働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

現場によりそい働きやすさ整備
多様な人材が集い活躍する会社へ

株式会社サンエス

  • 製造業
  • 福山市
  • 301以上
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒720-2124 広島県福山市神辺町川南741-1
URL https://www.sun-s.jp/
業務内容 ユニホームの企画・製造・販売、電子部品・機器の設計・開発・製造・販売
従業員数 474人(男性397人、女性77人)

(2019年11月時点)

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  • 時間単位有休、短時間勤務の拡充で子育て世代も働きやすい環境づくり
  • 奨学金補助などの経済的なサポート
  • 従業員の心と身体の健康に寄り添う
  • オリジナル教材で人材育成を充実

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取り組んだ背景 ~全従業員の活躍を視野に本格的な取組開始

sanesu_01.jpg福山市に本社を構え、ユニホームの企画・製造・販売や電子機器・制御機器の設計開発を行う。1932年創業の老舗として、戦前から高度成長期にかけて休日返上で働く時代を経験してきた。代表取締役社長の佐藤卓己氏は「働くことは暮らしを成立させるための手段でもあり、より良い暮らしのためにどう働くのかは、時代に合わせて変わっていくもの。働きやすい環境をつくるのは、会社の使命だと考えています」と語る。以前から職場改善の取組を続けてきたが、会社の成長には、従業員の成長やだれもが働きやすい環境整備が必要だと考え、2019年に人事部内に「働き方改革推進委員会」を発足し、次長の矢次伸一郎氏と係長の今井奈津美氏の2人を中心に、全社一体でのさらなる改革に乗り出した。

主な取組と工夫点

時間単位の有休など子育て世代が働きやすい環境づくり

sanesu_02.jpgそれまで全日または半日から選択する有給休暇制度を、子育て世代の女性従業員からの声を反映させ、時間単位での取得ができるように改めた。時間単位で休むことができれば、子どもの通院に付き添った後での出勤や、勤務の合間に数時間だけ抜けて子どもの送迎を行い、また勤務に戻るといった、フレキシブルな勤務が可能になる。矢次氏は「導入してみると、女性の部下が多い私にとってもありがたい制度でした。用事を終えた後で再び勤務に戻り仕事を続けてくれるのは、業務への影響も少なく助かっています」と話す。また、勤務時間を2時間短縮できる育児短時間勤務制度も導入し、法定範囲を超えて適用期間を小学校卒業までに拡充。これまで女性従業員が少なかった電子部門など技術職にも女性を積極的に雇用しており、子育て世代が働きやすい環境づくりによって、女性従業員の活躍の場を広げることにつながると期待しているという。

奨学金補助と医療費保障で経済的なサポート

勤続10年以上の従業員を対象に、子どもの大学進学時などに利用できる返済不要の「従業員子女奨学金制度」を30年以上にわたって継続。在学期間中、条件に応じて月額5000円または1万円を支給し、2019年度は31人が利用した。18歳の子どもを持つ従業員の給与明細配布に併せて制度の周知徹底を図っている。
また、長く働き続ける従業員が40代でがんに罹患し、高額な医療費が必要になったことがあり、同社は福利厚生制度の中で高額医療保障ができないか以前から模索していた。19年夏に、従業員の入院とがんでの通院時に医療費を保障する保険に、会社として加入。従業員個人からの保険料を徴収しないため、既に利用した従業員からは「予想外のことで助かった」と、感謝の声が上がっている。帝王切開手術にも利用でき、中高年層の従業員だけではなく結婚や出産を控えた若い世代にも好評という。

きめ細かなメンタルヘルスケアで生産性を向上

sanesu_03.jpgストレスの多い現代を生き抜く社会人にとって、精神面のバランスを保つことが重要だが、「残念ながらメンタルバランスを崩してしまう従業員もいます」と今井氏。心の不調は健康面に、そして作業効率に影響する。そこで従業員全員のメンタルヘルス向上のため、今井氏は自ら産業カウンセラーの資格を取得。さらにキャリアコンサルタントの資格も取得し、専門家として該当の従業員との個人面談を定期的に行っている。また、大きく生活環境が変わることになる新入社員とも定期的に個人面談を行うことで、離職を未然に防ぐよう配慮している。社内報では「メンタルヘルスの扉」という連載を掲載し、社内でカウンセリングが受けられることを周知している。

