働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

形骸化した制度を見直し、長く働ける職場環境へ
残業時間削減や正社員登用、健康増進の支援も

株式会社シブヤ

  • 製造業
  • 廿日市市
  • 101〜300
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 非正規雇用の処遇改善
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒738-0021 広島県廿日市市木材港北5-86
URL http://www.shibuya-group.co.jp/
業務内容 建設機械・工具の製造販売
従業員数 118人(男性89人、女性29人)

(2019年5月時点)

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  • 終業後に音楽を流し、ノー残業デーを浸透
  • パートの正社員登用で、長く働ける会社に
  • 親睦行事の費用補助でコミュニケーション活性化
  • 従業員の健康増進にも配慮

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取り組んだ背景 ~形骸化した制度を見直し、人材確保

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建築現場で使われるダイヤモンド刃物のせん孔機「ダイモドリル」など建設機械・工具を製造・販売。せん孔機の機械と刃物の双方を製造している国内唯一のメーカーだ。「良い環境で仕事をすることが、良い仕事につながる」という先代社長の方針で、1974年に国内でもいち早く週休2日制を導入するなど、もともと休みを取りやすい雰囲気はあったが、ノー残業デーや残業の事前申請などの制度に関しては、ほとんどの従業員が存在を知らないほど形骸化していたという。社長の渋谷憲和氏は「商工会議所で働き方改革認定事業を知り、制度を見直してきちんと機能するようにしようと取組を始めました。どちらかといえば地味で学生に就職先として選ばれづらい業界のため、働きやすい環境をつくり、広めることで採用力を高めるとともに、今いる従業員にとっても長く勤められる会社にしたいという思いもありました」。取組に先駆けて2018年9月に実施した従業員アンケートを基に、人事考課制度の見直しなどを含む2カ年の「働き方改革行動計画」を策定。19年3月に社長名で通達を出し、従業員に意識改革や生産性向上への協力を求めた。総務課が中心になり、一層働きやすい環境づくりを進めた。

主な取組と工夫点

音楽を流し、ノー残業デーを浸透

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毎週水曜日のノー残業デーは10年以上前に設けたが、1度通達を出しただけで運用が徹底されず、形骸化していた。そこで、確実な運用に向け、18年10月より、終業から20分後の17時半に退社を促す音楽を流し、定時で帰りやすい雰囲気づくりに取り組むことにした。今では、繁忙期を除きほとんどの従業員が退社するように。「通達だけではなく、音楽を流したことで会社の本気度が伝わったのでは」と総務課長の上田武史氏。従業員からは「子どもを迎えに行けて助かる」と好評だという。「私も毎週水曜日のノー残業デーに体を動かしリフレッシュしています」と上田氏。また、1カ月ごとに総務課が従業員全員の残業時間を集計し、残業の多い従業員の上司に通知。上司は現場内で業務の振り分けを行うなど、残業時間削減に努めている。

正社員登用・育休制度を充実、長く働ける会社に

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3~5人の枠に対して1人しか採れない年があるほど採用環境が厳しさを増す中、今いる従業員に長く勤めてもらえる環境づくりに力を入れる。従業員が能力を発揮できる公正な待遇の実現を目指す中で、パート従業員を対象にアンケートを実施して、正社員登用の希望があるかを尋ねた。18年10月、正社員になりたいと答えた女性パート従業員2人を正社員に転換。上田氏は「以前は、『パートだから』と自分の意見を押し殺して伝言役に徹していたようですが、今では自らのアイデアを生かして複数部署の意見をうまくとりまとめ、生産管理の部門で活躍してくれています」と話す。
パート含め全従業員を対象とした「育休復帰支援プラン」を4~5年前に始めた。産・育休前後の面談に加え、育休中には月1回の社内報の送付や電話・メールで会社との接点をつくり、復帰後は短時間勤務に対応。これまでに2人の活用実績があり、「休みやすかったし、復帰しやすかった」との声があった。
また、若手従業員から要望の多かった処遇改善を実現するため、19年から人事考課制度を見直した。従来の上司による評価に加え、自己評価も実施。その結果、若手と上司の間の認識の開きが明らかになり、今後、指導方法の見直しや管理職の研修に生かしていくそうだ。

