働き方改革優良事例

「仕事と家庭の両立支援」の風土を生かしつつ、
時間外労働削減に向けた取組を進める

アヲハタ株式会社

  • 製造業
  • 竹原市
  • 301以上
  • 推進体制(総務人事)
  • 休暇取得の促進
  • 時間・場所等の多様な働き方
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒729-2392 広島県竹原市忠海中町一丁目1番25号
URL http://www.aohata.co.jp/
業務内容 ジャム類、フルーツ加工品他の製造・販売
従業員数 462名(男性167名、女性295名)

(2018年7月現在)

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  • 「アニバーサリー休暇」を制度化し有休取得率をアップ
  • 「フレックスタイム制」導入で業務の効率化を図る
  • 男性従業員の育児休業取得を奨励
  • 部署ごとに、実務に合わせた工夫を実施

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取り組んだ背景とは? ~早くから注力してきた仕事と家庭の両立

みかんの缶詰加工・ジャム類の製造を手掛ける会社として、1932年に創業した同社。女性従業員が多いことから、「仕事と家庭の両立支援」には早い時期から力を入れ、厚生労働大臣の「くるみん認定」も3回取得している。しかし、時間外労働はなかなか削減されず、年明けから春にかけてジャム製造の繁忙期を迎える生産部門や、決算時期に業務が集中する経理部門などで、残業や休日出勤が目立っていた。
「時間外労働が増えると結果的に生産性が下がり、ワーク・ライフ・バランスも女性の活躍も実現できません。全社的目標の中にも『人の成長と組織の活性化』を掲げ、多様な働き方に対応した新ルールや制度を整備することを明示しています。そこで、会社の目標に沿った自然の流れで、2017年から取組を本格化しました」と経営本部総務部人事・労務グループの武山真児氏。


取組導入のプロセス ~時間外労働削減を個人目標に落とし込むことからスタート

働き方改革の具体的な目標には、「会社全体で年間総労働時間を3.0%以上削減すること」を定め、さらに半期ごとの個人目標に『時間外労働削減』を盛り込むことを必須とし、総務部が主体となって社内掲示板で発信した。各部署の代表が参加する月1回の「経営協議会」で出た意見や、2年に1回実施する「従業員コンプライアンス意識調査」の結果も参考にしながら改善項目を探り、長時間労働の抑制・休暇取得促進などにつながる「アニバーサリー休暇」などの新しい制度を導入。その他、各部署で工夫を凝らしながら、取組を進めている。


主な取組と工夫点 ~アニバーサリー休暇・フレックス制などの社内制度を導入

「アニバーサリー休暇」を制度化し有休取得率をアップ

有給休暇を取ってリフレッシュすることで、生産性も上がるという好循環を期待し、2017年に「アニバーサリー休暇」を導入した。従業員の記念日などに合わせて、通常の有給休暇とは別に2日を必ず取得するもので、年末に翌年の休暇希望日を決めて、年初に届け出ることをルール化している。仕事の都合などで急に休むことができなくなった場合は、振り替えも認めて取得を推進した。これらの結果、同制度の導入前と比較して、有給休暇の取得率は向上した。副次的な効果として、それまで従業員同士でなかなか話題に上らなかったプライベートな話(自分や子どもの誕生日エピソードなど)が交わされるようになり、職場のコミュニケーションが活発になってきたという。

「フレックスタイム制」導入で柔軟な働き方を実現

試験的に導入していた「フレックスタイム制」が従業員に好評だったことから、2018年に本格導入した。経営管理本部、開発本部などで、コアタイム(10時~15時)を含めることを条件に、出退社時間を自由に決められるようになった。経営管理本部 財務・経理部の胡子彩佳さんは、「経理部門は忙しい時期、ゆとりがある時期が決まっているので、ゆとりのある時期には退社時間を早めるなど、上司と相談しながらフレックスを使い、メリハリを付けて働くようになりました。理由を問わず利用でき、自分で働き方をコントロールできるので、前よりも仕事の効率が上がりました」と話している。

男性従業員の育休取得を推進

以前から育児と仕事の両立支援を進めている同社では、育児休業制度が浸透しており、取得率は100%を維持している。復帰後の時短勤務者も多い。さらに男性従業員の育休取得も、2007年頃から推進している。個別メールで法律や制度について案内を送るなどの取組を継続する中で、次第に「先輩たちにならって育休を取ろう」という意識が定着してきている。上司からの声掛けや本人申請により、直近3年間で4人の男性従業員が育児休暇(1週間未満~最大2カ月)を取得している。

部署ごとに、実務に合わせた工夫を実施

時間外労働の削減・業務効率化の取組は、各部門で工夫を重ねながらチャレンジしている。例えば生産部門では、業務マニュアルの作成や、機械操作の担当を固定せずにローテーション化することで、多能工化を図っている。経営管理本部も、主な業務を全員がひと通り経験し、部署内の各種勉強会などで知識を共有している。一つの業務を複数人が対応できるようになったことで、誰かが休んでも対応できるような体制を築いている。その他の部門でも、フリーアドレスの導入などを工夫している。こうした部署ごとでの業務の効率化を進めることで、取組に対する前向きな姿勢が会社全体に感じられるようになったという。


取組の成果

「時間を意識して働く」という意識が社内に高まっており、時間外労働は確実に減ってきている。「今後もこの流れを継続して、生産性向上やワーク・ライフ・バランスの推進につなげていきたい」と武山氏は話す。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)が156.8時間
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得率が52.4%、平均取得日数は9.2日

多様な働き方(直近1年間)

・フレックスタイム制度(育児・介護を除く)を58人が利用

育児(直近3年間)

・在籍中に出産した女性従業員のうち、育児休業を取得した者の割合が100%
・配偶者が出産した男性従業員(12人)のうち、育児休暇を4人取得(33.3%)


従業員からの評価

胡子さんは、「いろいろな見直し・改善を重ねる中で、1人に偏る業務をなくすべきと思うようになりました。誰かが急に休んでも、その分の仕事を誰かが補える仕組みを確立すれば、もっと柔軟に休暇が取りやすくなりますし、働きやすくなると思います」と話す。
その他、「以前は同僚への負担を気にして、遅めに出社したい・早めに退社したいなどの要望を言い出せませんでした。でも今は、家庭の用事と並行しながら時間を調整して働けるようになりました」「スケジュール管理が得意になりました」などの声が上がっている。


今後の目標など

今後も引き続き、年間総労働時間3.0%以上削減に取り組みながら、男性従業員の育休取得の促進や、女性従業員が働きやすい環境整備に力を入れていくという。「当社の女性管理職は2名だけです。女性のキャリアアップをサポートできる仕組み、例えば子育て支援・介護支援をはじめ、柔軟に働けるさまざまな仕組みを整え、ダイバーシティに対応できる企業力を付けていきたい」と、武山氏は話す。
「仕事だけ一生懸命こなすのではなく、家庭と両立することが大事」という風土が根付いている同社。その風土を大切にしながら、働きやすさにつながる多様な取組を継続していきたいという。

取材日 2018年11月