働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

全員参加の改善提案活動で業務改善を推進
意識改革により残業を大幅削減、離職率2%を実現

株式会社熊平製作所

  • 製造業
  • 広島市
  • 301以上
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒734-8567 広島県広島市南区宇品東2-1-42
URL https://www.kumahira.co.jp/
業務内容 セキュリティシステム機器の開発・製造
従業員数 472人(男性440人、女性32人)

(2019年9月時点)

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  • 社員の残業意識を変革
  • 資格取得支援で社員の能力アップ
  • 改善提案活動を社内表彰で評価
  • 能力マップに基づく多能工化で業務集中を回避

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取り組んだ背景 ~「社員を大切にする」社風、一層働きやすい職場に

kumahira_01.jpg金融機関向けの金庫室・貸金庫設備で国内トップシェアを誇り、近年はビル向けのセキュリティゲートや入退室管理システムなども手掛ける「トータルセキュリティ企業」。業務の生産性向上の取組は当然のこと、社員の働きやすい職場環境づくりにも以前から積極的に取り組んできた。管理部人事グループ長の佐々邊善行氏は「近年、慌てて取り組んだというわけではなく、昔から色々な取組を行っています。そういう点ではもともと『社員を大切にする社風』の会社だと思います」と話す。世の中の働き方改革の流れに合わせ、制度や仕組みの一層の充実を図っている。

主な取組と工夫点

社員の残業意識を変える

kumahira_02.jpgほかの部署に比べて残業が多めだった開発部門を対象に2017年から、午後7時以降の残業を原則禁止に。追加で残業が必要な場合は、より厳しい事前承認を必要とし、担当役員も率先して残業削減に取り組んだ。管理部部長の石田啓氏は「これは意識改革に良い効果がありました。社員が時間を気にせず働いてもいいと思っていたら、残業はなくなりません。まずは定時(午後5時)を意識しながら働くことが何より大切です」と話す。

書類電子化で業務効率化、保管スペース削減

受領する納品書や請求書が毎年約10万枚にも上り、保管スペースの無駄や業務の非効率を感じていた。そこで、書類のペーパーレス化を実現するために、文書の電子化・管理システム(e文書システム)や業務用スキャナーなどを導入し、検索性の向上と保管スペースの無駄を解消した。また従来、購買部門は検収が済んだ納品書のバーコードをバーコードリーダーで1枚ずつ読み取っていたが、これをe文書システムを使ったスキャニングに置き換えることで、検収の自動化を実現。購買と経理がそれぞれスキャニングする二度手間も解消した。

資格取得支援、社員の能力アップ

kumahira_04.jpg社員の能力向上を図る人材育成にも積極的だ。例えば機械設計やメカトロニクス、業務改善など仕事に関連する通信教育を修了したら受講費用の8割を会社が補助。各種資格試験の受験費用も会社が全額補助し、合格者には難易度に応じて報奨金も支給している。年間約90件の通信教育の申し込み、約220件の資格試験へのチャレンジがあるという。また人事担当者が社内講師となり、表計算ソフトなどのMOS資格(マイクロソフトオフィススペシャリスト)の受験対策勉強会を実施。パソコン操作に詳しくなることで、業務スピードの向上につなげている。2019年2月には女性活躍推進という位置づけで、外部講師による「キャリアデザインとライフプランセミナー」を実施した。
また部署ごとに求められる知識・技術・技能などをまとめた「能力マップ」を整備。「1人でできる」段階や「指導できる」段階など、それぞれの業務について社員の能力を数値で表し、年間の教育計画作成と教育訓練を各部署で行っている。能力を見える化することで、目標が明確になり、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の質を高めている。

改善提案活動を社内表彰で評価

2010年3月、品質向上や業務改善を目指す小集団(サークル)活動を全面的に見直した。管理職を除く社員全員がどこかのサークルに参加し、テーマを決めて改善提案活動に取り組む。取組内容は毎年の全社改善報告会で発表され、年間の上位3サークルに対して報奨金の支給と社内表彰を行うなど、モチベーションの向上につなげている。佐々邊氏は「これにより今の仕事のやり方に疑問を持ち、より効果的な方法はないか意識する習慣づけができました。こういった社員主体の取組を、会社としてバックアップしていきたい」と話す。

多能工化で特定社員への業務集中を回避

kumahira_03.jpg生産部門では能力マップに基づいた技能の多能工化が進んでいる一方で、「間接部門など縦割りで業務を行っている部署では、特定の担当者しか分からない業務が生まれてしまい、有給休暇を取得しにくいなどの課題がありました」と佐々邊氏。部署内での情報の共有は言うまでもなく、1人で複数の業務ができる事務スタッフの多能工化やひとつの業務を複数で担当する兼任化を推進している。

取組の成果 ~平均残業時間も着実に減少

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職場での改善活動の積み重ねや仕事の平準化を進めたことで作業時間が着実に低減した。また、慢性的に残業の多かった部署での残業ルールの厳格化や上司による声掛け、社員の意識改革により、会社全体での月平均残業時間は2016年の14.3時間から2018年の10.6時間へと着実に減少した。
また、フレックスタイム制度のコアタイム廃止や育児・介護休業制度の短時間勤務期間延長などの制度充実によって、多様な働き方ができるようになったという。子どもの送り迎えのために朝早く出勤し早めに帰宅する男性社員や、産休・育休後に時短勤務する女性社員なども増えた。離職率は過去10年で2%程度と低く、「結婚・出産を機に辞める女性社員もほとんどいません」と石田氏は話す。

課題や今後の目標 ~業務の効率化方法を共有

今後は効率的な業務の進め方などの社内ルールを取り決めて全社展開したいと考えている。佐々邊氏は「例えば、人間の脳は起床後3〜4時間で覚醒のピークを迎えると言われています。だから午前中はゴールデンタイムとして重要な業務に集中し、思考を中断しないよう社員同士で心掛ける。午後は脳の覚醒度が下がるので、会議や打ち合わせなどのコミュニケーション中心の仕事のスケジューリングを行う、などのルールを示していきたいですね」と話す。

従業員からの評価

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製品開発部
坂田 尚久 主査(右)

労働組合で役員をしており毎年、細かい改善要望を会社に提出しています。基本的に真摯に応えてもらっており、環境はどんどん良くなっていると感じています。当社はセキュリティ製品を製造する会社なので、高い品質を求められ業務には厳しさもありますが、社員を見ると、優しく面白い人が多く、笑顔の絶えない会社です。

製品開発部
水本 碧海 さん(左)

ソフトウエア開発をメインに担当しています。2歳の子どもがおり、育児休業取得後は育児短時間勤務をしています。業務分担など、周囲の人の協力を得ることができ、早く帰ることができています。育児休業については、希望する社員全員が取得を実現し、復職率も100%でしたので、抵抗はありませんでした。育休中は人事部門から会社の状況を定期的に知らせてもらっていたので、スムーズに復職できました。

取材日 2019年5月