働き方改革優良事例

会社の価値観の共有によって、
会社と社員の成長を促す働き方“革命”

株式会社 八天堂

  • 製造業
  • 三原市
  • 31〜100
  • 推進体制(経営者)
  • 長時間労働の削減
  • 時間・場所等の多様な働き方
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒723-0051 三原市宮浦3-31-7
URL http://hattendo.jp
業務内容 一品事業、EC事業、カフェリエ事業、新規事業海外展開
従業員数 106名(男性52名、女性54名)

(2018年2月現在)

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  • 経営危機で生まれた会社の価値観が「働き方改革」の土台
  • 社長と社員の双方向のコミュニケーションによる会社の価値観共有
  • 社員第一主義を体現する各種制度(週休3日制度、社内保育園、子育て有給休暇制度 等)
  • 会社や社員の成長につながる働き方を実現

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「八天堂は社員のために お品はお客さまのために 利益は未来のために」

「社員が幸せを感じる職場をつくりたい」という思いが出発点だった

type1_hattendo_2.jpg同社は、さかのぼると昭和8年に初代社長が三原の地に興した和菓子屋であり、その後県内に13店舗を数えるまでのパン屋に成長した。だが、店舗が増えるにつれ、「良い商品」から「売れる商品」を目指すようになり、気付かないうちに消費者の気持ちも社員の気持ちも会社から離れていき、次第に経営も行き詰まるようになったという。三代目として当時から現在までも社長を務める森光孝雅氏は、その一番苦しい時期を振り返る。「もう一度チャンスがあるなら、今度は社員にとって働きがいがあり、働きやすい環境を整えた社員第一主義の会社をつくりたい。社員が幸福感を感じない職場で仕事をしていては、決してお客様に喜んでいただけるパフォーマンスはできないと思いました。そう心に決めて再起を誓い、平成19年にクリームパン専門店として再出発を図りました」同社は現在、国内だけでなく、海外にも店舗を構えるなどの成長を遂げるに至ったが、その原点には今の八天堂の信条である「八天堂は社員のために お品はお客さまのために 利益は未来のために」があり、この信条が様々な取組につながっている。


経営トップのメッセージ発信から生まれた、社内コミュニケーションの深化

一人一人の意識改革によって、社員が質の高い働き方を”自分事”としてとらえるように

type1_hattendo_3.jpg平成19年、クリームパン専門店として再出発をした八天堂は、森光氏自ら社員に対して「職場環境業界日本一を目指す!」と宣言。そこには、社員が働きやすい環境を整え、中小企業のモデルケースになる、という強い思いが込められていた。その宣言通り、この10年間、社員の働きやすさを実現するため、例えば、育児中の社員には、通常の有休とは別に設けられた「子育て有給休暇制度(月2日付与)」、「週休3日制度」の導入や、「企業内認可保育園」の設置など、実にさまざまなことに取り組んできた。

また、平成29年からは残業削減に向けた取組にも力を入れている。残業を行う場合は、定時終了前の申請書提出ルールを徹底している。これには、長時間労働を削減するだけでなく、労働時間以外のプライベートな時間を大切にし、見聞を広げて欲しいという会社の意図がある。一方で一律に残業禁止という押し付けをするのではなく、社員のやる気を尊重し、社員それぞれの業務の目標の実現や職場の状況にも配慮している。森光氏は時間の長さではなく労働の質を評価する考えを社員に示しつつ、「横と比べる必要は全くない」というメッセージを発信している。


type1_hattendo_4.jpgこうした取組を支える土台には、会社の価値観の共有がある。ただ制度を用意するだけでは、会社も社員も、働き方を変えることは難しい。森光氏は、まず、社員の意識改革が必要だと考え、全社員に向けて毎日メールを発信することとした。
また、常に会社の思いを手元で確認できるようにと、企業の価値観が書かれた手帳、『HATTENDO BOOK』を社員全員に配付するなど、会社の思い、トップの思いを、社員がいつでも身近に感じられる工夫をしている。
さらに、職場環境について、相談できる窓口を設置し、社員が働き方について悩みや不安を気軽に相談できるようにした。
メール発信については、現在SNSに切り替えられ、文字ではなく音声で、毎日社員のもとへメッセージが届けられている。社員の方から社長に対する質問が寄せられることもあり、双方向の社内コミュニケーションが深まったという。

