働き方改革優良事例

人の和を基本に、労働環境を見直し、
全世代が働きやすい環境づくり

大津建設株式会社

  • 建設業
  • 三次市
  • 1〜30
  • 推進体制(経営者)
  • 休暇取得の促進
  • 多様な人材の活躍
認定マーク
所在地 〒728-0115 広島県三次市作木町大津398番地1
URL http://www.otsu-co.jp/
業務内容 土木、建築、電気、管、水道施設他工事業
従業員数 24名(男性22名、女性2名)

(2018年7月現在)

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  • 子育てや個々の事情に応じて使える時間単位の有給休暇
  • 子ども、子育てに関する地域貢献活動を推進
  • 資格や受講した研修を一覧表にまとめ、多能工化を促進
  • 70歳まで働ける再雇用制度

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取り組んだ背景とは? ~「人の和」を基本に、労働環境を見直す

三次市で土木・建設業を営む同社は、「人の和」を働き方の基本と考え、従業員が楽しく働ける職場づくりを目指している。以前から労働環境を整備し、仕事の分担や助け合い、切磋琢磨できる風土づくりを行ってきた。
代表取締役の熊本孝司氏は「当社は、もともと残業が少なく、有給休暇も十分に取得できるように取り組んできたため、厚生労働省のユースエール認定(若者雇用促進法に基づく認定制度)への申請を進めていました。しかし申請の詳細を見直したところ、一部において基準に到達していない部分があったのです」と語る。
熊本氏は、まだまだ取組が不十分だと考え、あらためて働き方改革に取り組んだ。


取組導入のプロセス ~従業員の声を集めるとともに取組への意識付け

もともと長時間労働を行う職場ではなかったが、さらなる残業の削減を図るため、1人当たりの残業時間が月15時間を超えた時は管理職へ報告し、20時間を超えた時には経営層に報告するというルールをあらためて制定した。
従業員への意識付けに向けては、月ごとに行っている全体会議や、四半期ごとの安全衛生会議において、働き方改革を議題として取り上げ、職場環境の改善や健康管理についてDVD教材を活用した講義も実施した。
働き方改革は、熊本氏自らが推進役を担っているが、会議や日常のフランクな会話を通して、不満や要望があれば聞き出すように努めている。


主な取組と工夫点 ~子育て世代から高齢者まで、働きやすい環境づくり

子育てや個々の事情に応じて使える時間単位の有給休暇

同社の有給休暇の取得率は8割弱と高い。しかし、1日単位の有給休暇制度では、子育て等による数時間の用事であっても、1日単位で取得せざるを得ず、使いづらいという状況があった。そこで有給休暇のうち年5日分は、時間単位での取得を可能にした。個々の事情に応じて細かく利用できる環境を整えたことで、取得しやすさが向上した。急な事情に対応できると、特に子育て中の従業員は安心して仕事ができるという。

子ども、子育てに関する地域貢献活動を推進

4月から9月の第1・第3土曜日(同社では営業日)を「子ども、子育てに関する地域貢献活動日」とし、地域貢献活動に参加する従業員に対して有給休暇を付与している。「私たちの会社の進むべき方向は、地域の担い手になることです。地域に溶け込み、少しでも近づくことを目指しています」と、熊本氏は語る。

資格や受講した研修を一覧表にまとめ、多能工化を促進

一人一人の従業員が持っている資格や、受講した研修などを一覧表にまとめ開示している。従業員の技能の状況が明確になり、効率的な業務遂行につながるだけでなく、資格取得を進めるきっかけともなり、仕事の分担・平準化や、多能工化への意識付けにも寄与している。

70歳まで働ける再雇用制度

定年後も70歳まで働ける再雇用制度を導入している。同社の業務内容はさまざまで、年齢に関係なく活躍できる仕事がある。例えば、道路を車で回って状況を確認・報告する道路巡視業務を受注しているが、その業務は65歳を超えた従業員の方々に任せている。仕事をうまく分担することで、健康に配慮した上で無理のない週4日の勤務が可能になり、体調を崩すことなく働いているという。また通常の定期健康診断より手厚い、生活習慣病予防検診を会社負担で行うことで、中高年の従業員の健康管理にも気を配っている。

有給休暇の計画的付与を夏場の体調管理に活用

近年は初夏より猛暑が続くため、熱中症対策にも取り組んでいる。暑さが厳しくなりはじめる6・7月に、有給休暇の計画的付与を実施し、従業員の負荷を軽減することで体調管理に努めている。


取組の成果

業務が属人化しないよう、複数の業務を各自が担当する多能工化を進めることで、労働時間の削減と、休暇を取得しやすい環境づくりが進んだ。
熊本氏は「18時頃には、事務所の明かりが消えています。従業員は、現状の労働環境に対して大きな不満はないようです。むしろ、これからの新しい取組を楽しみにしているようです」と語る。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)が179.6時間
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得率が75.6%、平均取得日数が14.2日

高齢者(65歳以上)の活躍

・65歳を超える従業員の再雇用制度を4人が利用


従業員からの評価

総務部の加辺さんは、「働き方改革を行うことで、考え方が変わりました。以前は、忙しくても、とにかく決められた工程をこなすことだけを考えており、休みを取る人がいれば、なぜ忙しいのに休みを取るのかと思うこともありました。それが今では、たとえ忙しくても工程を変えるなど、みんなで工夫して休みを取るようになっています。働き方改革に全員で取り組むことで、今までは考えようともしなかった『仕事を工夫すること』について考えるようになりました」と語る。
工務部の町里さんは、「残業が少ないので、仕事が終わってから趣味に使える時間が多くあり、充実しています。仕事と家庭のバランスが取れているため、従業員がみんな和気あいあいとしており、雰囲気は良いと思います。私は、もともと建築を勉強して入社したのですが、資格の勉強に時間を充てられますので、領域を広げて土木の資格も取りました。次は一級建築施工管理を取りたいです」と、将来に向けた目標を掲げている。


今後の課題や目標

「土木・建設という仕事の性質上、忙しい時期が偏ることが多く、そういった時期に、いかにして休めるようにするかが目下の課題です。今は熱中症になりやすい夏場に、有給休暇の取得を勧めていますが、寒さの厳しい冬場にも、体調管理のために休める環境づくりを行っていきます」と熊本氏は、1年を通しての有給休暇の取得推進を課題に挙げる。
これからの取組についても、「さらに職場の改善が必要だと考えていますので、私なりにいろいろな改善策を勉強し実践していきたいと思います。土木や建設は、大変な部分もある仕事ですから、日々改善していかなければなりません。現状はまだ、従業員の期待に完全には応えられていないと感じています。そのため職場での声がもとになり、それが次の改善方針につながるようなボトムアップの体制も整えていきたいです。従業員の視点から労働環境の改善を行い、満足度の全体的な底上げを目指します」と抱負を語った。

取材日 2018年10月