働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

部署横断の小集団活動で、弁当・むすび製造の効率化へ
生産管理システムの精度向上、有休・育休取得で成果

株式会社サンヨーフーズ

  • 製造業
  • 廿日市市
  • 301以上
  • 推進体制(経営者)
  • 推進体制(総務人事)
  • 休暇取得の促進
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒738-0203 広島県廿日市市友田字橋桁10096-2
URL http://www.sanyofoods.jp/
業務内容 弁当製造
従業員数 1441人(男性584人、女性857人)パートタイム・アルバイト含む

(2018年9月時点)

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  • 部署横断の推進体制で現場の効率アップ
  • 入念な面談で、能力向上や家庭に考慮した働き方へ
  • 計画有休で5連休の取得促進
  • 産休・育休を取りやすい環境づくり

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取り組んだ背景 〜不規則な勤務体系から人手不足に

sanyo_02.jpgコンビニ業界最大手セブン-イレブンのむすびや弁当などを製造する。下処理から始まり、煮たり焼いたり、盛りつけたりと手間がかかるほか、火や味の加減などは簡単に機械化できるものではないため、人手が必要となる業務が主体だ。さらに行楽シーズンや大型イベントなど、人の動きに合わせて繁閑期が変化するため、年間を通じて従業員の勤務が不規則になりがちだ。代表取締役社長の佐々木正信氏は、「以前、家族旅行を予定していたのですが、その日に弁当のキャンペーンが入り、すべてをキャンセルしなければならないことがありました」とし、従業員に同じ思いをさせたくないという強い思いがある。また不規則な勤務体系から「辞めては採用して」を繰り返し、十分な人材を確保し続けるのが難しい状態に陥っていた。

主な取組と工夫点

部署横断する業務改善体制、小さな改善を推進

sanyo_07.jpg佐々木氏は、社長就任前の笠岡工場勤務時代に従業員の働きやすさを追求しようと、「カイゼンジャー活動」と名付けた独自の業務改善活動をスタートさせた。各課の所属長を中心に小集団活動を展開し、それぞれの業務を見直し。1つの課題に対して課を横断してさまざまな意見を出し合い、改善ができる推進体制も整えた。現在では広島工場などにも展開し、生産性の向上や、より作業しやすい環境づくりなどのテーマを決め、3カ月ごとに各課で計画を発表し実行している。これまでの事例では、始業と終業時の機械部品の点数を記録する帳票を削減し、効率化を図った。また、鍋つかみは消耗の激しい布製から耐久性の高い金属製に変更。逆にカウンタークロスは洗濯の手間を省くために使い捨てタイプに変えるなど、現場に即した細やかな改善を進めている。

入念な面談で、能力向上や働きやすい環境へ

従業員の業務上の強みや弱みを把握することにも注力。各部署に1次(係長)と2次(課長)で2人の考課者を置き、1人当たり約2時間にも及ぶこともある面談を定期的に実施している。できることとできないことを整理し、できないことは目標として設定し、習得を目指す仕組みを築いた。
併せて、個人の家庭環境を含めて個々が望む働き方の状況を丁寧に把握している。例えば、子育て中の従業員が子供の送迎をしないといけない場合などは、ミーティングでフォローし合ってシフトを組むなど、柔軟な対応ができるようにする。

計画的な有休取得で、5連休を実現

sanyo_04.jpg過去に有給休暇の取得を奨励したことはあったが、「忙しくて取れない」という潜在意識から、なかなか進まなかった。そのため、1カ月単位で決めていたシフトから、1年分先行して決められる体制に変更。さらに、あらかじめ5連休のリフレッシュ休暇を計画的に取得できるようにした。人事企画課長の岡田憲治氏は、「従業員同士が、互いの休暇を促すような雰囲気が出てきました」と話す。年次有給休暇の平均取得日数は2016年が3.47日、17年が4.00日、18年が4.99日と確実に増えている。今後は、5連休を年2回取るための取組も始めるという。

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変動する受注への対応策、精度を高める取組を継続

sanyo_06.jpg日々変動する生産量に対応し、安定した供給・配送の体制を実現することは、同社の長年の課題だ。広島工場は1日当たり約10万食超を、笠岡工場では約15万食もの弁当などを作り、それを朝、昼、夜の1日3回配送する。生産管理課は、店舗ごとに周辺のイベント情報や天候などを踏まえて事前に見込み数量を算出し、生産ラインを組んで人員を配置。これらの一連の生産管理システムの精度が高まれば、従業員の勤務体系を一層管理しやすくなる。さらなる精度向上を目指して日々改善活動を続けている。

育休取得を促進、産休後の復帰率は100%

女性従業員の育児休暇取得も促す。産休前に、復帰後の働き方の希望などをヒアリングし、細かな対応を進めている。取組を始めてから、育児休暇を取得した従業員の復帰率は100%を達成。2019年1月には、初めて男性従業員が公休や有休を組み合わせ1カ月の育休を取得した。これらの取組がきっかけとなり、会社全体で育休・産休時にフォローし合う気運が高まっている。

取組の中で苦労したこと 〜反発の声も、「小さなことから」の意識がいい流れに

sanyo_07.jpg佐々木氏は「有給休暇を取りましょうと働きかけても、現場から『無理でしょう』との声が上がってきていた」と振り返る。また佐々木氏自身も当初は、何から働き方改革を始めていいのか分からなかった。「まずは小さいところから改善できれば」と改革を推進した結果、各課の小集団活動が推進役となり、皆が働く職場を皆でより良くしようと考えたことがいい流れにつながったという。

取組の成果 〜トップダウンからボトムアップへ、社員交流も活発化

最近ではトップダウンではなく、従業員から日頃の気づきを、作業効率のアップにつなげていこうとするボトムアップの意識が芽生えてきた。岡田氏は、「当初は他人事という思いがあったかもしれませんが、小さな事でも意見を出し合って改善していけば、自分たちの仕事がはかどるという手ごたえを感じてくれたようです」と効果を実感する。横断的に実施された改善活動を通じて、従業員同士のコミュニケーションも活発化。終業後にフットサルやバドミントンなどのサークル活動が行われ、ツーリングやサイクリングなどで休みを共有して楽しんでいるという。

課題や今後の目標 〜「人を活かして、品質を極める」、人と人が支え合う組織づくり

sanyo_03.jpg佐々木氏は、「『人を活かして、品質を極める』という思いで経営しています。いいものを届けたい。ではその品質は誰が作るのかというと、人が作るわけです。人と人が支え合う、助け合う、協力し合う。そして人には得手不得手があるので、それらを踏まえた組織づくりを一層推進していきます。現場の改善活動から生まれるボトムアップの意見を集約し、一層強固な体制づくりにも取り組んできたい」と方針を話す。

従業員からの評価

総務課
尾﨑 幸恵 主任

sanyo_10.jpg二児の子育て中で、午前9時から午後4時まで時短で勤務し、経理や人事データの管理を担っています。入社した当初は、寿退社される方がほとんどでした。しかし、少しずつ産休を奨励する雰囲気が生まれ、環境は着実に変わってきました。私は2度産休を頂きましたが、復帰が前提でした。産休に入った後にも健康診断を受けさせてもらい、また育休中でも、子どもを会社に連れて立ち寄れる温かい雰囲気がある会社です。

取材日 2019年5月