働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

時間管理と改善活動への意識向上で
健康で明るい職場づくり

株式会社フィッツ

  • サービス産業
  • 福山市
  • 1〜30
  • 推進体制(経営者)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
認定マーク
所在地 〒720-2104 広島県福山市神辺町字道上607番地1
URL http://kkfits.jp/
業務内容 情報システム開発エンジニアサービス
従業員数 5名(男性5名、女性0名)

(2018年6月現在)

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  • 健康経営を土台に取組を進め、イメージアップも目指す
  • 水曜に設定したノー残業デーの徹底実施
  • 有給休暇を取得しやすくするリフレッシュ休暇の制定
  • 独自のTo Doリストで日頃の業務を改善
  • 年4回の面談と月々の会議で、一人一人の状況を細やかに把握

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取り組んだ背景とは? ~自社や業界のイメージアップに向けて

「2017年の暮れ、あるセミナーに参加した時に、働き方改革の推進に関するチラシを目にしました。当時、経済産業省の健康経営優良法人に認定されていましたので、さらなる職場の改善を目指し、働き方改革にも挑戦しようと思いました」と、代表取締役の原井佳雄氏は話す。同社は2015年2月に創業し、情報処理システムのコンサルティングや企画・設計・保守等を行っているが、一般的にIT業界は長時間労働のイメージがあるという。そして創業してまだ間もないということもあり、新卒採用に限らず、中途の採用も手探りの状態である。そんな中、働き方改革を進めることで、自社や業界の良いところをPRできればと考え、改善に取り組んだ。


取組導入のプロセス ~健康経営の土台を生かして働きやすい職場へ

「2015年の創業時から従業員の健康を重視した経営を行ってきた結果、健康経営優良法人に認定されました。従業員の健康こそが、健全な働き方と経営をつくり出す原動力だと考えています」と、取締役の原井京子氏は話す。そのため、同社の取組方針を、「従業員が健康で明るい職場で働け、十分に能力を発揮できること」に定めた。
感染症予防のためのマスク支給や消毒薬の設置のほか、インフルエンザの予防接種の奨励など、細やかな取組を行っている。
「インフルエンザの予防接種は、全従業員にメールやミーティングにより周知しています。昨年は全従業員が予防接種を行いました。その結果、1人も感染で休むことなく、冬場の業務が円滑に回りました」と原井取締役。


主な取組と工夫点 ~ノー残業デーやリフレッシュ休暇の徹底と業務改善への意識付け

水曜に設定したノー残業デーの徹底実施

「創業時からノー残業デーを水曜に設定していますが、どうしても水曜に定時退社をできない人は、他の日に変更することも了承しています。残業時間は月に10時間ほどで、決して多いわけではありませんが、週に1日は必ず定時で帰るようにしています」と原井社長。
しかしIT企業の特色上、納期があって業務量には波があるという。繁忙期には毎週は難しいこともあるが、週1日は定時に退社するよう上層部が促し、スケジュール管理を工夫しても難しい場合は、取引先へ自ら納期の相談に行くことも考えている。

有給休暇を取得しやすくするリフレッシュ休暇の制定

「従業員が、私用で休むことを言いづらいのではと考えました。そこで、特段の理由がなくても気兼ねなく有給休暇が取れるように、2日をリフレッシュ休暇として制定しました。年末年始やゴールデンウィークの前後にも取得でき、長期休暇も可能です」と話す原井社長。制度化した昨年は約50%の取得率だったが、今年は100%を達成した。従業員本人がスケジュールを意識して工程管理をしっかりと行うことも、休暇の取得において重要だという。また、全体の受注が分かるようリストを作成し、朝のミーティング時に進捗状況などを細かくチェックして、業務が滞らないように心掛けている。

独自のTo Doリストで日頃の業務を改善

「改善に取り組むいわゆるTo Doリストですが、『KPT』と名付けたルールを作りました。KはKeepで、PはProgram、TはTryのそれぞれの頭文字を取っています。1日仕事をしたら、何か一つくらい失敗することはあります。それを日々改善したら、1年の365日から休日分を引いた、およそ240の改善ができるという考えで、日頃の改善活動の重要性を説いています」と原井社長。従業員が日報に改善点をTo Doリストとして書くことで、問題が明らかになり改善への意識が高まる。社長自ら内容を毎日確認し、アドバイスも返している。

年4回の面談と月々の会議で、一人一人の状況を細やかに把握

従業員に、年間で2回目標を立ててもらい、四半期ごとに面談を行っている。その際には、成果だけでなく、達成への過程も含めて話し合う。さらに月1回全員参加の会議で、それぞれの仕事の進捗報告も行っている。現場の仕事では、5人ほどの少人数から100人ほどが関係する大規模プロジェクトまで、外部のさまざまな案件に従業員が参加するため、個々の状況把握が欠かせない。スケジュールに無理があれば、関係各所のトップ同士で話し合いを設けるなど調整も行っている。

コミュニケーションを行いやすい社内の雰囲気づくり

社内で明るくコミュニケーションが行えるように、イベント実行委員を任命して、企業対抗ボーリング大会や納涼会、クリスマス会なども行っている。話しやすい雰囲気をつくることで、コミュニケーションが円滑になり、全体でのスケジュールの把握や相互に支援し合える職場につながっているという。


取組の成果

同社は、2017年に続き2018年も、2年連続で健康経営優良法人に認定されている。「残業も休日出勤も、事後報告は原則認めません。事前申請を行うことで残業時間を把握でき、休日出勤は振替日を調整するなど適切に対応できます。ルールを明確にすることは、だらだらとした無駄な残業の防止にもなります」と、原井社長は話す。従業員にスケジュールを管理する習慣が根付いたことも、健全な働く環境をつくることに貢献している。

労働時間

・残業:最も残業が多い従業員(1カ月平均)10.4時間(2017年の16.7時間より38%減)

非正規雇用(直近3年間)

・非正規社員から正社員に転換する社内制度を1人が利用


従業員からの評価

「始業前に当日のスケジュールを確認し、業務の終わりには翌日の業務内容を把握するといったことが徹底されてきましたので、きちんとした時間管理が習慣化されてきています」と、システム開発課の永田さんは、取組による変化を話す。
「毎週月曜日、所属課長に業務の進捗状況を報告し、方針に相違がないよう意思疎通を図っています。話しやすい雰囲気なのもありがたいですね」と、システム開発課の瀬尾さんは話す。
「スケジュールに余裕を持たせるよう進捗を管理していますので、イレギュラーな事態にも対応しやすいです。リフレッシュ休暇もあり、趣味のライブやコンサートに行くために使えるので楽しみです」と、システム開発課の岡田さん。


今後の目標など

原井社長は、今後の取り組みについて意気込みを語った。「3年後までには、リフレッシュ休暇を5日にしたいと思っています。お金をかけなくも取組を工夫できるという自負もありますので、今後も健康経営を念頭に改善を続けていきたいです。また、こうした取組を行うことで、当社の認知度が上がるだけではなく、業界のイメージも良くなることを目指し、採用にもつなげていきたいと考えています」

取材日 2018年11月