女性活躍事例一覧

「制度の次はムードを整え、採用拡大から管理職増大へ」

リョービ株式会社

  • 製造業
  • 府中市
  • 301以上
  • 能力開発・キャリアアップ支援
  • 登用
  • 職場風土
認定マーク
法人名 リョービ株式会社
所在地 府中市目崎町762
URL https://www.ryobi-group.co.jp/
業務内容 リョービは、世界トップクラスのダイカスト(※)メーカーとして、世界中の自動車メーカーに、さまざまな構成部品を供給。独自の技術を培いながら、技術力と品質に高い評価を得ている。一方で、そうした技術と経験を活かし、建築用品、印刷機器などの完成商品事業も展開している。 ※ダイカストとは、溶かした非鉄金属の合金を、精密な金型に高速・高圧で注入し、瞬時に製品を成形する鋳造技術。
従業員数 1,774
女性従業員比率 12.8
女性管理職比率 3.8

(2019年6月現在)

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  • ライフイベントと両立しやすく働きやすい制度が整備されている中で、多様な人材の活躍を促す取組を開始
  • 女性管理職のロールモデルを生み出す
  • 女性の採用を強化し、活躍の場を拡大し、社風すらも変化させて

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1.ライフイベントと両立しやすく働きやすい制度が整備されている中で、多様な人材の活躍を促す取組を開始

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1943年にダイカストメーカーとして出発し、独自の技術を培いながら、主に自動車産業向けにさまざまな構成部品をつくり出してきたリョービ株式会社(以下、リョービ)。

リョービの女性従業員比率は12.8%で、輸送用機械器具製造業の全国平均である15.6%(※1)を2.8ポイント下回るものの、女性管理職比率は3.8%で、同全国平均2.4%(※2)を1.4ポイント 上回る。

また、同社の平均勤続年数は、女性社員が19.0年(2019年3月時点)で、男性社員の18.1年(同)よりも長い。というのは、51年の歴史を誇るリョービ保育園をはじめ、小学校3年生までの育児や介護のための短時間勤務制度、育児・介護を理由に退職した社員の再雇用制度などの利用が定着し、働きやすい環境が整っているからだ(働き方改革の記事はこちら)。

図1 リョービと全国平均(輸送用機械器具製造業)の比較

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※1 出典:厚生労働省(2017年6月)「賃金構造基本統計調査(輸送用機械器具製造業の企業規模、100~999人)」
※2 出典:厚生労働省(2018年4月)女性の職業生活における活躍推進に関する法律に基づく認定制度に係る「産業ごとの管理職に占める女性労働者の割合の平均値」について(改訂)

「2013年に女性活躍を推進することを宣言して以来、取り組みを進めてきました。ダイバーシティのひとつでもある女性活躍推進は、多様な人材が活躍することで、社内にイノベーションの機会を創出するものと捉えています。近年は、特に女性の採用拡大と管理職育成に力を入れています」と、管理本部人事部人材開発課の手塚雅子課長は話す。

2.女性管理職のロールモデルを生み出す

第一期の女性推進行動計画(2016年4月から3年間)を策定した時点では、女性管理職はいなかった。そこで、同計画では、女性の採用比率(中途含む)を20%以上にするとともに、女性管理職を2名以上登用する目標を立てた。

同社では、10数年前まで女性は事務職として入社し、サポート的な仕事を主に担当していた。しかも、同じ職務を長期間続けるケースが多く、ライフステージの変化があっても就業は継続する一方、キャリアアップを目指す女性が少ないことが課題であった。いわゆる総合職として、女性の大卒者を採用し始めて以来、女性がいなかった設計や営業といった職務への配属を始めたが、新卒者が管理職へと成長するには時間がかかっているのが現状のようだ。

そこでリョービでは、女性社員のキャリア形成支援をしながら内部からの昇格者を発掘するだけでなく、外部からも採用し、ロールモデルとなる女性管理職を生みだすことにした。

そして、2017年12月にリョービに3名の女性管理職が初めて誕生した。静岡工場で総務を担当していた1名と、中途採用者の2名である。実は、今回のインタビューに応じていただいた情報システム部長の井門忍さん井門さんの記事はこちらと、人材開発課の手塚課長は、外部採用から管理職になった2人だ。

