働き方改革優良事例

社内風土を生かしながら、
多能工化やアウトソーシングで業務も効率化

ニッキフッコー株式会社

  • 卸売業・小売業
  • 呉市
  • 31〜100
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒737-0144 広島県呉市広白岳3-1-52
URL http://www.kuuki.com/
業務内容 高圧ガス事業、関連プラント設計・製作
従業員数 65名(男性53名、女性12名)

(2018年10月現在)

seika_header.png

  • 細かなニーズや不満をくみ上げる場の用意
  • 有給休暇の取得状況の確認や上長の率先した取得
  • 産休・育休取得者のサポート体制の整備
  • チーム体制やアウトソーシングで多能工化や効率化を推進

seika_footer.png

取り組んだ背景とは? ~少子高齢化と採用難の中、長く働ける会社へ

1946年に、各種高圧ガスを製造・販売する「福興酸素株式会社」としてスタートし、その後の合併を経て2012年に現在の経営形態となった同社。高圧ガス設備や高圧ガスそのものを扱う業務は、顧客である企業の生産活動や医療サービスなどに直結している。どうしても突発的な要請が起こる場合があり、休日出勤、時間外労働の削減などは以前から課題であった。さらに近年、少子高齢化や求人倍率の上昇などにより、若い社員の採用にも課題を感じていた。
そこで同社では、今いる社員が、安心して長く働ける環境づくりに取り組みはじめた。代表取締役社長の小林通匡氏は、「大げさに『働き方改革』に取り組もうと構えるのではなく、社員のやりがいと先々の健康面などを考えながら、自社を社会の変化やニーズに適応させることを意識しました」と語る。


取組導入のプロセス ~従来の慣習をうまく生かしてルール化

小林氏は、自社の働き方改革について「あらためてルールを決めたというよりも、それまで社内に慣習としてあったやり方を、きちんと明文化していっただけです」と語る。他の企業が取り入れている事例を無理やり導入するのではなく、自社にとって必要なのか、自社に合っているやり方なのかをしっかりと吟味した上で、効果的な部分から取り入れた。
例えば、同社では女性社員の勤続年数が長い。保育園などが休みの際の出勤日には、自分の子どもを連れて出勤し、同僚の社員も協力するといったアットホームな雰囲気がもともとあったという。そこで、あらためて子連れ出勤を容認し、安心して仕事に取り組める環境整備につなげていった。


主な取組と工夫点 ~経営・管理層から細かな働き掛けを実施

細かなニーズや不満をくみ上げる場の用意

年に一度、従業員との面接の場を設け、部門長による職場状況の聞き取りを行っている。その他にも、毎月開催する中堅社員の研修の中で、働き方に対する意見交換を行いニーズや不満を収集している。さらには、毎年2月の経営計画発表会後の社員の交流パーティー、8月夏の納涼会、12月の忘年会、地域の行事への参加などさまざまな懇親イベントを行っている。役職に関係なく自由に発言できる場を設けることで、気軽に相談しやすい風土を築きながら、細かなニーズや不満をくみ上げるように配慮している。

有給休暇の取得状況の確認や上長の率先した取得

2017年までは30%台だった有給休暇の取得率を、2018年度は40%以上にすることを目標に設定。年に1回、全従業員が出席する経営計画発表会で、小林氏が目標数値として発表した。実現に向けては、総務部が先頭に立ち、本社および呉営業所など各事業所の社員の状況を随時チェックしている。そして、毎月の経営会議および工場での工程会議で、職場の上長に有給休暇を取得する意味をきちんと理解・実践するよう促した。上長自らも率先して取得し、さらに上長から部下へ取組の趣旨を説明することで、積極的な有給休暇の取得を図っている。場合によっては、取引先にも自社の働き方改革への協力を仰ぎ、勤務ローテーションの調整を行うことで、2018年は有給休暇の取得率は43%(暫定)まで増加した。

