働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

200年企業へ、ビジョンを見える化した「働きがい改革」
業界の常識にとらわれない週休2日の実現へ

平和建設株式会社

  • 建設業
  • 福山市
  • 31〜100
  • 推進体制(経営者)
  • 休暇取得の促進
  • 時間・場所等の多様な働き方
認定マーク
所在地 〒720-0822 広島県福山市川口町1-16-35
URL http://www.heiwakensetsu.co.jp/
業務内容 総合建設業、総合設計業、宅地建物取引業
従業員数 計41人(男性36人 女性5人)

(2019年9月時点)

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  • 会社ビジョンの見える化により改革の機運づくり
  • 「見て覚える」から「組織で育成する」教育制度へ
  • 有休チケット制度で休みやすい環境整備
  • 「週休二日のチャレンジ現場」の実現へ

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取り組んだ背景 〜「建設業だから仕方ない」という諦めの壁

heiwa_01.jpg福山地区の変遷と共に発展してきた創業137年の老舗建設会社。大空襲の戦火を乗り越えた地であり、後に社名とした「平和」な社会の実現に向け、「お客さま、福祉化社会に貢献する」「社員、家族の幸福を実現する」ことを経営理念とする。
「見て習い、覚える」という、まさに職人気質の風土に加え、工期厳守のための残業や休日出勤の常態化、天候次第で急な日程調整が伴う複雑な勤務管理、個人で動くことが多いことによる一体感の不足など、さまざまな課題があった。「建設業だから仕方がない」という従業員の〝諦め〟が根底にあったためか、以前から改善に取り組んでも従業員に必要性が理解されず一過性になっていたという。「従業員には、今回の働き方改革も『何となく終わってしまうんだろう』という空気感すらありました」と常務取締役の岡田一真氏は話す。200年企業を目指して持続的に成長するためには働き方改革は避けては通れないと考え、県の事業に申し込み、取組を開始した。

主な取組と工夫点

理念を整え、ビジョンを見える化・共有

heiwa_02.jpg社内全体の一体感を生み、さらに業界の常識への諦めを払拭するために、まずビジョンの見える化に着手。創業以来の経営理念、さらに行動指針としていたインテグリティー(誠実性)基準を整理し、「ミッション・ビジョン・バリュー」として再構成を行った。これにより「200年企業」を目指す会社のビジョンや、ワークライフバランスを含めた従業員のあるべき姿を社内全体で共有。改革に取り組む基礎となる「自社」の風土・文化を明確に提示した。

「見て覚える」から「組織で育成」への変革

heiwa_03.jpg職人集団の強みは技術力の高さだが、それぞれが現場経験を積み重ねるスタイルが定着していたため、技術の伝承や若手の育成には関心が低いことが課題になっていた。そこで課題解決と高齢社員の新たなやりがい・生きがいをつくるため、ベテラン技術者をマイスターとして任命する「マイスター制度」を導入。新任者だけではなく中堅も参加する定例研修会を開き、工程・安全管理などの実務面だけではなく、行っている業務が全体のどの位置にあるのかを具体的に示すなど、従業員が仕事の内容をより深く理解し、担当したことがない分野も把握できるようにした。また、若手育成のため直属の上司をメンターに任命。現場でのフォローに加え、面談などの意見交換の場も設けた。新入社員がよりスムーズに業務に当たれるようになっただけではなく、チームとしての連帯感も生まれている。

「有休チケット」の配布など休みやすい環境を整備

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有給休暇の取得を促すため、1枚につき有給休暇が1日取得できる「有給休暇チケット」を配布。休暇という概念を〝権利〟として可視化したことで気軽に申請できるようになり、取得率は25.0%から44.1%と大幅にアップした。また、代休取得の際には、休日返上での工期優先、健康管理のための代休取得の両方を会社が評価する「Wありがとう手当」を支給。代休取得と休日出勤(残業扱い)における金銭的な格差を軽減することで、より休みやすい環境を整えた。

業界の常識を打ち破る「週休2日」のチャレンジ現場

heiwa_05.jpg建設業界では週休1日の現場が多い中で、業界の常識にとらわれず週休2日での完工を目指す「チャレンジ現場」を設定。施工スケジュールの作成段階から週休2日を念頭に、元請けとの綿密な計画を立てて試行している。勤務日数が減ってしまう協力業者(職人)に対しては、単価アップで調整するなどの工夫も行い、協力業者の理解の上で進めている。さらに工事の工程管理にタブレット端末を導入し、事務的な手間を減らして業務効率化を進めたほか、クラウド型勤務管理システムでタイムリーに勤務状況を把握し、突発的な追加工事でも容易に応援体制を取れる環境を整えるなど、さまざまな業務改善に取り組む。

取組の中で苦労したこと 〜従業員の「無理だろう」には、ビジョンから説明

heiwa_06.jpg改革を始めた当初は「この業界では無理だろう」という従業員の意識が根強く、社内会議でも「なぜ取り組むのか」という疑問が噴出していた。岡田氏は「会社が目指す将来像に向けて必要な取組であることを繰り返し説明し、少しずつ同じ方向を向く従業員を増やしていきました」と話す。

取組の成果 〜ビジョンに基づく仕組みづくりで所定外労働時間を半減

heiwa_07.jpg新たな教育制度などのソフト面に加え、労務管理システムなどハード面の導入も同時に行ったことで、月次の1人当たりの所定外労働時間を20.4時間から8.6時間に削減。また、継続的・多角的な改善を続けたことで、従業員にトップの「本気度」が伝わり、新たな提案への反応も「そんなことできるわけがない」から「やってみないとわからないから、やってみよう」という前向きな反応に変化したという。さらに、言葉としてだけではなく仕組みとして浸透したビジョンと、従業員間の交流の増加が「同じ釜の飯を食う仲間」としての一体感を醸成した。

課題や今後の目標 〜200年企業に向けた〝働きがい改革〟へ

heiwa_08.jpg働き方改革は、〝働きがい改革〟でもある、と岡田氏は言う。「休みが取りやすくなったからといって、仕事が楽しくなるわけではありません。働きがいを改革するためには、スキルアップを応援し、それを適切に評価し仕事のモチベーション向上につなげていく仕組みが必要です」と岡田氏。今後は資格取得祝い金や資格手当制度をさらに充実させ、仕事の難易度を正確に評価し、給与に直結する人事評価制度の見直しも考えている。「今回の働き方改革を契機に会社の指針を独自の文化として定着させ、インテグリティー(誠実さ)を高めていくことで、200年企業を目指していきたい」

従業員からの評価

heiwa_09.jpgJFE福山事業所
寺岡 学 所長

これまでは個々が仕事を行う場というイメージが強かったですが、マイスター制度などをきっかけに、経験のない仕事への理解が進み、担当者が不在でもスムーズに応援体制を構築できるようになりました。また「この後、ラーメンでも食べに行くか!」と年配者が若手に気軽に声を掛ける新たな関係性も生まれ、社内の雰囲気が個からチーム単位へと変わったと感じています。有休チケット制度では、所長である私自身も休みやすくなり、結果として従業員も気を使わずに有休を取れるようになりました。会社の目指すところ、各個人の目指すところが明確になり、目に見えるさまざまな制度が導入されたことで交流が生まれ働きやすい職場になったと思います。

取材日 2019年9月

平和建設株式会社様の具体的な取組過程や内容は、こちら(県内中小企業での働き方改革の身近なモデル事例)をご覧ください。