働き方改革優良事例

有休取得促進を切り口に業務改善を推進し、
テーマ別の委員会で従業員の意見を形に

株式会社ニシキプリント

  • 製造業
  • 広島市
  • 31〜100
  • 推進体制(経営者)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
  • 多様な人材の活躍
認定マーク
所在地 〒733-0833 広島県広島市西区商工センター7丁目5番33号
URL https://www.nishiki-p.co.jp
業務内容 各種印刷、ホームページ作成、電子書籍、Webショップ運営
従業員数 37名(男性23名、女性14名)

(2018年6月現在)

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  • 一斉有給休暇と夏季休暇を組み合わせた連休などで取得を促進
  • 多能工化、マニュアル作成、情報共有で、カバー体制を整備
  • 営業担当との密なスケジュール調整で、効率化とコスト削減
  • 高齢者や障害者の活躍などダイバーシティの取組を積極的に推進
  • テーマごとに委員会を設置し、業務改善や新規事業を提案

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取り組んだ背景とは? ~残業削減に続いて有休の取得に軸足を置いて取組推進

「印刷業は受注産業で、納期のコントロールが難しい仕事です。以前は長時間の残業が常態化していて、問題になったこともありました。そこで10年前の東広島工場の新設を契機に、ジョブ管理システムを導入しました。全従業員の出勤・退勤時刻、残業時間、休日出勤など全てをイントラネットで管理し、残業削減には先行して取り組んできました。そういった意味では、当社はずいぶん前から働き方改革の取組を進めてきたと思います。これまでの取組の結果、残業時間は徐々に減りましたが、働き方全体を見ると、有給休暇の取得率が低いという課題が残っていました。そこで休暇の取得促進に軸足を置いて、取組を加速させました」と、代表取締役の宮﨑真氏は説明する。


主な取組と工夫点 ~計画有休や多能工化、委員会など多方面から改善に着手

一斉有給休暇と夏季休暇を組み合わせた連休などで取得を促進

有給休暇の取得を促進するために、計画的付与を行っている。2018年の8月には、夏季休暇と土日を絡めて9連休にした。
「会社創業以来の9連休に、従業員はとても驚いたようでしたが、休暇取得のきっかけにしたかったのです」と宮﨑氏。それ以外にも、業務の繁閑期を踏まえ、6月~11月に取得を促した。「2017年の有給取得率は38.8%でしたが、2018年は44%を超えると思います」と宮﨑氏は続ける。

多能工化と複数担当制により休みやすい環境づくり

「印刷機は1人1台で作業しており、機械を使うのは正社員のみで、パートさんが手作業をフォローするという文化でした。退職者が出ると、その機械が当分の間、動かせないという状況もありました」と宮﨑氏。2016年頃から、正社員だけでなくパート従業員も複数台の機械を使えるように、多能工化を少しずつ推進している。
他にもDTP部門では、従業員によって技術差があり、その人にしかできない業務があったり、定期の業務は担当が固定していたりという状況で、不在の場合にカバーする人がおらず、休みにくい状況があった。そこで仕事の棚卸しを行い、マニュアルを作って、技術の共有と伝承による複数担当制を推進している。営業部門では、イントラネットを用いて顧客情報を小まめに入力し、スケジュールを部門全体で共有することで、仕事の見える化を行っている。
こうした取組により、有給休暇の取得しやすい環境づくりを進めている。

営業担当との密なスケジュール調整で、効率化とコスト削減

「以前は営業担当が決めた日程で、作業を進める体制でしたが、『この日程だと残業前提になるので、校正を出すのをこの日にする事は可能か』などと相談して、できる限り残業しなくて済むようにスケジュール調整を行っています」とDTP課課長代理の新宅さん。「さらにメンバーには“残業がコストにつながる”という考えが全くなかったので、これを機にコスト意識を持たせるようにしました。メンバーから『今の日程だと残業になるのですが』と言われて、営業担当に交渉することもあります。最近は残業しないことが定着しており、どうしても残業をしなければいけないときの調整が少し困るぐらいですね」と続けた。

高齢者や障害者の活躍などダイバーシティの取組を積極的に推進

「中小企業は、高齢者も障害者も女性も、全ての方に戦力になっていただかないと成り立ちません。ダイバーシティの取組は不可欠です」と宮﨑氏。
65歳以上の従業員は継続雇用し、勤務日数は相談の上で決定できるようにしている。東広島工場にはバリアフリー・車椅子用エレベーターを設置し、広島市西区には「就労継続支援A型事業所 サポートセンターめばえ」、東広島市には「就労継続支援A型事業所 サポートセンターあゆみ」を設立した。障害のある従業員それぞれの個性や特性に合わせて、労働時間や作業内容を選んで働ける体制を整えている。「将来は障害のある従業員のテレワークも考えています」と、宮﨑氏は期待を込めて語る。

テーマごとに5つの委員会を設置し、業務改善や新規事業の提案を促す

2015年から「プロジェクト」「品質UP」「環境厚生」「情報発信」「資格認証」の5つの委員会を設置し、全従業員がいずれかに所属している。各委員会は、部署横断的なメンバー構成とし、月に1回のテレビ会議を通じて意見を交換しながら、業務の改善提案などを行っている。この取組は、新規事業や営業分野にも好影響を及ぼしており、折り鶴の再生紙を使ったあぶらとり紙の開発や、広島の特産品を紹介する「安芸ん堂」という情報発信サイトの立ち上げなど、業務の改善以外にも成果を発揮している。
「委員会の責任者にはリーダーシップを学んでもらいたいですし、メンバーには他の業務に関わり、別の角度から仕事や自分を見つめ直すことで、それぞれの成長につながってほしいと願っています」と、宮﨑氏は委員会の狙いを語る。


取組の成果

全従業員の残業時間は、2015年度に比べて月平均11.3時間減少した。
「社員の満足度は確実に上がっていると思います。有給休暇についても“取りづらいもの”から“取って当たり前”という意識に少しずつ変わってきました」と宮﨑氏。

労働時間(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間 181.6時間/月


従業員からの評価

「これまで2度育休を取り、現在はパートで働いています。第2子の時には在宅勤務をした時期もあります。その時の状況に応じて柔軟に働けるのはうれしいですね」「定年後も、東広島と広島をトラックで往復して、資材を運んだり納品したりしています。週3日の勤務にしてもらい、健康に注意しながら生きがいを持って働いています」などという声が、従業員から上がっている。


今後の目標など

「定時で帰れて、有給休暇の取得率100%で、給料が上がるというのが一番の目標です。さらに、当社の究極の目標はプレミアムフライデーを実施する中小企業です。プレミアムフライデーは3時に帰る。請負の印刷業の野望です。そのためにはそれぞれのスキルをもっと上げて、付加価値の高い仕事を取ってきて、他社ではできない独自性のあることをやらなければなりません。委員会もフル活用して、会社も従業員も成長を続けていきたいと思います」と、宮﨑氏は力強く締めた。

取材日 2018年10月