働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

高齢者から若年層まで、
生き生きと働ける職場づくり

平畑建設株式会社

  • 建設業
  • 三原市
  • 1〜30
  • 推進体制(経営者)
  • 時間・場所等の多様な働き方
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒722-1412 広島県三原市久井町和草485番地の2
URL http://hirahata.co.jp/
業務内容 公共・民間の建築、土木工事及び不動産販売
従業員数 18名(男性15名、女性3名)

(2018年6月現在)

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  • 改革の土台となる良好な人間関係と社内風土
  • 広報誌の発行等を通じた社内コミュニケーションの活発化
  • ソフトウエアやクラウド化を利用した業務の効率化
  • 仕事と育児の両立支援で働き続けることができる職場に
  • 業務スキルや知識を学ぶ研修や資格取得の支援

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取り組んだ背景とは? ~高齢者から若年層まで全世代が働きやすく

「私が会社を引き継いでから20年余り、従業員に支えられながら事業を続けてきましたが、従業員は高齢化し、家族の介護に直面する者も増えてきました。これからは会社が、従業員の家庭と仕事の両立を積極的に支援する必要があります」と、代表取締役の平畑隆浩氏は現状を語る。
中山間地域にある同社では、「従業員の高齢化」と「若い人材の確保」の問題に直面している。そこで「全ての世代が働きやすいと感じる、魅力のある企業に変わらなければならない」という思いから、職場環境の改善を行い、長く働いてもらえる会社を目指して、働き方改革に取り組んだ。


取組導入のプロセス ~良好な人間関係と社内風土を土台にした協力体制づくり

従業員には農家と兼業している人も多く、時期によっては農業に時間を割かなければならない。そのため、社内で協力体制を構築し、従業員間の業務の分担を調整する必要があったが、この際に重要だったのは、職場の人間関係だという。
平畑社長は、「仕事を円滑に進めるためには、助け合い、失敗も励まし合えるような人間関係が重要です。当社では、定期的に親睦会やレクリエーションを行うことで、明るく良い雰囲気をつくることを心掛けています」と話す。
同社には、さまざまな交流の場が設けられており、従業員の関係も良好だという。会社に良い風土が根付くと、従業員間での話し合いや提案が増え、具体的な改善策が生まれるようになるなど、改善のサイクルが回っていくのだという。


主な取組と工夫点 ~ICTの活用と、仕事と育児の両立支援で働きやすい職場に

広報誌『waiwaiらんど』の発行を通じた社内コミュニケーションの活発化

同社は、17年前から『waiwaiらんど』という情報誌(タブロイドサイズ4ページ)を制作している。毎月一回、地元である三原・世羅地域で、約1万7千部を発行している。「地元を元気付けたいから、何か楽しいことを始めよう」という、従業員の声がきっかけで始まったものだ。制作を担うのは従業員自身で、実際に取材に行き、地域の情報やクイズ、社長の一言など、手作りの記事で紙面を構成。従業員同士のコミュニケーションだけでなく、地域ともつながることで、普段の業務とはひと味違ったやりがいになっているという。クイズへの応募など反響も大きく、地域に根差した情報紙になっている。
平畑社長は、長年続けてきた思いを次のように語る。「ほとんどが、自社の業務に直接関係のない記事ですが、地域に会社を知ってもらうことができ、この冊子が仕事につながることもあります。しかし何より、従業員のみんなが楽しく紙面作りをしているのがうれしいですね」こうした活動を通じ、改革の土台となる良好な人間関係や明るい社内風土が培われている。

管理ソフトウエアやモバイルワークの導入

業務効率化に向けては、ICTを積極的に活用している。建設業務は費用の推定が難しく、目標の利益と実際の利益に大きな開きが生じる場合もあったが、正確に管理するには時間と手間が必要だった。そこで予算と実際の費用を計算するソフトウエアを1998年に導入。その都度、計算が行え、予算の見直しが容易になり、予算と実際の費用にずれが少なくなった。
さらに2018年には、業務管理の効率化や情報共有を図るため、クラウド化を実施した。併せて、パソコンを現場へ持ち込むモバイルワークも導入したことで、遠隔地や在宅での仕事が可能になった。現場や出先でも資料の確認や作成が行えることで、会社に戻って入力する必要がなくなり、効率的で柔軟な勤務体制にもつながっている。

仕事と育児の両立支援で働き続けることができる職場に

2016年に女性従業員の一人が出産し、育児休業を取得することになった。そこで、その従業員の業務の棚卸しを部内で行い、別の従業員に業務を割り振りするとともに、代替要員を採用することで休業中の業務をカバーした。さらに、育児休業復帰支援プランを策定し、育休中の従業員に職場の状況を適宜情報提供するなど、円滑な復帰に向け支援を行った。
テレワークによる在宅勤務制度も導入し、育休から復帰後は週5~6日程度、在宅で勤務している。
男性の育児参画も積極的に働きかけており、2013年に配偶者が出産した男性従業員が7日の育児休業を取得している。

研修や資格の支援

同社は、従業員の教育にも力を入れている。「バブル崩壊後など、当社も業績が悪くなった時期がありました。従業員に専門的な技能がなければ、彼らがキャリアを描けなくなってしまうと考え、その頃から資格取得や研修の支援を行っています」と、総務部の平畑さんは話す。
資格の受験費用や研修費用は、会社が全額負担しているという。建設業では、業務を受注する際、従業員の保有している各種資格が重要となるため、やる気のある従業員だけではなく、会社側にとってもメリットは大きい。


取組の中では課題も

総務部の平畑さんは、「さまざまな休暇制度を用意し、休める環境をつくっていますが、自分から積極的に休もうとしない人もまだまだ多いのです」と、従業員の意識についての課題を話す。働き方改革関連法の施行により、年間5日の有給休暇の取得が義務化されることを見据え、有給休暇を計画的に付与・取得させる制度を法施行に先立って用意した。


取組の成果

「カバーし合う風土と協力体制ができており、育児などで休みたい時に仕事が大変だから休めないということはないですね。従業員が、家庭と仕事のバランスが取れ、楽しんで働いてくれていることが一番の成果だと思います」と話す平畑社長。有給休暇の取得についても、「休める時は休む」など、従業員の働き方に対する意識が変わりつつある。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)が169.5時間。
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得日数は6.1日。

育児と仕事の両立(直近3年間)

・配偶者が出産した男性従業員の育児休暇(7日) 1人


従業員からの評価

工務グループの平畑さんは、社内の様子について「年齢的な隔たりもなく、社内の雰囲気はとてもいいと思います。私自身、会社で行われる旅行がいつも楽しみです。有給休暇の取得に関しても、お互いに相手を気遣っているので、心置きなく休めています」と語る。資格についても、「私は入社してから、大型自動車と高所作業車、車両系建設機械の整地と解体などを取得しました。資格の費用は負担してくれる上、手当もあるので、これからもどんどん取っていきたいと思います」と、会社の方針に喜んでいる。


現在取り組んでいる上での課題や今後の目標など

総務部の平畑さんは、これからについて「高齢化が進んでいることもあり、従業員の健康管理が課題です。体力のいる職種ですので、本人の能力や体調によって、デスクワークなど適した仕事に割り振れる体制をつくっていきたいと思います」と話す。従業員が、安心して、長く健康的に働ける職場づくりを目指している。
平畑社長は「これからは、若い人材の採用に力を入れていきたいと考えています。働き方改革を進め、全世代が働きやすいように職場の環境を改善することで、若い人が活躍できるだけでなく、年配の人も指導者として生き生きと働ける会社にしたいと思います」と、今後の目標を語った。

取材日 2018年9月