こうした経営トップの強い思いのもとで始まった粘り強い働きかけは、社員一人一人が、業務の効率化を“自分事”として考えるとともに、仕事のモチベーションアップにもつながった。さらに新しいことにも挑戦しようという意欲が高まり、新しい分野の商品が誕生するまでになったという。


働き方“革命”が新たな事業展開に

残業時間の削減や離職率の低下、さらには会社と社員の成長に

同社は、働き方改革が注目される前からさまざまな取組を行ってきたが、昨年より、トップの思いを社内に伝えるため働き方改革とは異なる表現で、独自に「働き方”革命”」と銘打って自社の取組を続けているという。

そうした同社の取組は、残業時間の削減や、結婚や出産・育児期にある社員や新規採用の社員の離職率の減少といった実績に結びつくとともに、新しい分野の商品が生まれるなどの、新たな事業展開という成果にも繋がっている。こうした成果について、森光氏は次のように語る。
「昔を知る社員は、会社の中の雰囲気が年々良くなっていることを実感してくれているようです。特に、離職率が減少しているのが何よりもうれしいです。社員の中には有給休暇を使ってリフレッシュしたり、自発的に研修を受講して自分のスキルを高めようとする人が増えました。SNSなどを通して意識啓発を図ってきたことが、社員が“やらされている”のではなく、“自分で考え自分で行動”する土台となり、社員一人一人の仕事に対する意欲も高まりました。また、多様な働き方を応援することが、社員のモチベーションアップや生産性向上、さらにはイノベーションを生み出し会社の発展にもつながっているのだと思います」
同社では、多様な働き方をさらに応援するため、勤務時間を8時間にこだわらず、ライフデザインに合わせて自由に勤務時間を設定できる独自の制度を導入しており、企業内保育園とともに、就職希望者の反響が高いと手応えを感じている。


type1_hattendo_5.jpg前述の新商品開発の中心となったEC事業部長の平田さんに、同社における働き方改革の感想を尋ねてみた。「私が提案したのは、食品とは全く違う分野である”化粧品“だったのですが、それはある日、社長の手肌がきれいだと思い、社長に聞いた時の『ずっとパンをこねてきたからかな』という一言がきっかけでした。そこからパン作りと手肌のきれいさを結びつける商品ができないかという発想が生まれました。これも日頃から社長とコミュニケーションをとることができ、明るく楽しく、働ける職場風土があったからこそだと思います。また、入社時は1歳だった子どもが、小学3年生になりました。家庭と仕事を両立できたのは会社のサポートがあったからです。子育て有給休暇制度も使え、子どものための休みも取りやすい環境です」と話してくれた。


type1_hattendo_6.jpg経営企画室主任の石井さんは、自身の意識の変化を感じたという。
「トップが率先して定時退社を励行しているので、時間に対する私自身の意識が変わりました。社長には『時間に逃げるな』と言われますが、その言葉から、密度の濃い仕事の仕方を心掛けるようになりました」
働き方のモデルとなる中小企業を目指したいという森光氏に、同社の働き方改革で今後の目指すことを尋ねてみると次の答えが返ってきた。
「働き方改革は単なる労働環境の改善ではなく、その先にある社員の幸せが良い仕事につながり、お客様の幸せを生み出すものだと思っています。当社の取組はまだまだ道半ばと感じていますが、社員それぞれに合わせた働き方をさらに進め、働きやすく、挑戦できる職場にしたいと思っています。働き方改革は、企業が輝く第一歩です!」