働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

女性や若年層の活躍支援をベースに
働きやすい風土を醸成

三鬼化成株式会社

  • 卸売業・小売業
  • 広島市
  • 31〜100
  • 推進体制(総務人事)
  • 休暇取得の促進
  • 多様な人材の活躍
認定マーク
所在地 〒733-0011 広島県広島市西区横川町2丁目13番2号
URL http://www.sankikasei.co.jp/
業務内容 合成樹脂の専門商社
従業員数 70名(男性44名、女性26名)

(2018年6月現在)

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  • 女性活躍推進企業を目指して、女性の管理職・営業職を育成
  • 奨学金返済支援手当支給制度を導入し、若年層を支援
  • ポスターや標語募集などで全社的に5S活動を積極的に推進
  • 有給休暇を取りやすい雰囲気を醸成し、取得日数が増加

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取り組んだ背景とは? ~習慣・風土を改革し、社内に新しい風を

三鬼化成は、合成樹脂に関するありとあらゆる業務を行う専門商社で、広島を中心に福岡・大阪・東京に支店を置いている。「女性は内勤、しかも結婚や出産などを機に2・3年で退職していくという状況がありました」と管理部総務人事担当部長の沖聖子氏は打ち明ける。従業員の確保は大きな課題だという。
そこで、2014年に就任した社長が、従来の業務習慣や社内風土を改革し、活力に満ちた豊かな人間集団を育てていくため、社内に新しい風を起こすことを目指して、働き方改革に着手。2017年からは、さらに取組を本格化させた。
「働き方改革実践企業の認定に向けてがんばろうという目標を掲げたのも、大きな機運となりました」と、沖氏は続ける。


取組導入のプロセス ~効率化、無駄な業務削減を改革の軸に

取組を本格化させてからは、まず自社の年次有給休暇の月1回1年間で12日取得する目標を掲げ、「働き方改革」を人事労務部署が統括して推進していった。スケジュール管理ソフトの導入などによる効率化や、無駄な業務の削減がポイントになっている。
2018年4月には、社長から全社で働き方改革について取り組む方針を文書で発表し、会社の姿勢を従業員に示した。具体的な取組の進め方や社内の整備については、社長と管理部が互いに意見を出し合って検討している。
例として、業務の効率化のため、これまで手書き伝票やファックス等を使っていた受発注は、2019年4月から、新システムの導入を予定している。このシステムは、パソコンに一度入力するだけで受発注が完了するもので、事務処理に要していた時間と労力を大幅に削減でき、ペーパーレス化への貢献も期待される。


主な取組と工夫点 ~女性の働きやすい環境の整備

女性管理職や女性営業職などの女性活躍の職場を目指して

「社長は、就任当時から、女性を管理職に登用したいという思いがあり、3年前に女性2人を課長に任命し、2018年7月には、私が当社で初めての部長に登用されました。これを契機に、女性管理職として活躍する従業員を今後さらに増やしていくため、女性従業員の育成に力を入れるよう社長から言われています」と沖氏。
自らがマネジメントの研修に行くばかりでなく、中堅女性従業員にリーダーシップ研修会への参加を促したり、部下の女性従業員に多彩な外部研修や教育セミナーを勧めたり、女性従業員のスキルアップとやる気を起こすために奮闘している。
以前、女性は内勤の従業員しかいなかったが、2018年4月に、これまで内勤だった女性従業員が営業職への異動を希望。「もっとお客さまと、直接のやり取りをしたい」と、自らが立候補して女性営業職第1号として活躍している。女性ならではの視点で考案した商品などが、取引先からも好評を得ている。来年4月からは、新卒の女性営業職も入社予定で、今後、女性営業職を増やし、その活躍フィールドも広げていく。
さらに近年は、育児休業を取って復帰する女性従業員が増えている。時短勤務の従業員もいるが、勤務時間に関係なく、公平な仕事内容の配分や、責任を持ってできる業務に就けるように、社長や人事部から各部門長に発信し、やりがいを持って活躍し続けられる環境を整備している。

奨学金返済支援制度の導入で若手従業員を支援に期待

同社では、入社3年以内の全従業員を対象に、奨学金の返済額を3年間、全額支給するという「奨学金返済支援制度」を2018年4月から導入した。高校・専門学校・大学は問わず、3年間の奨学金返済を会社が負担するというものだ。「近年の時代の流れや、従業員との日頃のコミュニケーションから、奨学金の返済補助についての社内ニーズを感じて導入しました」と沖氏。実際にこの制度を利用している従業員からも好評で、優秀な人材の確保や、若手従業員の定着にも期待している。

5S活動でボトムアップの改善も期待

社内改善運動のさらなる定着を目的に、以前から行っていた5S活動(5S:整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)を、2018年4月よりパワーアップ。ボトムアップでの改善も期待し、全従業員から5S活動に関する標語を募集して、優秀作品を決定。さらに優秀作品を紹介するポスターを作り、全部署に貼っている。5S活動は、推進するための委員を部署ごとに決めて、それぞれの部署で活動内容を考えながら推進している。こうした小さな取組により、取組をみんなで進めていこうという、従業員の参画意識の向上にもつながってきている。


取組の成果

経営トップをはじめとして各部署の管理職が、毎月行われる定例会議や、一般社員も出席するミーティングの場において、有給休暇の取得を奨励している。その結果、平均4日であった有給休暇の取得は、6.1日に増えた。女性管理職や女性営業職など、女性活躍が進んだことで、女性従業員の意欲が高まっていると感じられるという。来年度の新卒採用では、営業希望の女性が入社予定など、今後の採用活動にも意欲的だ。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)148.6時間
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得率 36.2%、平均取得日数 6.1日

制度の活用(直近3年間)

・奨学金返済支援手当支給制度の利用者4人


取組への社内の反応

管理部の池田さんが、社内の様子を語ってくれた。「沖部長は、相談しやすく心強い存在です。上司が有給休暇を率先して取得されているので、社内には休みやすい雰囲気があります。自宅でドラマや映画観賞をしたり、学生時代の友達と飲みに行ったり、リフレッシュできています」
沖氏自身も「子どもの行事や趣味のゴルフなどで有給休暇を使っています。『明日、ゴルフに行くから有給休暇を使うよ』と従業員にはっきり言うことで、従業員が趣味などにも使っていいんだと思ってもらえるように配慮しています」とも話す。
「部長になったことで、部門長会議に参加できるようになったので、なるべく従業員の声をトップや上層部に上げたいと思っています。今までは届かなかった、従業員からの要望をきちんと伝えていくのが、私の役割だと自負しています」と続けた。


今後の目標

現在の女性管理職の比率は11.8%で、今後は30%を目標にしている。「将来的に女性管理職を増やすためには、私が楽しそうに働いている姿を見せるのが一番だと考えています」と沖氏。これまでの歴史を変え、社内の風土を刷新し、働き方を変えていくために、女性ならではの感性も活用していきたいという。

取材日 2018年9月