働き方改革優良事例

マニュアル整備や資格取得支援で、
女性も若手も働きやすく、働きがいのある職場に

株式会社酒商山田

  • 卸売業・小売業
  • 広島市
  • 31〜100
  • 推進体制(総務人事)
  • 多様な人材の活躍
  • 非正規雇用の処遇改善
認定マーク
所在地 〒734-0011 広島県広島市南区宇品海岸2丁目10番7号
URL http://sake-japan.jp/
業務内容 「日本の酒」を中心とする酒類販売業
従業員数 34名(男性17名、女性17名)

(2018年7月現在)

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  • 残業の多い店舗への指導と、マニュアル整備で残業削減
  • スキルアップの資格取得をサポートし、モチベーションを向上
  • タイプ別の戦略的人事配置によりチームプレイで業績向上を目指す
  • 正社員への転換制度により会社全体の戦力強化
  • 有給休暇の利用へ柔軟に対応

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取り組んだ背景とは? ~従業員の急速な増加、誰もが働きやすい環境を

日本酒、本格焼酎、日本ワインなど、日本の酒を中心に小売り販売を行っている同社。6年ほど前から大卒の新卒採用を始め、従業員が急速に増加し、女性従業員も増えてきた。以前は、社内規則や人事制度、教育体制が十分に整っておらず、せっかく入社した若年者が仕事になじめず、辞めていくケースもあったという。そのため3年前に、社長が働き方改革を推進する旨の方針を発表し、実行部隊を管理部門に置いて、本格的に取組をスタートした。
「2017年10月に始まった広島県主催のセミナーに参加して、当社の現状と照らし合わせながら、認定を目指しました」と、取組を主導した人事戦略サポート担当の平田智久氏は話す。


主な取組と工夫点 ~マニュアル整備やスキルアップ支援でモチベーション向上

残業の多い店舗への指導と、マニュアル整備で残業削減

残業の多い店舗に対しては、各店舗を統括しているマネージャーが聞き取りを実施。「どの部分で遅くなっているのか」「残業して行っている業務を営業時間内に組み込めないか」などを検証し、必要な指導を行うことで、残業の削減に取り組んでいる。
また、トラブルが発生したときの対処法をマニュアルとしてまとめ、随時更新して全店に配布している。
「店舗が増え、個人の能力だけでは対応が難しくなってきましたので、マニュアルを整備しました。これにより、新人社員でもトラブル発生時に適切な対応を取れるようになり、全体の残業削減にもつながっています」と平田氏。

スキルアップの資格取得をサポートし、モチベーションを向上

経営理念「自己を磨き、人を育て、喜びと感動、繁盛を創る」を実現させる上で必要なスキルアップにも、積極的に取り組んでいる。利き酒師、焼酎アドバイザー、ソムリエなどの資格試験に合格すると、受験料や認定料など全額を会社が負担する。毎年、全国の蔵元やワイナリーで行われる会合や勉強会には、従業員がローテーションで参加。知識を得るために、取引メーカーによる勉強会への参加や懇親会も頻繁に開催している。
新入社員研修は、酒蔵、ワイナリー、焼酎蔵のそれぞれに宿泊研修があり、蔵元の職人と一緒に酒をつくり、ぶどうの収穫も体験する。学ぶ機会を多数用意し、モチベーションを高めることにより、定着率も確実に上がっている。

タイプ別の戦略的人事配置によりチームで業績向上を目指す

ずっと同じ部署に所属していると“職人化”してしまうため、会社全体を広い視野で見るように中堅層を中心としたジョブローテーションを実施している。他の部署で新しい視点で仕事を行うことで、無駄が見つかり、手順を変更したりシステムに落とし込んだりなど改善につながっている。
また従業員全員にアンケートを採り、それぞれの特徴に応じて、コントローラー型、サポーター型、アナライザー型などのタイプ別に分類し、役職配置や店舗メンバーを決める際の参考にしている。「性格や能力診断のためのタイプ分類ではなく、あくまでも適材適所、チームとしてうまく機能する人事配置や人材育成の方針検討など、会社が戦略的に仕事を進めるためのものです。各人のタイプは全員にオープンにしています。私たちの会社はチームで働くことを重視しており、突出した優秀な人材よりもチームプレイで業績を上げることを目指しています」と、平田氏は語る。

正社員への転換制度により会社全体の戦力強化

半年または1年に1回ヒアリングを行い、実績や本人の意思を聞いて、非正規社員から正社員への転換を積極的に進めている。現時点で正社員21人中7人が元非正規社員だという。意欲や能力のある人を積極的に正社員へ登用することで、会社全体の戦力が強化され、適正な労働時間を維持しながら、増収計画を予定通り達成することができているという。

有給休暇の利用へ柔軟に対応

有給休暇は本来事前申請が基本だが、同社では、事前申請が行えない急な病気による欠勤を事後申請で有給休暇として認める柔軟な対応を取っている。これにより、従業員は急病でも安心して休養することができる。「月ごとに有給休暇の残日数を従業員にメールで送り、計画的な取得も促しています。小売業は休みが取りにくい業種なので、工夫をしながら少しずつ改善しています」と平田氏。


取組の中で苦労したこと

「従業員一人一人へ、取組を周知させることに力を注ぎました。マネージャークラスとは3~4カ月間、毎週1回の会合で周知や進捗の確認を行いました。全従業員を集めての勉強会も2回開き、制度内容を説明し具体的な取組を話し合いました。これにより従業員の意識はだいぶ変わってきたと感じますが、これからも継続的にやっていきたいです」と、平田氏は意気込む。


取組の成果

これまでの取組で、若い従業員の定着率が着実に上がり、非正規社員から正社員への転換など、人材確保に好影響が生じている。「高齢の方も体力の可能な限り、ぜひ働いてもらいたいです。これからも高齢者雇用は増えると思いますので、制度の充実を検討していきたいです」と平田氏。

非正規雇用(直近3年間)

・非正規社員から正社員に転換する社内制度を6人が利用している。

高齢者の活躍(直近3年間)

・本人と会社の合意のもと、70歳超の勤務者が2人。


従業員からの評価

「この2〜3年で働き方改革が進み、休みが取りやすくなりました。有給休暇を使って、一人旅で酒蔵にも行っています。去年は東北を含めて5つほどの蔵を回って、地域の文化に触れながら、普段見られない酒蔵を見せてもらうなど、心から楽しい時間を過ごしました。利き酒師の資格を取得し、蔵元さんの思いをお客さまに橋渡しする今の仕事がとても楽しいです。以前は日に1時間ほど残業することがありましたが、最近はほとんど定時で帰っています」と、販売促進・広報担当の田中さんは、働きやすさとやりがいを実感している。


今後の目標など

「かつて、男性従業員が大半だったこともあり、産休・育休の実績が今はありません。しかし今後、必ず直面する課題ですので、制度の周知を積極的に行っていきたいです。価値観が多様化する時代ですので、新たな人事管理を検討し、柔軟な働き方の促進、多様な人材が活躍できるダイバーシティ・マネジメントの実践などを制度・体制として確立していきたいと考えています。これまで進めてきた取組の継続的な発展に努めていきます」と、平田氏は抱負を語った。

取材日 2018年11月