働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

全ては従業員の働きやすさのために!
満足度向上を軸に好循環を生み出す

マイライフ株式会社

  • 卸売業・小売業
  • 呉市
  • 301以上
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒737-0046 広島県呉市中通1-3-12
URL https://www.my-life.jp
業務内容 調剤薬局の運営、医業経営コンサルティング
従業員数 322名(男性91名、女性231名)

(2018年6月現在)

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  • 従業員アンケートで、満足度向上につながる制度を構築
  • 休暇制度の充実と人員体制の見直しを行い、休みやすい環境を創出
  • 分単位の残業申請と申請簡略化で、残業と手間を削減
  • 利用方法やロールモデルを紹介する育児・介護のハンドブック
  • 満足度向上を軸とした好循環スパイラルで雇用も好調

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取組の経緯・背景 ~「従業員の満足度」を原動力に

「企業内に好循環スパイラルを生み出す原動力は『従業員の満足度』にあると私たちは考えています」と語るのは、人事部部長の長友康至氏。薬局事業やコンサルティング事業を営む同社は、従業員の満足やゆとりこそが、経営や顧客サービスの向上につながり、さらにそれが従業員に還元されることで、持続的な好循環を生み出していくと考える。そこで従業員のニーズに応える形で、2013年から福利厚生の充実を中心に取組を開始。2017年からは、従業員の負担を減らすため業務の効率化も進めている。


取組導入のプロセス ~働きやすい職場を目指して、まずは声を聞く

従業員へのアンケートは、2013年より5回実施しており、その結果をもとに働きやすい職場づくりが進められている。アンケートには、「休みを取りやすくしてほしい」「健康診断の項目を追加してほしい」といった声が寄せられたが、その声を受けて、各種休暇制度を導入し、2015年の採用においては人員増も図った。現場に余力を持たせ、休みやすい環境を整えるためだ。その他の検診や手当についても、実現に向けて動いたことで、従業員の会社への信頼が徐々に高まり、働き方改革に向けた土壌が整ってきている。
さらなる取組を進めるべく、2018年4月の経営方針発表会において、社長方針として、働き方改革の実行をあらためて宣言。同時に『働き方改革実行ビジョン』を発表した。“My Life Shine(輝くマイライフ社員)”というキャッチフレーズのもと、多様な従業員が働きやすい会社をつくり、全ての従業員が最大限に力を発揮できる職場づくりに取り組むことを明言した。


主な取組と工夫点 ~声に応えることで、信頼が高まり、改革の風土も整う

さまざまな休暇制度の導入で休みやすい環境づくり

前述の通り「休みを取りやすくしてほしい」というアンケートでの従業員の声に基づき、誕生日休暇や健康診断休暇、永年勤続休暇制度など、さまざまな休暇制度を導入した。併せて、採用による人員増など体制も見直すことで、休暇を取得しやすい環境を整備した。その結果、有給休暇の平均取得日数が8.5日から10.2日へと増加し、会社として、従業員の満足度・信頼度の向上にもつながっている。制度の導入時に、人事部を中心に社員の休日取得状況を確認し、休みが取れていない店舗の管理者と話し合いの場を設け対応した結果、現場で声掛けをしながら皆で協力する、休みやすい風土づくりに協力を得られたという。

終業直前・終業後の業務依頼禁止ルールを制定

2018年5月より「時間外労働を削減し、生産性向上を図る」といった観点から、終業直前と終業後の新たな業務の依頼を原則禁止した。制度として徹底されるように、就業規則にその旨を明記した。この他にも同社では、深夜にわたる業務はないものの、やはり制度としてきちんとしておくべきという思いから、「深夜残業禁止(22時から5時)」や「勤務間インターバル制度(勤務終了後から最低9時間以上の休憩を確保)」も就業規則に明記した。生産性の向上に努めるだけではなく、従業員の健康保持と増進にも配慮している。

残業時間の単位を1分へ変更し、時間への意識を高める

アンケートを通して、従業員から「残業申請を簡略化してほしい」という要望が上がってきた。「それまで時間外勤務は、15分単位で申請されていたため、15分単位で残業をしてしまう効率の悪い状況だった」と長友氏。従業員の声に応えて単位を1分に変更したことで、早く終わることを意識して業務を行うようになり、残業時間が減少した。さらに、残業時の面倒な事前申請書をなくして、口頭での申請を可能にすることで、手間の削減による効率化も図っている。
「特に小さな子どもがいる従業員は、遠慮なく早く帰れると喜んでいるようです。終業時間を意識して働くことが、生産性向上につながっているのが、人事としては何よりもうれしいです」と、長友氏も現場の声を生かした改革の成果を実感している。

育児・介護ハンドブックの作成で社内制度を周知

社内アンケートで、社内制度をよく理解していない従業員が多数いると判明したため、制度の周知を図るハンドブックを作成中だという。育児・介護に関する社内制度の解説や育児休業給付金、介護休業給付金の申請方法、ロールモデル紹介などが掲載される予定だ。
なお育児・介護に関しては「再雇用制度」を整備して、育児・介護を理由にやむなく退職した従業員の再就職も支援している。


取組の成果

採用においては、取組を開始して2年ほどたった頃から、「働きやすい職場」という口コミが広がり、順調に人材確保ができているという。
「取組を始めて、まずお客さまの評価が変わり、そこから採用における好循環スパイラルが生まれてきました。人員に余裕ができると、社内の雰囲気もぐっと良くなります。さらには、『広島県働き方改革実践企業』に、調剤薬局として初めて認定されたことは、大きな成果だと感じています。手応えを実感できるまで2年はかかりましたので、根気強く取り組むことが重要です」と語る長友氏。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)が158.0時間
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得日数が10.2日
・育児休業取得率100%


従業員からの評価

八丁堀店薬局長として従業員のマネジメントを担当する尾川さんは、「人員が増えた分、休日を取得しやすい環境となりました。有給休暇も1時間単位で取得でき、育児のための短時間勤務制度も整備されています。急に帰宅しなければならないことがあっても、従業員同士で助け合い、カバーできる環境ができています。特に残業申請が1分単位であることから、仕事が終わったらすぐ帰りやすいと、みんな喜んでいます」と、取組を開始してからの職場の変化を語る。さらに業界の未来を見据えて、「今後は薬剤師の世界でも在宅サービスが主流となり、働き方にも変化が生じてくると思われます。そんな中、会社がきちんと従業員の働き方を考えてくれたことは大変ありがたいと感じています」と語る。


今後の抱負

「従業員の満足度」に軸を据え、取組を進めてきた同社。「これからもその視点を見失うことなく、定期的にアンケートを行い、従業員の声を聞きながら、働く人の満足度の創出につながる働き方改革を進めていきたい」と長友氏は、今後の抱負で締めくくった。

取材日 2018年10月