「“女性が管理職として働く”というイメージが、男性・女性社員双方になかったので、最初は社内に少々戸惑いがあったかもしれません。しかし、3人が活動していく中で、徐々に自然なこととして受け取られつつあるように思います。そして、男性も女性もキャリアアップしていくという姿を示すことができたら」と、手塚課長は話す。

手塚課長は、新卒で入社した複写機メーカーで、東京、大阪、香港と3つの拠点における営業を6年間経験した。その後外資系の人材会社に転職し、グローバル企業担当営業として、人材サービスについての国際入札などを担当した。

「リョービでは男女問わず女性が昇格・昇進することや女性の管理職を特別なこととしてとらえる傾向がありますが、その意識を変えたい。当たり前のことであるという意識にしたいと思っています」と手塚課長は言い、最後のキャリアを日本の製造業で締めくくりたいと考え、リョービの人材開発課の仕事を選んだそうだ。

3.女性の採用を強化し、活躍の場を拡大し、社風すらも変化させて

現在は手塚課長を中心として、第二期の女性推進行動計画(2019年4月から3年間)のもと、ダイバーシティプロジェクトを推進している。課題としては、「女性の採用強化」「キャリアアップ支援」「女性社員の職域拡大」の3点だ。

まず、「女性の採用強化」だが、近年は新規学卒者における女性の採用比率は20%以上となっていたが、さらに2020年度採用から30%以上を目標とした。これは、現時点では達成が見込まれているという。

表1 リョービにおける過去3年間の男女別新卒採用者数(人)

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また「キャリアアップ支援」としては、従来から実施している中堅社員向けの「Mクラス(管理職)育成コース」への参加や、昇格試験への挑戦を女性社員やその上司に促しているそうだ。長年勤務する女性社員の中には、一般職であっても、事実上重要な役割を果たしていたり、実力をつけていたりして、背中を押してあげれば将来管理職としての活躍が期待される人材がいるからだ。地道な取り組みを行った結果、管理職手前となる主任、係長クラスの人材の層が、徐々に増えつつあり、社内のムードも変化しつつある。さらに、ライフイベントがキャリアアップの障害とならないよう、公正に育成・評価するような取組も進めている。

最後の「女性社員の職域拡大」だが、従来は男性中心の職場であった鋳造技術、生産技術、金型といった技術部門や、ダイカストや建築の営業部門に、女性の新卒者を配属している。「初めて女性が配属された職場からは、活気が生まれる、他の社員の良い刺激を与えるといった感想が寄せられ、また来年も女性社員を配属してほしい、と要望が出るほどです」と、手塚課長は手応えを感じている。男女問わず、若手社員が職務経験を着実に積む機会を与え、育成していく方針だ。

そして今後力を入れるのは、今までの男女の役割分担意識に基づく職場慣行や職場風土を変えるための、意識改革に向けた取組だそうだ。特に、現場の管理職の意識改革をして、風土を変えていきたいという。

「最終ゴールは、女性社員のためのポジティブなアクション が不要となり、さまざま人たちが自然と活躍できる職場にすることです」と、手塚課長は言い、これからも挑戦する社員の背中を押しながら「人づくり」を進めていく。

●取材担当者からの一言

女性の管理職が少ないまたはいない理由として、登用対象となる人材がいないこと、女性がキャリアアップを希望しないことを挙げる企業は多い。リョービはまさにこの2点を課題として取り組んできた。

図2 女性の管理職が少ないまたはいない理由

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※出典:広島県女性活躍推進企業実態調査報告書(平成29年3月)

その解決策のひとつとして、他社でキャリアを積んだ人材を採用し、女性管理職として働く姿を定着させ、後続を育成・登用しようとしている。他社でのキャリアも、ダイバーシティのひとつ。多様な人材を受け入れて力を発揮させ、良い形で融合させ、継続的な発展を目指すという、手本となる事例であると感じた。

●取材日 2019年9月
●取材ご対応者
管理本部 人事部 人材開発課 課長 手塚 雅子 氏