部単位の親睦行事へ補助、コミュニケーション活性化

19年1月から部単位の親睦を図るための行事の費用補助を始めた。パートを含む85%以上の部員が出席すれば1人あたり5000円を補助。従業員同士のコミュニケーションを深めることでメンタル面の不調にいち早く気付き、離職を防ぐ効果も期待する。活用実績は多く、従業員からは「お互いのプライベートも知れてコミュニケーションが取りやすくなっている」との声が出ているという。
7月からは各部門のトップ6人が集まり、月1回の美化委員会を開催し、10月に全従業員が参加する清掃活動を初めて実施した。普段関わりの無い部門の従業員と関わることで、部署間の溝の解消を図る。今後も定期的に行う方針だ。

従業員の健康増進の取組も

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従業員の平均年齢が47.5歳と高いこともあり、健康増進への取組も加速する。健康診断の受診について何度も周知・徹底することで、受診義務がない従業員も含めて受診率100%を2年連続で達成。また、受動喫煙を防止するため、従業員出入り口の喫煙所を廃止したほか、19年4月に更衣室に体脂肪計、8月に特保飲料を扱う「健康応援販売機」を食堂に置いた。「以前より健康に気を使うようになった」との声が従業員から出ている。

管理職のスケジュールを従業員に公開

18年から管理職、19年から社長の会議や外出予定をスケジュール管理ソフトに反映。従業員全員が閲覧できるようにし、上司に相談したい時などにタイミングを計りやすくなった。また、19年から各営業所で異なる見積書や製造マニュアルなどの統一を進めている。異動してもスムーズに業務が行えるようにし、生産性向上につなげる。

取組の中で苦労したこと ~改革の必要性を一人一人に丁寧に説明

全体として休暇取得率は高い一方で、「自分が休めば迷惑がかかる」「理由無く休むことに抵抗がある」と休まない従業員もいた。「社内報で働き方改革の必要性を伝えたほか、上司や総務課員が一人一人に丁寧に説明することで次第に理解を得られ、休暇の取得が進んでいます」と上田氏。

取組の成果 ~従業員からの相談件数が2倍以上に

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取組を始めてから、有休や残業などについての総務課への相談件数が2倍以上に増加。上田氏は「社内で働き方改革がよく話題にのぼり、以前は胸にしまっていたようなことも相談しやすい環境になりつつあります。18年2月から1年間の平均有休取得日数7.8日と順調に取得されています」と話す。ノー残業デーなど労働時間削減の取組を通じ、「朝など業務に集中できる時間帯を有効活用する意識が高まるなど、改善できる点はないか常に意識するようになった」という声もあり、業務効率改善につながっている。

課題や今後の目標 ~生産体制と従業員の休暇取得のバランスを維持

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工数不足による欠品など生産に影響を出さないよう、今後は生産管理と休暇のバランスがとれる体制作りが課題という。工場従業員の休暇予定を生産管理部門で共有して調整を図るほか、19年始めに各所属長によるプロジェクトチームをつくり、具体的な対策を検討している。渋谷氏は「競争力を維持し成長し続けるためには、付加価値の高い商品やサービスの創出と多様な人材が活躍できる組織風土への変革が不可欠。これからも小さな改善を一つ一つ積み重ねていく」と語る。

従業員からの評価

総務課
吉川 紗希 さん

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もともと休みやすい社風でしたが、働き方改革を始めてからは毎月の課内打ち合わせで「有休とってる?」と上司から声かけがあり、以前にも増して休みをとりやすくなりました。有給休暇で旅行などに行き、リフレッシュできています。

取材日 2019年10月