産休・育休取得者のサポート体制を整備

もともと同社は社員同士の仲が良く、日頃から育児や仕事についても相談しやすい風土があったという。産休や育休に対する社内の理解度が高く、安心して取得できるよう社内でサポートしている。こうした結果、直近3年間で在籍中に出産した女性社員全員が、産休と育休を経て復帰している。
その中の一人、総務部の清松さんは「2年前に産休と育休を取得し、その間の仕事は、他部署の女性社員が代わりに対応してくれました。今まで全く携わっていなかった業務を担当してもらったのですが、私が復帰した時に聞くと、私とは違うやり方で効率的に進めていたことに驚きました。私にとっても、新たな発見があり、もっと工夫できることはないかと考え、さらなる業務の効率化にもつながりました。自分の担当業務に対応できる人が他にもいる状況は、急な時にも安心して休めることにもつながります」と話す。

総務部課長の的場さんは「当社の女性社員たちは、仕事に対する柔軟性が高く、気付きにくい部分にも細かく取り組んでくれて、会社にとっても大きなプラスとなっています。産休や育休の取得後も、安心して働き続けてもらえるよう環境を整備しながら、さらに活躍の場を用意できないかと検討しています」と語る。

チーム体制やアウトソーシングで多能工化や効率化を推進

同社では、定期的に社内でジョブローテーション(社員の部署・担当替え)を行う。また業務は、複数人で構成されるチーム単位で行うようにしている。チーム内の先輩ベテラン社員を見て、仕事の仕方を学ぶことで、チーム全員でノウハウを共有し、何か問題が起きた時でもすぐに対応できる仕組みづくりが進む。さらに、社員の保有資格を一覧で見える化することで、社員のスキルアップや資格の取得を促し、多能工化が進むことも期待している。
同時に、効率化にも力を入れている。手入力や手作業の加工などを機械化し、コストはやや上がるが協力会社へのアウトソーシングによる省力化も進めている。こうした効率化の取組は、有給休暇や産休・育休の取得促進にもつながっているという。


取組の中での課題

「働き方改革の取組に手応えを感じる一方で、いろいろな面で社員が細かい不満を抱えていることも分かりました。社員それぞれが、今まで築いてきた業務のやり方を否定し、あわてて変えるのではなく、社員のニーズや会社の状況に合わせながら緩やかに舵を切る必要があると感じています。これからも会社に合ったスタイルを模索し、社員とその家族が満足できる方法を検討していきたいです」と小林氏は語る。


取組の成果

有給休暇取得率は、ここ3年間で向上している。取組を進める中で、次のようなエピソードも明かす。「以前、社員を集めて開催した懇親会で、地元高校のブラスバンド部に演奏してもらったことがあります。その際に参加してくれた高校生2名が、当日の様子や、社風に関心を持ち、就職先にわが社を選んでくれ、来年入社することになりました。社風や社員同士の雰囲気を見て、選んでくれたことがとてもうれしかったです」と、小林氏は語る。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)が169.8時間
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得率
2016年の36.9%、2017年に38.1%、2018年(暫定)は43%

育児休業(直近3年間)

・在籍中に出産した女性従業員のうち、育児休業を取得した者の割合が100%


従業員からの評価

「仕事に対して責任感が強い人が多い職場です。会社側が、有給休暇の取得を積極的に勧める中で、産休・育休を取得して復帰するのも当たり前になっています。社員同士がお互いをカバーし合う雰囲気も高まり、会社で長く働き続けたいと感じる社員が増えた気がします」と、清松さんは話す。


今後の目標など

小林氏は今後の目標について次のように語る。「取組を進めるには、会社や社員だけで完結するものではありません。まずは会社がルールを作ったら社員が理解する。そして、お客さま仕入先さまにも理解してもらい、さらには、社員の家族にも理解してもらうことが大切です。また、2018年7月の豪雨災害では、当社も社員が出勤困難になるなどの影響を受けました。今後は、社員はもちろん、その家族をどう守るのかも会社として重要なことだと思います。災害が起きた時に会社としてどう対応するか、どの様な支援ができるか、そのルール作りを考える必要性があると感じています。社員とその家族が安心してもらえる職場環境を提供することによって、当社で働く喜びをもっと感じてもらいたいです」

取材日 2019年1月