働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

ITツールの積極的活用と柔軟な制度で
多様な働き方を推進

株式会社ECS

  • その他産業
  • 広島市
  • 31〜100
  • 推進体制(総務人事)
  • 時間・場所等の多様な働き方
  • 非正規雇用の処遇改善
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒732-0825 広島県広島市南区金屋町3番13号
URL http://www.kk-ecs.com/
業務内容 ソフトウエア開発、システム運用・保守、その他関連事業
従業員数 54名(男性43名、女性11名)

(2018年6月現在)

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  • キャリアアップを目的としたeラーニング教育や資格取得の支援
  • タブレットを活用して社内情報を共有し、業務の効率化を推進
  • 非正規社員から正社員へ転換する社内制度
  • 法定以上の育児と介護の休暇。有給休暇は入社後すぐに付与
  • 配偶者の健康診断も会社費用で実施し、女性検診も充実

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取り組んだ背景とは? ~クラウドを使えば、場所に関係なく働ける!

「私のポリシーが、学歴・性別・国籍は一切関係なく、よく働く人が給料をたくさん得ればいいという考えなのです。世の中がクラウドを利用して場所を選ばずに働ける時代になり、今までは結婚や出産などで仕事から離れていた女性も、技術さえあれば家庭に居ても活躍できるのです。女性だけでなくいろいろな立場の人の多様な働き方を考えてみようと思ったのが取組のきっかけです」と代表取締役社長の中元正彦氏は語る。


取組導入のプロセス ~在宅勤務も視野に女性の積極的採用を実施

まず、女性を多く採用する取組を積極的に行った。「2017年と2018年の会社説明会では、気楽に話をできるようにGパンとTシャツで参加しました。他のブースとは違和感はありましたが、結構人気があり、たくさんの学生さんが来てくれました。2018年は5人、2019年は2人の女性を採用(内定)することができました。これからしっかり技術を磨いて経験を積んでいただき、3年後には在宅勤務ができるような体制を目指しています」と、中元氏は将来像を語る。
さらにITツールによる教育の支援や情報の共有、業務の効率化を進めるとともに、育児や介護をサポートする休暇制度を充実させている。


主な取組と工夫点 ~ITの活用とともに、家庭の事情へ柔軟に対応

キャリアアップを目的としたeラーニング教育や資格取得の支援

従業員の満足度を上げるために、資格取得のための教育資金支援制度を導入。資格試験に合格すれば、受験料から交通費まで全額を会社が負担する。しかも、会社が推奨する一定レベルのIT系資格を取得すれば、報奨金も支給される。資格取得のための勉強は、会社が契約しているeラーニングを、社内からでも自宅からでも自由に受けることができる。さらに、終業後にeラーニングをやっているとみなして、全員1時間分の残業代も支払っている。
若手従業員に向けては、活躍推進のため「キャリアアップ教育運用規定」を設け、新卒者の定着と育成を目的とした、社会人としての基礎および職能別教育の3年間プログラム制度を設けている。

タブレットを活用して社内情報を共有し、業務の効率化を推進

営業においては、タブレットを利用している。顧客への自社の提案や実績を訴求するツールとして使うとともに、顧客との打ち合わせ内容も全てタブレットに書き込む。若手の従業員は、ベテランの書き込みを見て多くのことを学び、管理職はそれを見て、業務の進捗状況を確認する。タブレットには社内の人間だけが見られるチャット機能があり、「困っていること」を書き込めば、知っている人が「こうしたらいいよ」と教えてくれ、「こんな発見があった」「こうやったらいいよ」などの情報も共有される。社内通達も全てチャットで公開され、見たら「いいね」ボタンを押す運用になっている。スマートフォンでもチャットの内容を見られるので、営業以外の従業員も活用している。

非正規社員から正社員へ転換する社内制度を8人が利用

5年前から、契約社員が6カ月を過ぎると、正社員への転換を促している。本人が正社員になりたいという意志があり、一定の社内基準をクリアできれば、正社員に登用する。過去5年間で8人がこの制度を利用している。
「正社員になりたい人はぜひなってほしいし、契約社員のままがいいという人もいます。従業員自身が働きやすいスタイルを自由に選べるのが一番だと思っています」と中元氏は語る。

法定以上の育児と介護の休暇。有給休暇は新入社員にもすぐに付与

育児のサポートとしては、子ども1人の場合は年間6日、2人以上の場合は年間12日を上限とした子どもの看護休暇を半日単位で取得できる制度を用意している。介護のサポートとしては、対象家族1人の場合は年間6日、2人以上の場合は年間12日を限度とした介護休暇を半日単位で取得可能だ。
「平均年齢が約32歳と若い従業員が多いので、まだどちらも対象者はいませんが、いつでも対応できるように法定以上の制度を整えています」と管理部ゼネラルマネージャーの奥田さんは話す。
新入社員の有給休暇は、通常は入社後6カ月を経過したら付与されるが、同社では新卒・中途入社社員ともに、入社後すぐに10日間付与される。

配偶者の健康診断も会社費用で実施。女性検診も充実

「本人が元気でも配偶者が病気だったら、会社を休まなければいけないですよね。それでは困るので、配偶者の健康診断も全額会社が負担します」と奥田さん。さらに広島県の「Teamがん対策ひろしま」に登録し、従業員にがん検診の受診を勧めるとともに、女性従業員は年齢に関係なく全員に子宮がんや乳がんの女性検診を実施するなど、安心して働ける職場づくりを推進している。


取組の成果

「有給休暇取得率は年々上がって、直近1年間の平均取得日数は8.6日になりました。しかしこれは、あくまでも平均です。全部使い切る従業員もいれば、ほとんど使わない従業員もいます。全従業員に有給休暇の取得を促すために、新しい施策を考えているところです」と奥田さんは話す。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間 164.2時間/月
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得率 57.1%、平均取得日数8.6日

女性活躍(直近3年間)

・女性従業員の採用率44%(採用者25名中11名女性)


従業員からの評価

2018年4月に入社した管理部の丸子さんは、会社の取組について次のように話す。
「私の場合は、1カ月のうち、仕事が立て込む数日は少し残業しますが、ほとんど定時で帰ります。帰りやすい雰囲気があるので予定が立てやすく、仕事もプライベートも両立できるという安心感があります。早く帰った日は、海外のドラマなどを見てリラックスすることが多いですね。子育ての制度が充実していると聞いて入社していますので、結婚しても仕事を続け、せっかく覚えた業務を極めたいと思っています」


今後の目標

「来期からは、有給休暇の取得奨励日を2日間連続で、しかも土・日曜日と絡めて、計4日以上の連休を全従業員が取得することを目指しており、何としても実現したいと考えています。将来的には、自由な発想で自由に仕事ができるような超裁量労働制度をつくれたらいいなと思っています」と、最後に中元氏は今後の展望を語った。

取材日 2018年10月