オリジナル通信教育による人材育成

sanesu_04.jpg当初は人事部が行っていたが、本格的な従業員教育を目指し、教育部門を独立させた。同社の業務に合わせて産業能率大学と共同制作したオリジナル教材で学ぶ。年1回だった開講を従業員の声に応えて年2回に増やし、従業員の自己啓発を支援している。なお、社内で次の職位に上がるためには該当課程を修了する必要があり、必須科目を修了すると講座費の半額を会社が補助する。また新入社員には社内で研修を行うが、専門知識の取得に向け、勤務しながら職業能力開発大学校(ポリテクカレッジ)に通う選択肢も用意している。

取組の中で苦労したこと ~昔ながらの風土が残り、取組の浸透に苦労

「働き方改革」という名称が一般化する前から、「職場改善」をテーマに従業員が働きやすい環境づくりに注力してきたが、昔なじみの風土を一度に変えるのは難しかったという。例えば、「ノー残業デー」は数年前に導入していたが、当初はひとりでも残業している人がいると皆が会社に残るなど、古くからの慣習が強く残っていた。3年前に勤怠管理システムを導入し、従業員の勤務体制を視覚化したこと、さらに会社全体で体系的にさまざまな働き方改革に取り組んでいることを従業員に周知し、会社の本気度を示したことで次第に取組への意識が変わっていったという。現在は、人事部が「働き方改革推進委員会」を定期的に開き、従業員からの要望を集積・分析することで、より働きやすい環境となるように提案を重ねている。

取組の成果 ~従業員からの反応増、自主性の醸成も

sanesu_05.jpgさまざまな取組が奏功し、有給休暇の取得日数は2016年度の9.8日から、17年度に10.1日、18年度は11日と着々と増えている。また働き方改革に関する取組や制度を社内報や社内イントラネットなどを通して従業員にしっかりと周知した結果、最近では「ちょっと話を聞いてもらえますか?」と、従業員から面談を希望されるなど、反応が変わってきたという。また、ノー残業デーの徹底を機に、効率的な働き方を自ら考え実践するなど自主性が生まれてきているという。

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課題や今後の目標 ~多様な人材が集い、充実して働ける会社へ

sanesu_07.jpg働き方の改善に関して「もっとできることがあるはず」と、何度も口にする矢次氏と今井氏。これまでの改革ではトップの理解や周囲の協力もあり手応えを感じていたが、男性の育児休業取得がまだゼロであるのが気掛かりだという。「働きやすさは整ってきたので、これからはそれぞれの働きがいを考えていく時期」と今井氏。今後は会社全体の展開に見合った改革をさらに進め、女性技術職の採用や女性管理職の登用も推進していくという。今井氏は「『良い品を創意と熱意と人の和で』が弊社の社訓。単に女性が増えればよいということではなく、性別を問わずさまざまな能力を持つ人が集い働ける。そんな会社へと、さらに歩を進めていきます」と、意気込む。

従業員からの評価

電子部門 エレクトロニクス事業本部 制御技術部
松浦 史奈 さん

sanesu_08.jpg技術職として勤務しています。就職活動中から産休や育児休業について調べて入社したのですが、実際に育休から復帰した女性がたくさんいますので、安心して働くことができています。ノー残業デーには上司から「早く帰るぞ!」と、声掛けがあり、とてもありがたいです。定時で帰らなくてはいけないと心に留めながら働くので、作業効率が上がっていると感じています。時間単位の有休も取れるようになったので、病院や役所など休日では行けないところにも出かけられるのは本当に助かっています。

取材日 2019年10月