働き方改革優良事例

ゆとりが生まれると職員が変わる

広島信用金庫

  • 金融業・保険業
  • 広島市
  • 301以上
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒730-8707 広島市中区富士見町3番15号
企業URL http://www.hiroshin.co.jp/
事業内容 協同組織金融業
職員数 1,288名(男性746人、女性542人)

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  • パソコンの一斉シャットダウンによる定時終業の促進
  • とにかく根気よくアナウンスしていくこと
  • 早帰りの好事例を全店舗で共有し、自発的な意識を促し、時間外削減
  • 改革の努力を評価する仕組みづくり
  • 従業員間のコミュニケーションや自己研鑽の時間がアップ

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好事例を共有し効率化を進めながら定時終業を実現

10年以上にわたる独自の働き方改革がベース

type1_hiroshin_2.jpg今回、認定を受ける以前から、10年以上にわたって独自の働き方改革を進めてきたという広島信用金庫。所定外労働の削減、育児休職の取得率向上、育児休職者の復職率向上、父親による出産休暇の取得、女性が管理職として活躍できる雇用環境の整備など、従業員全員が働きやすい環境、仕事と子育てを両立できる環境をつくることにより、全ての従業員がその能力を十分に発揮できるよう様々な取組を行ってきている。
様々な取組の中でも「長時間労働の削減」と「休暇取得の促進」はかなり早い段階から取り組んでおり、確実な成果を上げている。具体的な仕組みの一例として挙げられるのが、パソコンの一斉シャットダウンである。平成17年当初に導入した際は20時に設定され、それ以上使用する場合は残業の事前申請が必要となった。平成19年には30分早まって19時半となり、現在は19時に設定されている。今後は17時半を目標に、さらなる早帰りを実施すべく奮闘しているところだという。


広島信用金庫-平均残業時間.png「こうした意識改革をスピードアップさせるために、現在、当金庫では月4回の定時終業を実践しています。働き方は改革できるという風土をつくる一方で、早く帰れない状況や理由を明確にするため、取組に対する好事例を全支店へ水平展開し、全員で共有しています。中には月4回どころか、月8回の定時終業を申請している支店もあるほどです」そう語るのは、人事の内藤部長である。

しかし、ただ定時終業を促すだけで、長時間労働が是正されるわけではなく、早く帰るための工夫がある。それについて内藤部長は、広島信用金庫では随分前から業務効率化に向けた取組が行われており、早く帰るための環境づくりを整備してきたという。例えば膨大な量となる書類は、“管理”という業務を発生させないために店舗内に一切置かず、1カ所で集中管理するなど、グループを挙げての効率化が、あらゆる面で進められている。
その他にも、遅くまで仕事をすることが評価された時代から脱却するため、時間内に業務を終える人を評価する、「労働時間管理責任者」を各支店に1名配置、など、全従業員に意識改革が浸透する仕組みが整備されている。

評価される風土が各自の自発性を育む

継続的な呼び掛けと評価する姿勢

type1_hiroshin_4.jpg取組においては、長い実績を持つ広島信用金庫だが、現在のような成果を上げるまでにはいろいろ課題もあったようだ。中でも一番苦労したのは、労働時間の管理という。始まった当初は、適正に管理できている店舗が少なく、部店長や労働時間管理責任者へ、管理の徹底について繰り返しアナウンスすることによって、徐々に浸透させていったそうだ。

内藤部長も制度を浸透させていくには、「とにかく根気よくアナウンスしていくことが重要」だという。現状、100%の達成を目指してはいるが、一部達成できていない部店もあり、やはり粘り強く指導するとともに、根本的な事務負担の軽減や生産性の向上など、あらゆる観点からサポートを行い、全店達成を目指していきたいとのことである。


type1_hiroshin_3.jpgまた、システムが一新された時などは、業務に慣れるまで時間がかかり、時間内に終えなければというプレッシャーに悩まされたこともあったそうだ。忙しい時期にも同様のプレッシャーはあるが、克服するには仕事の配分を見直し、部店のメンバー全員で知恵を出し合っていくしかないとのことだ。特に業務の交通整理のような役割を果たすプレーイング・マネージャーの差配が重要であり、業務が集中した時こそ、職場全体を俯瞰するリーダーの存在が重要になっているそうだ。
様々な課題はあるものの、制度を定着させていくコツを内藤部長に尋ねたところ、「重要なのは、まず評価される企業風土をつくること」という。例えば全ての部店で好事例を共有することも、ある種の評価であり、各部店の自発性を促すきっかけになっている。「あそこの部店はあんなに成果を上げている。こちらも負けるわけにはいかないと、みんなで具体的な改善策を考えるようになれば、やらされている感もなくなり、みんなで取り組む状況が生まれる」と、内藤部長も事例共有による効果を語っている。事例を水平展開することにより、互いに良い意味での競争意識が芽生え、良い事例として取り上げられた部店はそれが誇りにもなる。きちんと評価し、取り上げることで、全部店に相乗効果が波及しているというわけだ。

生まれたゆとりは自己研鑽の時間に!

改革の成果は従業員間のコミュニケーションにも

type1_hiroshin_5.jpg前述のように、最近では早帰りの意識が浸透し、ほぼ全店舗で月4回以上の定時終業が行われており、その結果、「仕事帰りに同僚、先輩との食事によるコミュニケーションが増えた」といった声も聞かれるようになったという。研修センターを活用して、支店全体でのファミリートレーニング(勉強会)を行う店舗も増加するなど余裕も生まれている。働き方が変わった結果、チームワークの強化や個々の研鑽に充てるゆとりが生まれ、それが業務に還元されていることが何よりの成果だと、内藤部長たちも改革による変化に期待を寄せている。一方、有給取得率に関しては44%というデータが出ているが、「まだまだ少ないので、もっと有給休暇を取得できるようにしたい」と、今後の課題として認識。
今回認定を受けたことについて、内藤部長は「認定いただいた取組内容は、正直なところ、10年以上前から当金庫が地道に行ってきたことを認めていただいたものと思っています。しかし、私どもが理想とする働き方にはまだまだ到達しておらず、今後もたゆまぬ努力が必要だと思っています。今回、認定を受けたことで、本当の働き方改革をスタートさせるきっかけにしたいと思っています」と語ってくれた。

協同組織の地域金融機関として、地域とともに歩み、ともに発展するという理念を持つ同金庫が、より地域に密着した営業を実現していくには、一人一人がイキイキ働いていることが何よりも重要になる。そのため、働き方改革により生じたゆとりは、従業員一人一人の人間力アップへとつなげ、最終的には地域の元気を生み出す力として還元されることを願っているという。
最後に、これから働き方改革の取組を行う企業に対して、応援の言葉を寄せてくれた。
「目的は決して早く帰ることではなく、必要な業務を効率的に行うこと。そして効率よく業務を遂行した方をきちんと評価することが重要だと、われわれは捉えています。その評価の仕組みをつくることも、働き方改革には欠かせません。できることから一つ一つトライすることで、無理なく改革を進められます」