働き方改革優良事例

従業員の満足度を追求するため、
コミュニケーションをベースにした取組を展開

有木株式会社

  • 製造業
  • 福山市
  • 31〜100
  • 推進体制(総務人事)
  • 時間・場所等の多様な働き方
  • 多様な人材の活躍
認定マーク
所在地 〒729-3104 広島県福山市新市町宮内670
URL

https://www.ariki-inc.co.jp/

業務内容 ファッションパンツ製造販売
従業員数 72名(男性24名、女性48名)

(2018年10月現在)

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  • キャリア面談の実施やアイデアボックスの設置で従業員の声を吸い上げる
  • 「社内コミュニケーション勉強会」で話しやすい雰囲気づくり
  • 自己評価・目標設定シートの導入
  • 高齢者の活躍や多様な働き方のため、短時間正社員制度を導入
  • 社内表彰制度で従業員のモチベーションアップ
  • グループウエアによる業務の見える化

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取り組んだ背景とは? ~子育て経験者の視点で自社の環境を見直し

ボトムス専門メーカーとして、全ての製造工程を国内で行っている同社。代表取締役の有木康彦氏の意向もあり、早くから働きやすい職場づくりに力を注いできた。「従業員の半数以上が女性従業員で、子育て世代の者も多くいます。また、私自身の4人の子育ての経験も踏まえ、子育て等をしながら働き続けられるようにと、15年以上前から地域でいち早く半日単位の有給休暇制度を導入するなど、取組を行ってきました。子育てを大切にすることで、家庭も社会も、もちろん自分自身の人生も豊かになるのは明白です。私自身は子育て中に仕事に就けなかったので、これからの時代は希望する人にはより良い環境をつくらないといけないと思いました」と取締役の有木政子氏は語る。

取組導入のプロセス ~取組のベースにあるのは、コミュニケーション!

そうした中、3年前に有木梨沙氏(有木社長のご息女)が総務に加わったことが、さらなる取組を行うきっかけになったという。
「他企業での勤務経験から前職場と比較して考えたとき、当社の職場環境にはまだまだ見直しの余地があるのではないか。私たち経営陣が認識しているほど、当社は働きやすい会社ではないのかもしれないと感じました」と、有木梨沙氏は話す。彼女が新たなキーパーソンとなって、同社の取組が進むことになった。
まず今後の取組の参考とするため、従業員の声を拾う社内アンケートを実施した。「経営陣にとっては意外でしたが、数値にしてみると従業員の満足度が想定よりも低いことが分かりました」と有木梨沙氏。特に本社から離れた工場で働く従業員の数値が低かったという。そこでその原因を見つけるため、工場をはじめとする全従業員への個別面談を実施。面談の内容を総合的に吟味した結果、会社への満足度の低い従業員ほど、会社に話を聞いてもらいたいという思いを抱いていたという。それは結局のところ、コミュニケーション不足が一因だと考え、“コミュニケーション”をキーワードにさまざまな取組を進めることになった。


主な取組と工夫点 ~「従業員の声」を徹底的に反映した取組の数々

キャリア面談の実施やアイデアボックスの設置で従業員の声を吸い上げる

従業員の声を取り入れたいという目的から、アイデアや悩み事など従業員の声を幅広く拾い上げる仕組みを用意した。当初は用紙に記入してもらっていたが、現在はイントラネットを利用して、直接会社側に声が届くようにしている。また、なかなか自分から積極的に意見を伝えられない従業員も多いため、1 人1 人と丁寧にキャリア面談をおこなうことで、細かな従業員の声を拾っている。工場にはWi-Fi環境が整備されているが、これも従業員の声から生まれたものだ。他にも、従業員の声から営業担当以外の従業員も商品について学びたいと「社内商品勉強会」や、スキルアップのための「社外の研修参加」などの取組が実現している。

「社内コミュニケーション勉強会」で話しやすい雰囲気づくり

社内のコミュニケーション不足を少しでも解消しようと、「社内コミュニケーション勉強会」を開催している。これはおよそ月に1回異なるメンバーで開催され、毎回各部署から1~2名ずつ参加する。勉強会では、普段の仕事から趣味などまで、互いに自己紹介しながら親睦を深めることで、話しやすい社内の風土づくりを行っている。飲み物等を用意して話しやすい雰囲気を演出するなどの工夫も行っている。
その他にも、会社の主催で社員旅行や食事会を開催している。部署を超えて従業員同士が交流できるように、座席の割り振りなども工夫している。

自己評価・目標設定シートの導入

従業員のがんばりを客観的に分かりやすく評価したいと、自己評価・目標設定シートを導入した。各従業員が自己評価や目標を記入するが、いわば自分自身を知るためのツールになり、面談などでは、会社と従業員とのコミュニケーションツールとしても活用する。キャリア形成やスキルアップを意識しながら、働いてもらうことを狙いとしている。

