働き方改革事例

従業員からの創意工夫を促す提案制度で、
勤務環境を改善し、生産性を向上

株式会社レニアス

  • 製造業
  • 三原市
  • 101〜300
  • entrydatajireikaikaku2-01
  • entrydatajireikaikaku2-02
  • entrydatajireikaikaku2-03
認定マーク
所在地 〒729-0473 広島県三原市沼田西町小原字袖掛200番地の76
URL http://www.renias.co.jp/
業務内容 輸送用機器及び特殊車両の部品等開発・製造
従業員数 120名(男性98名、女性22名)

(2018年11月現在)

seika_header.png

  • 創意工夫提案制度で生産性を向上
  • 有給休暇奨励日の設定で、休みやすい風土を醸成
  • 全部門で情報共有し、残業時間を管理・削減
  • 子育て世代の意見を取り入れた多様な勤務体制
  • 技能スキルを見える化し、ジョブローテーションで多能工化

seika_footer.png

取り組んだ背景とは? ~若い従業員が増え、将来を見据えた改革に着手

創業以来「小さな一流企業をめざす」を経営理念に掲げ、PC樹脂製品(ルーフ、窓、ライトカバー他)加工の一貫生産システムを有し、優れた製品を世に送り出すことを追求し続ける同社。
人事総務Group Managerの小林芳光氏は取組の背景をこう語る。「当社は、事業拡大に伴い幅広い人材の採用を進めています。そうした中、若い世代の従業員も増えていました。従業員が安心して働き、力を発揮するには、仕事と家庭の両立などの取組がさらに必要になると考え、社内の働き方改革に取り組みはじめました」


取組導入のプロセス ~創意工夫提案制度から始まり、組織改革で取組を加速

2012年ごろから業務改善のアイデアを従業員から求める創意工夫提案制度を導入し、業務の効率化に取り組んできた。2018年には、組織改革を実施。それまでは“部”単位で業務を行い意思決定するという組織体系だったが、“業務”に合わせて最高責任者を明確にすることで、意思決定の時間を早めた。社長室(個室)もなくして、決断に迷ったときにはすぐに社長と相談できる環境にした。


主な取組と工夫点 ~有給休暇奨励日や時差出勤など積極的に展開

創意工夫提案制度で生産性を向上

設備と時間を工夫して生産性を上げるために実施している「創意工夫提案制度」。従業員個人または複数名の共同で、改善内容や見込まれる効果を具体的に記入した提案書を人事総務Groupと品質管理Groupに提出する。総務側は提案書を受け付ける一方で、提案者は上長に実施可否について確認を行う。上長と提案内容を精査し、時には修正を加えながら、最終的に効果的と判断された提案が実行に至る。実行後は、基準に沿って評価も行う。提案数は、2016年度368件、2017年度407件と年々増加しており、生産性の向上に大きく貢献しているという。提案の一例を紹介すると、材料投入において、人力搬送していたものを機械搬送へ自動化したり、部品の交換作業をワンタッチ化したりなどがある。

全体が休む有給休暇奨励日を設定し、休みやすい風土を醸成

有給休暇を促すため、出勤日に当たる土曜日のうち5日を全社的な「有給奨励日」として計画的に設定している。数カ月前から生産計画を調整し、その日は全員が休めるようにする。そのため、それぞれの部署内で、各従業員の業務状況を共有し、業務過多に陥っている従業員がいれば、業務の振り分けを検討するなど積極的な調整が行われている。
「2019年度からは、完全週休2日制に移行し、年間休日を121日に設定。今後は全社的な有給奨励日という形ではなく、各自で計画的に有給休暇を使うようにしていく予定です。この2年間の有給奨励日の実施で、有給休暇を使いやすい環境ができてきたと思います」と小林氏。

全部門で情報共有し、残業時間を管理・削減

人事総務Groupによる現場ヒアリングを実施し、残業の状況を把握。毎月、各部署の上長が、生産計画などを見込みながら、次月の従業員ごとの残業予定時間を記入し、残業予定が大幅に増える場合にはその理由も具体的に記載する。併せて人事総務Groupは週に一度、残業時間実績を一覧にまとめて各部署に配信し、急激な増加は随時チェックしている。さらに、月1回の安全衛生委員会で実績値を報告し、残業の多い部署の情報は役員とも共有する。残業が多い部署では、部署内で業務の配分見直しなどの改善策に取り組むが、人事総務Groupから、他部署からの応援や異動による人事補充などの人事的な改善策について、現場へ提案することもある。

子育て世代の意見を取り入れた多様な勤務体制

「例えば、病院に行って1時間遅れて出勤するという場合もありますが、会社として、柔軟に対応しています」と小林氏。定時の8時~17時勤務の他に、状況により9時~18時、10時~19時という時差出勤も認めている。
現在の就業開始時間の8時は、2年前に30分早めたもの。以前は8時30分~17時30分だったが、保育園の迎えに間に合わないという従業員からの要望を取り入れたものだ。「今、従業員の半数以上が20代30代の子育て世代なので、若手従業員の意見は大切にしています。2019年度からは、時間単位の有給休暇制度も導入しますが、これも若手従業員から出た意見によるもので、実施されたらうれしいと今から反響があります」と、小林氏は話す。

技能スキルを見える化し、ジョブローテーションで多能工化

各生産工程内で必要な技能スキルは「教育中」「標準通りできる」「工数通りできる」「指導できる」の4段階に分けて見える化。誰にどのレベルの技能があるかを把握しやすく、スキルアップ意欲の向上にもつながる。また技能の共有や向上のために現場でのジョブローテーションを行い、多能工化にも取り組んでいる。多能工化が進むと、急な注文や受注増、不在時のカバーも対応しやすくなるだけでなく、他の現場を経験することにより、相互の業務への理解が深まる。また、新たな視点が入ることにより、さらなる効率化へのヒントを見つけられることも多いという。


取組の成果

「有給奨励日に休みを取るために、部署内で各自の業務の状況などを話し合うようになりました。コミュニケーションがより活発になり、社内の雰囲気も良くなりました。有給奨励日以外の有給休暇についても、事前に取得したい日を上司が従業員から聞いて、早めに届出書を出してもらうというやり方で、取得率が高くなった部署もあります。この取組をさらに進めて、2020年3月31日までに有給休暇の取得12日以上を目指しています」と小林氏。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)が172.2時間
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得率が55.2%、平均取得日数は8.9日


従業員からの評価

「私自身、有給休暇を取りたい時には上司に相談して、その仕事を事前に終わらせるようにしたり、どうしても終わらない時には周りのメンバーや上司に助けてもらったりしています。入社2年目ですが、今年は有給休暇をもっと使って旅行などにも行きたいと思っています。そのためには、いかに業務を効率的に行うかが大切だと思いますので、改善の提案も積極的にやっていきたいと考えています。昨年は、創意工夫提案制度に2件提案して、報奨金もいただきました」と生産管理Groupの加藤さんは話す。


今後の目標など

「今後も、業務の効率化にさらに力を入れていき、可能なところは機械化することも考えています。福利厚生面にもさらに力を入れて、従業員の人生を豊かにし、従業員の家族を含めたみんなの幸せを実現できる会社になりたいと思っています」と、小林氏は力強く締めくくった。

取材日 2019年2月