働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

パート従業員の採用促進で労働力を補充
離職率が低減、余力でさらなる改善を推進

麒麟倉庫株式会社

  • 運輸業・郵便業
  • 広島市
  • 101〜300
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 多様な人材の活躍
認定マーク
所在地 〒739-0323 広島県広島市安芸区中野東1-7-1
URL http://kirin-warehouse.jp/
業務内容 倉庫業
従業員数 245人(男性137人、女性108人)

(2019年3月時点)

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  • トップ自らが従業員と直接面談
  • 短時間勤務のパート従業員の採用促進で労働力を補充
  • タイムカード打刻を1分単位に、時間の意識高める
  • 業務内容を見直し、パートでも運用できる仕組みを構築

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取り組んだ背景 〜残業が常態化、退職者増え対策が急務に

kirinsoko_02.jpg倉庫業として地元自動車メーカーのタイヤや座席を一時的に保管し、自動車の生産計画に合わせて納入する業務を手掛ける。売り上げの約9割が同メーカーからの受注で、広島の工場で生産される全車種のタイヤを納めている。納品先の好調を背景に2015年頃から倉庫内での梱包や発送作業が増え、従業員の残業でなんとか出荷をこなす日々が続いていた。総務部長の西亀啓太氏は、「残業が増えるあまり、従業員が相次いで退職する事態に陥りました。フルタイムのパート従業員の募集をしばらく続けましたが、昨今の人手不足で思うように集まらず、苦悩の日々を送っていました。なんとかしなければとみんなで知恵を絞った結果、これまでの意識を変え、短時間勤務の従業員を募集することに決めました」と、当時の状況を話す。

主な取組と工夫点

経営者による直接面談で改善の雰囲気づくり

まずは職場の定着を進めるために従業員の考えや悩みを把握しようと、2015年4月から毎年、会長による従業員との直接面談を始めた。西亀氏は「当社の社是には『従業員の幸福』が掲げられています。会長自らが従業員の抱える悩みを解決しようとトップダウンで取組を始めたことが、大きな推進力になりました」。面談では些細な悩みもヒアリングし、お互いの思いを共有しながら出された意見や相談を着実に改善活動につなげている。こうした取組を継続することにより、経営者と従業員が一体となって、良い職場づくりを進める雰囲気が生まれてきたという。また、情報共有の環境ができたことで、食堂や休憩所など作業場以外でも従業員同士のコミュニケーションが活発化している。

短時間パート採用が子育て女性に反響

kirinsoko_03.jpg慢性的な人手不足の解消に向け、役員会でさまざまな対策が議論された結果、これまで雇用していなかった短時間勤務のパート従業員を迎え入れることにした。午前と午後で勤務希望を選べるようにし、2017年9月から募集を開始。これに反応があったのが、子育て世代の女性だった。「子どもを保育園や幼稚園に連れて行った後の午前9~12時の3時間だけ働きたいという女性の応募が特に多かったです。現在、約20人がこの形態で勤務しています。その後、お子さんが小学生に上がって子育てが落ち着き、フルタイム勤務に切り替えた人もおり、非常に助かっています」と西亀氏。フルタイムでは働けないが、短時間なら働けるという主婦のニーズをつかみ、人材確保につなげている。

タイムカードを1分単位に、時間意識高まる

働き方改革の本格化に先立って、2013年に非正規従業員のタイムカードを15分単位から1分単位で給料に反映させる制度に変更した。人件費は増える可能性があるが、働いてもらった時間はきちんと給与に反映させたいという経営者の思いから実施に踏み切った。しかし、実際に実施してみると、時間に対する意識が高まり、時間内に効率的に働こうとする雰囲気が生まれ、だらだらと過ごす従業員が大幅に減ったという。

取組の中で苦労したこと 〜短時間パートに任せる仕事で苦慮、運用の仕組み構築

kirinsoko_04.jpg短時間パートに任せる業務内容を決める中で、意見が分かれる場面があった。例えば、座席を梱包する時、1台ごとに同梱するパーツが異なるため、細かい内容が記された作業指示書に基づいて処理していかなければならない。間違いは許されず、特に段取りが重要な業務だ。そのため一部の従業員からは「短時間で働くパート従業員では1日の業務計画を立てにくく、リスクが高い」と、反対意見もあったという。しかし、急いで人手不足を解消し、常態化した残業を削減しなければならないという状況の中で、パート従業員への業務移管を決定。現場は試行錯誤を重ね、業務内容を見直し、段取りを整理。不慣れなパート従業員でも運用できる仕組みを構築し、現在は順調に稼働しているという。

取組の成果 〜労働力が充実し離職率が低減

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短時間パートの雇用で労働力を穴埋めでき、現場作業に追われることが減少。残業時間が減ったほか、経営者との面談などの取組も奏功し、離職率を減らすことに成功した。雇用を始めた前後で離職率を比べると15年が11.39%で最も高く、募集を始めた17年は4.76%、18年には3.33%まで下がった。以前は繁忙期に事務職の従業員が現場作業に応援に入ることもあったというが、その場しのぎの対応はなくなり、部署ごとの本来の業務に集中できる環境を整えた。

課題や今後の目標 〜改革がさらなる改善を生む好循環に、RPA導入を検討

kirinsoko_06.jpg改革が奏功し、余裕が生まれたことで、これまで取り組んでいなかった業務改善も進めやすくなっている。西亀氏は「タイヤの入出荷の状況をデータで管理しており、今は従業員が専任で担当しています。この業務にRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入を検討しています。単純な作業はシステムに任せることで、さらなる効率化を図っていきたいです」と語る。

従業員からの評価

総務部
脇地 奈緒さん

kirinsoko_08.jpg人事、労務、法務のほか、パート従業員や中途従業員の採用も担当しています。風通しが良い職場なので有給休暇が取りやすく、働きやすいと感じています。パート従業員からは「子どもの発熱や急な保育園からの呼び出しがあった場合でも、職場の皆さんの協力のおかげで遠慮せず休ませてもらっています」といった声を最近よく聞きます。男性従業員の理解も高まっていると思います。育児をこなしながら働く女性幹部がおり、しっかりとキャリアを積む姿を心強く感じています。個々の目指す働き方ができるのが、この会社の良さですね。

取材日 2019年5月