働き方改革優良事例

人生にも仕事にも、目標が生まれる働き方改革

株式会社 広島精機

  • 製造業
  • 廿日市市
  • 31〜100
  • 推進体制(経営者)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
  • 多様な人材の活躍
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒738-0039 広島県廿日市市宮内工業団地2-3
URL http://hiroshima-seiki.co.jp/
業務内容 一般機械器具製造業
従業員数 45名(男性35名、女性10名)

(2018年2月現在)

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  • 働き方改革で様々なライフステージに配慮できる職場づくり
  • 残業時間の現状を共有し、経営者と管理職から意識改革をスタート
  • 従業員からの改善提案を促すために、提案方法を簡略化しハードルを下げる
  • 改革に対する従業員の理解を得るため、必要性を粘り強く説明

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それぞれのライフステージに配慮できる職場づくり

まずは上層部から、粘り強く意識改革!

type1_hiroshimaseiki_2.jpg企業にとって、必要な人材の確保は大きな課題である。特に、広島精機のように、技術職の人材、いわゆる職人さんたちに支えられた会社では、技術の習得・習熟は一朝一夕には成り立たない。長い時間をかけた人づくりと、長く勤めてもらうための魅力ある職場づくりが不可欠だ。広島精機では、終身雇用を前提とした人材育成を行い、従業員に安心して長く働いてもらうため、それぞれのライフステージに配慮した職場づくりに取り組んでいる。

そんな同社の働き方改革について、柳原邦典社長は「弊社で働きながら、様々なライフステージにおいて、従業員一人一人が時間を有効に活用し、充実した人生を送って欲しいと思っています。そのための環境づくりが、わが社における働き方改革です」と語る。


type1_hiroshimaseiki_3.jpgまず、取組を進めるにあたり、ノー残業デーの設定と残業時間の現状を社内で公表し、共有することにした。同時に36協定の上限を示して、この時間を超えないように、日々の計画的な調整をお願いすることから始めた。上限時間を超えそうな従業員には、リーダーを通して個別に声かけを行った。ところが従業員の間には、納期への責任感や職人としてのプライド、さらに“自分は別”という意識もどこかにあり、当初は趣旨がなかなか伝わらず反発もあったという。このため、柳原社長自らが各部署の管理者と直に粘り強く説明することで、時間外労働を削減することの重要性や、いかに効率的に業務を行うかなどの意識の浸透を図っていった。

「一歩一歩進めていきました。業務改善提案に対する社内の表彰制度などの仕組みも手伝って、作業効率向上への意識は着実に定着しつつあります」と、柳原社長は変化への手応えを語る。一方で「まだまだ道半ばだ」という厳しい自己評価も忘れていない。

ハードルが高く感じられていた業務改善提案

制度見直し提案しやすい風土をつくる

type1_hiroshimaseiki_5.jpg広島精機の働き方改革を推進する上で、大きな役割を果たしているのが、前述の柳原社長の言葉にもあった「業務改善表彰」。実は、職場の改善案件に対する報奨金制度は以前から設けていた。しかし、提出書類が煩雑で活用率は低く、関心を持つ従業員も一部に限られている状況にあった。


type1_hiroshimaseiki_4.jpg当時の従業員の意識を製造部・管理部門の沖田茂雄課長が語ってくれた。「以前の提案書は、書式が複雑で書くことも面倒と感じる上に、すごい改善案でないと、提出しづらいと感じていたようでした」そこで現場従業員の提案をきっかけに、管理職レベルが書式の簡素化を実行。書類を簡略化するだけでなく、ささいなことでも社内の安全や効率性の向上に寄与した場合は評価することとし、提案へのハードルを下げ、誰もが発言しやすい雰囲気をつくった。
「提案には、きちんとランクを付けて評価し、報奨金を出すようにしたところ、提案件数は前期の16件から、今期は32件に増加しました」道具の置き方を変え、導線を短くすることから、工程が複雑なものを簡単にできる道具の製作など様々な提案が集まっている。一人では達成が難しい内容の改善も、誰かと協力して連名で提案し、改善表彰を受けるケースもあるという。少しの工夫と見直しにより、職場の業務改善意識が高まったといえるだろう。

こうした成果が得られる一方で、柳原社長は、取組の苦労を語る。「品質保持、納期順守の要求と残業時間短縮のためには、効率を上げるしかありません。しかし、一朝一夕に実現できるものではありません。日々の業務を行いつつ、改善を同時進行すると、一時的にとはいえ業務が増えてしまいます。そのためには、従業員の皆さんの理解と協力が必要不可欠です。趣旨が十分伝わっていないと『やらされている』という雰囲気が出たり、管理している側も『残業時間を取り締まっている』という気分になったり心苦しかったようです。働き方改革は必要。ニュースでもやっているし、そういう時代だから。でも、『自分は別』という意識が社内にありました。労働生産性を上げ、その成果として利益を確保し従業員に還元するという趣旨や目的が、きちんと伝わるように工夫しないといけなかったと反省しています」と、苦労や反省点について語ってくれた。

働く人が主役となれる職場づくり

成果を共有しさらなる発展を目指す

type1_hiroshimaseiki_6.jpgこうした取組により、広島精機では、時間外労働時間が前年度に比べて83%に減少し、平均有休取得日数は年間で2.6日増加した。この数字について、「多能工化の推進や生産性の向上を全従業員が自主的に考え、協力して行動した成果。従業員間のコミュニケーションの質が上がり、自分や家族のため、休みを取りやすい風土づくりに良い影響をもたらした」と柳原社長は分析している。ユニークな取組として、家族同伴での社員旅行も実施しているが、お互いの家族構成などが直接見えたことをきっかけに、学校行事への参加や家族旅行を理由とした有給休暇を取得しやすい雰囲気ができ始めたという。
「作業効率を上げるための打ち合わせはかなり増えました。また、各従業員のスキルマップを作り、経営陣と管理職が相談してジョブローテーションを組み、一人一人の技術の向上も図っています。労働時間を削減しながら、納期も品質も守る。一見困難な要求ですが、その成果として、しっかり利益を確保し従業員に還元できれば、今後さらなる改善へのモチベーションアップが図れると思います」と期待を込めて、今後の展望を語ってくれた。


type1_hiroshimaseiki_7.jpg同社では、子育て中の従業員も多い。製造部・検査担当の松岡真理子さんは、「メリハリの利いた働き方は、子育て中の自分にとってありがたいです。働き方改革をきっかけに、お互い様の気遣いも増えた気がします」と、職場の変化を実感している。


type1_hiroshimaseiki_8.jpg業務改善への意欲が高まったことについて、製造部・管理部門の沖田茂雄課長は、「改善提案が増え、みんなの仕事へのモチベーションが上がっているのが何よりうれしい!」と活気付く職場の雰囲気を歓迎している。


type1_hiroshimaseiki_9.jpg若手従業員の立和遵さんと廣段廉さんも、「働き方改革を通して、弊社の経営陣の従業員に対する思いが我々従業員にも伝わってきます。自分のライフデザインが描けるので、仕事にも人生にも目標が生まれ、モチベーションも自然とアップしているように思います」と語ってくれた。


同社の働き方改革はこれからも続いていく。
「働き方改革はあくなき挑戦だと思います。しかし、やらなければならないことです。“ものづくり屋”として、現場での工夫を凝らしながら、これからも進めていきたいと思っています」