働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

労働集約型の業務だからこそ、
安心して働ける環境を重視

社会福祉法人若葉

  • 医療・福祉
  • 尾道市
  • 101〜300
  • 推進体制(総務人事)
  • 休暇取得の促進
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒722-2101 尾道市因島大浜町427-9
URL https://wakaba-innoshima.com
業務内容 社会福祉事業
従業員数 200名(男性48名、女性152名)

(2019年10月現在)

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  • トップ自らが働きやすい職場づくりへの意識を改革
  • 職員の意識を調査し取組に反映
  • 男性育児休暇を制度化することで利用者増を図る
  • 時間単位の有給休暇制度を設けて、子育て世代の働きやすさを応援
  • 共通目標を掲げて、異なる職場のやる気をアップ

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ボランティアではなく業務として成り立たせる

取組に先立って行われたトップ陣の意識改革

type1_wakaba_2.jpg社会福祉事業は労働集約型産業である。一方、社会福祉法人若葉が業務をスタートした頃は、職員のボランティア精神に頼る部分が多く、適正な業務量や労務管理への認識が十分できていないという課題認識があった。しかし、それでは業務そのものを続けていくことはできないと考え、同法人は職場環境の改善に着手。それが現在の取組につながっているという。


取組に先立って同法人が行ったのは、経営陣による自らの意識改革であった。職員が「仕事と家庭を両立し、心豊かな生活を送ることでよい仕事ができる」という認識を経営陣の中で徹底させると同時に、そのためにはどのような仕組みが必要かを一つ一つ見直していった。


type1_wakaba_3.jpg常務理事で総合施設長の副島宏克氏は、取組に臨んだ当時の心境を振り返る。
「福祉の仕事は確かに大変な仕事です。でも、職員のモチベーションばかりに頼っていて何もしないでいたら、職員は心も体も疲れてしまい、いい仕事をすることもできません。せっかく福祉の志を持って入ってきてくれたのですから、われわれとしては働くことが喜びに変わるような仕組みをつくらなければ申し訳ない。そう思って取り組んだのが、働き方改革の始まりなのです」

さらに同法人では、経営陣の意識改革を行う一方で、職員の意識調査として、自己点検ツール(※)によるアンケートを行い、職員の意識がどういう状況なのかを具体的に把握した。職場に対しての年代別の意識の違いや、一般職員と管理職の意識の違いをデータにまとめて分析し、その結果に基づき、職員同士で改善方法などについて話し合い、具体的な取組の指針を検討した。
(※)広島県福祉・介護人材確保等総合支援協議会提供

子育て世代も安心して働ける環境を提供

男性育児休暇制度の導入と時間単位の有給休暇制度

同法人が運営する各事業所には子育て世代も多いことから、育児休暇の取得を奨励している。すでに女性職員の育児休暇については定着しているものの、男性職員が育児休暇を取った前例はなく、先陣を切って言い出しにくい雰囲気もあった。そこで男性職員の育児休暇を制度化し利用を促したところ、初の利用者が現れ、男性職員が抵抗なく育児休暇を取れる雰囲気が職場に定着しはじめた。

同法人の年次有給休暇制度は、40時間までを時間単位で取得することができ、残りを半日単位で取得することができる。こうした時間単位の有給休暇があるため、PTAの集まりや参観日といった家族のための休みも取りやすい。半日程度で済む用事などの場合、丸1日休みを取る必要がなくなるため、働く側にとっても、法人側にとってもうれしい制度だ。

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また、同法人では事業所ごとに就業時間帯は異なるのだが、職員へ家庭との両立を大切にしてほしいと話をしたうえで、原則定時で帰るよう徹底しており、やむを得ず残業する場合は、必ず事前に申請をするように義務付けている。人材育成・企画担当(総合施設長補佐)の西氏が、時間管理に向けた地道な努力を紹介してくれた。
「シフト勤務が発生する事業所に関しても、社会保険労務士さんなど外部の力も借りながら知恵を巡らし、工夫して業務の効率化を図り、できる限り時間外労働が発生しないように努めています。例えば、業務の申し送りをスムーズに行えるように、伝達事項について、口頭で引継ぎをするものと紙で記録するものに分けるなど、マニュアル化しています。また、社会保険労務士さんは、他事業者の成功事例などもよくご存じなので、良い事例があれば積極的に取り入れるようにしています」


type1_wakaba_5.jpgこうした取組を受けて、勤務3年目を迎える生活支援員の花田さんは、「土日は、基本的にしっかり休ませてもらっています。イベントなどの他業務で出勤することもありますが、平日にきちんと振り替え休日を取っています。他業種に就職した、同年代の友人と話していると、残業が多くて大変だという話をよく耳にしますが、私が働く施設では、ほぼ定時で帰れるので心にゆとりを持って働けます」と職場の働きやすさを評価。普段から同僚同士でカバーしあう体制が整っているので安心して休めるそうだ。


共通目標の設定で職員の意識を統一

働き方が異なる職員も、人材育成支援でモチベーションを維持

type1_wakaba_6.jpg同法人では、通所型の施設や24時間体制の施設があり、施設ごとにサービスの対象者が違い、勤務形態もそれぞれ異なるため、異動によりモチベーションが下がってしまうことも。そのため、勤務施設の違いを超えて、職員全員が同じ方向を向いてがんばれるよう、「どの職場でも通用できる人材になろう!」という目標を掲げ、職員全体で共有している。
例えば、研修を活発に行っており、外部の研修にも参加させることで、職員自身が自分の業務を客観的に再評価する機会を設け、自信アップにつなげたり、各種資格取得支援(手当の支給もあり)を通じて、モチベーションアップを図るなど、自己研鑽の機会も豊富に提供している。


type1_wakaba_7.jpgこうした一連の取組について副島常務理事は、職員の意識の変化に確かな手応えを感じているという。
「一歩ずつではありますが、働き方改革という名のもとに、職員の中にも自主的に『効率化を図り、少しでも生産性を上げよう』という意識が芽生えてきました。先日、職員の研究発表会に同席した際も、業務の記録用紙を簡略化することで事務仕事が減って、利用者様と触れ合う時間が増えたという職員の声を聞きました。小さなことですが、われわれにとっては、これが質の高い仕事を生み出す働き方改革の第一歩だととらえています」

最後に、村上祐司理事長から、「当法人は、地域との絆の中で、温かい支援を受けながら、成長してきた社会福祉法人グループです。職員の皆さんには当法人の看板を背負っているという誇りを常に持って、仕事に臨んでほしいと思っています。福祉の仕事は3Kなどと言われることもありますが、だからこそ私たちは、職員と議論もしながら魅力ある職場づくりや待遇改善に全力を注ぎ、福祉の仕事に就いて良かったと思ってもらえるよう、これからも努力していきたいと思っています」と力強いメッセージをいただいた。