵を握るのは“人“。新卒採用と人材育成に注力

現在、注力しているのは新卒採用。2018年度の新卒採用から、社内で「採用プロジェクト」を立ち上げた。年齢・性別が異なるマネージャー2名と従業員2名の計4名をメンバーとし、採用コンサルタントの助言も受けながら、丸1年かけてプロジェクトを実施した。採用イベントには、積極的に参加をすることとし、社内でも営業力が高いと評価される男女の従業員2名が「とにかく学生に自社ブースのイスに座ってもらうこと」を目標に、「学生への営業活動」を行ったそうだ。その結果、前年度の2名を上回る4名の新入社員が入社した。2019年度も目標通りの4名が内定しているという。

また、人事評価の見直しを検討中で、現行は営業成績に重きをおいた評価となっているが、今後はチームマネジメントも重視していく予定だ。積極的な店舗間交流により、従業員の風通しを良くし、他店の優れた点を自店へ生かし、さらなる顧客サービス向上を目指す。インターネット上で携帯電話契約ができる時代ではあるが、お客様から選ばれる店舗となるために、ますます人材育成に力を入れていきたいという。

取材担当者からの一言

運営するのは携帯電話販売代理店だが、提供するのはサービス。競合他社と同じものを売る同社にとって、差別化を図る鍵は従業員の提供するサービスそのものだ。つまり、優秀な人材の採用や雇用継続、人材育成は欠かせない。キーとなる女性従業員への対策を講じた結果、女性管理職比率75%という高さや、子育てとの両立につながっているようだ。

かつては、女性従業員が多数であったため、自然と女性が店長になる風土ができていたというが、現在では、男性従業員が増えてほぼ店舗では男女半々となっているそうだ。携帯電話業界が次々と変化するように、 “のとテック”も柔軟に変化をし、男性従業員を増やして多様化しているようだ。

●取材日 2018年10月

●取材ご対応者
株式会社のとテック
代表取締役 能登 雅子 氏
携帯事業部 マネージャー