高齢者の活躍や多様な働き方のため、短時間正社員制度を導入

もともと同社には、「正社員で働いてほしい」という社長の強い思いがあり、ほとんどの従業員が正社員として雇用されている。さらに定年後においても、再雇用や多様な働き方を支援するため、2018年に育児・介護の事由以外にも適用する、短時間勤務・短時間正社員制度を導入した。この制度の該当者はまだいないが、65歳以上の従業員8人が正社員として、フルタイムで勤務している状況を踏まえ、今後は本人の意思を確認しながら、長年培ったスキルや経験を引き続き生かしつつ、無理せず長く働ける環境を提供していく方針だ。

社内表彰制度で従業員のモチベーションアップ

「がんばっている従業員のモチベーションアップにつなげたい」という思いで実施している社内表彰制度。表彰者は従業員の推薦によって選出される。評価のポイントは特に制限せず、どんなに小さなことでも従業員から挙がってきた推薦コメントを全て採用し、社員旅行や食事会の中で表彰するようにしている。表彰名も推薦コメントに基づき、例えば「縁の下の力持ちで賞」といったユニークなネーミングを採用するなど、従業員同士が褒め合う制度になっている。

グループウエアによる業務の見える化

業務の効率化を図るため、市販のグループウエアを導入して業務全体の見える化を促進しているが、当初は全従業員のスケジュールを共有することに抵抗があったという。しかし実際に利用してみると、「他の人も休んでいるのが分かって、休みが取りやすくなった」という意見や、新たな商談の予定を見て、会社の経営などに関心を持つ従業員が増えたという。またスケジュールだけでなく、売り上げもグループウエアを通じて従業員に公開している。


取組の中での課題

「コミュニケーションをベースに、会社と従業員の距離感(会社の取組への理解や納得感)を縮めるよう努力していますが、それぞれ個人差があります。その距離をさらに縮めていくには、みんなにとってメリットが感じられる取組をどう打ち出していくかが課題です。そこを探っていくためにも、継続してさまざまなアプローチを試みる必要があります。何か新しい取組を投げ掛けて、ザワザワっと反応してくれた時が一番のチャンスです。従業員が何に反応しているか、今後の取組のヒントがつかめるのですから。逆に、反応がない方が怖いですね」と有木梨沙氏。何が正解か分からないからこそ、試行錯誤してトライすることを諦めてはいけないという。


取組の成果

「求人募集においては『育児と子育ての両立がしやすいと感じたから』『40歳を超えても正社員で採用してくれる』『良い会社だと聞いたので』など、当社に対して、働きやすい会社というイメージで応募してくれる方がいてうれしいです」と、有木取締役は語る。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)が156.3時間
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得率49.7%、平均取得日数は8.1日

高齢者(65歳以上)

・定年後の再雇用制度を8人が利用


従業員からの評価

「会社側が従業員に寄り添ってくれますので、困ったことがあったら何でも相談できます。私は勤続26年ですが、それも相談しやすい職場環境のおかげです」と生産部の田辺さん。子育て期間中はもちろん、親の介護や自身が病気になった時も、有木取締役が窓口となって、続けることを前提に無理のない働き方を一緒に考えてくれたという。
物流部の岡野さんは、「スキルアップのため、会社のサポートを受けて、ソフトウエア会社が主催するセミナーに参加しました。会社に貢献できるだけでなく、自分の成長にもつながるのでやりがいがあります」と語る。


今後の目標など

主な販売形態が通信販売であり、それに合わせた計画的生産がベースとなっているが、売り上げの増加により、製造現場への負担が少しずつ増えてきた。従業員への負担も増えてきたため、現在工場の新設に取り掛かっている。新工場が完成すれば従業員の負担も軽減し、生産性も向上して品質の維持や更なる売り上げ向上にもつながる見込だ。ここには、「時には思いきった設備投資に踏み切り、課題解決を試みることが会社にとっても従業員にとっても重要だ」という社長の判断があった。「設備投資」と「従業員への働きかけ」というハード・ソフトの両面から更なる働きやすい環境づくりに取り組むことを目指しているという。有木梨沙氏は、「早すぎるテンポで改革を行うと、十分な納得を得ないまま、取組だけが先行してしまう恐れがあります。これからも従業員の声を聞く姿勢を崩さず、満足度の高い職場づくりを追求していきたいです」と語る。最後に有木取締役は、「従業員が元気、笑顔でいられる会社。従業員が充実感とやりがいを感じられる会社を、今後も目指していきたいです」と締めくくった。

取材日 2019年1月