働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

新時代の経営ビジョンの要は働き方改革にあり
従業員の意識向上で生産効率を大幅アップ

株式会社テック

  • 製造業
  • 竹原市
  • 31〜100
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒725-0002 広島県竹原市西野町195-1
URL http://www.tec.bz/index.html
業務内容 光学フィルムの加工・検査
従業員数 61人(男性38人、女性23人) 

(2019年10月時点)

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  • 働き方改革は経営改革と同義
  • まずは管理層の意識改革から
  • 従業員の声を分析、改善効果をフィードバック
  • 生産性向上のためにモチベーション育成

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取り組んだ背景 ~新卒採用ゼロからの発想転換

tec_01.jpg竹原市に本社を置き、スマートフォンなどの液晶モニターやタッチパネルに使われる光学フィルムの生産加工・検査を手掛ける。時代の最先端を行くプロダクトを造っているが、ここ数年は売り手市場のあおりを受け、新卒者採用の説明会への参加者が激減し、採用者数はゼロに。また競合の進出など、同社を取り巻く外部環境は大きく変化している。さらには、時代の変遷とともに従来のトップダウン方式では従業員のモチベーションは上がらず、一層の生産性向上は難しい。その結果がひいては企業の存続にも影響しかねないと危機感を覚えていたと、取締役の松下秀美氏。「弊社の従業員は真面目で一生懸命働いてくれます。今働いてくれている彼らにとって働きやすい環境を整えることから始めようと考えました」

主な取組と工夫点

経営ビジョンとして働き方改革を推進

新入社員を確保できない中で、現在の会社の土台である従業員が働く環境を見直し、業務の効率化を推進していくことが、最終的に生産性を高めるベストな方法だと考えた松下氏。また、自身が年齢を重ねたことで介護の問題などを実感し、残業が常態化した働き方が時代にマッチしないことも痛感。企業が今後も発展し続けるためには働き方改革が重要な経営戦略であると確信し、就業規則などの制度の見える化と、従業員の声を集めるためのアンケートから取組を着手した。

意識改革は管理層からスタート

tec_02.jpg当初は各部署からのメンバーを集めた推進委員会を立ち上げようと考えたが、その必要性が社内に浸透していなかったために一時中断。まずは経営層、管理層の意識改革が重要だと認識したという松下氏。「働き方改革」という言葉を全面に押し出さずに制度や業務の見える化などコツコツと活動し、自社の将来への危機感を伝え続け、経営層が働き方改革への意識・姿勢を整えたところで、経営層・管理層混合による実行力のある推進体制を整えた。同時に、外部講師を招く研修やセミナーをまずは管理層向けに実施することで、働き方改革は会社全体で行うものだという意識を浸透させていった。現在は管理層のマネジメント研修を行っているが、今後は従業員向けのセミナーを実施するなど、段階を追って意識改革を進めようと考えている。

従業員の声をもとに業務改善

同社の従業員は真面目に業務を遂行する一方で、自ら進んで意見したり提案したりすることに慣れていなかったという。そのため、アンケートとヒアリングを行い従業員の声を収集することに。アンケートでは経営層・管理層・従業員の3つに分け、認識の違いについても現状分析を行い、ヒアリングでは長時間労働者、若手、女性、中間管理層の4つのカテゴリーに分けることで課題別に直接意見を収集した。その後、出てきた意見をもとに業務改善を実施。内容を工程ごとに分け、表示管理などすぐに改善可能なものと時間がかかるものへと仕分けをした。最終的には意見を受けて実現したもの、今後対応していくものなど、朝礼の時間を利用して直接かつ具体的に従業員へフィードバックを行い、会社全体での改革が進んでいることを示すようにした。

生産性向上のためにモチベーション育成

tec_03.jpg多品種少量生産の受注増加に伴い多能工の養成は必須だが、特に専門性の高い検査業務に当たる従業員は知識のある資格者であるため、多能工化自体は難しいことではなかったという。しかし、さらに生産性を上げるためには従業員一人一人の意識の向上が必要だと考えた。そこで製造中のプロダクトが実際にどのような製品に使われているのかを現物を使って確認し、従事している作業に対し、その背景や受注状況の説明を受ける機会をつくり、作業の意義の理解を深めることでさらなるモチベーションの向上につなげた。
また、育児休業の取得率は100%を達成。その後復職し、看護休暇などを上手に利用しながら働き続ける女性従業員も多いことから、女性にとって安心して働くことのできる環境もモチベーションの向上につながっている。

取組の中で苦労したこと ~働き方改革の推進までには助走期間も

2017年に県の社内推進人材養成セミナーに参加し、「こんなに改善できることがあるんだとワクワクしました」と松下氏。しかし社内が繁忙期であったこと、それまで働き方改革についての意識が低かったこともあり、前面に打ち出して進めるまでにはしばらくの助走期間があったという。また、副業を解禁したが利用実績はゼロ、と制度を設けるだけでは利用は進まないことも認識したという。副業を含め各制度については運用ルールも見直しながら「人生を豊かにするための制度だから、うまく活用してほしいと伝えられるよう、かじを切っていこうと思います」と話した。

取組の成果 ~残業はほぼゼロに、業績にも好影響

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業務改善が進み、主力製品の転換で生産が落ち着いたことにより、総実労働時間が2017年の月平均190時間から2019年には月平均173時間と大幅減、残業時間はほとんどゼロに。一方、個人での検査数量の実績が倍増するなど生産性が向上し、業績向上にもつながる成果が次々と出ている。現在のステージでは管理者の意識改革に焦点を当てているが、従業員同士で感謝の気持ちを伝える「サンキューカード」を実施し、朝礼などで改善・改革についてこまめに情報共有した結果、自発的な改善提案が増えるなど、従業員一人一人の意識が変わってきたという。

課題や今後の目標 ~焦らずじっくり改革推進、ビジョンの浸透へ

tec_05.jpg「すぐに結果をと思っていた時期もありましたが、今は焦らずじっくりと改革を進めています。働き方の観点からも、納得が行くまで経営ビジョンを考えていくつもりです」と松下氏。
また、アンケートで多く声が上がっていた人事評価制度についても「現在、技能評価は行っており、一部の課ではバッジの色で習熟度を示す取組をしていますが、個人評価となると技能以外の部分も組み込む必要があるなど課題もあります。人材育成の観点と合わせながら、4年計画でじっくりと構築していきます」

従業員からの評価

製造部第一製造課
小堺 久子 課長

tec_06.jpgもともと女性が多いこともあり育児休業は取りやすかったことに加え、復帰後も看護休暇など気兼ね無く休める体制が整ったことで、独身の女子従業員も「結婚、出産しても続けられるから安心しています」と言っているほど。私は中間管理職の立場ですが、働き方改革を進めると初めて聞いたときには、一方的に経営者が行うものだと捉えていました。しかしセミナーを受け、現在は従業員も「現場から改革が進めることができるんだ」という思いが浸透してきたところです。

取材日 2019年10月