働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

「自分ごと化」で改革推進の機運を醸成
推進委員が主導、働きやすくやりがいある組織へ

川中醤油株式会社

  • 製造業
  • 広島市
  • 31〜100
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒731-3165 広島県広島市安佐南区伴中央4-1-6
URL http://kawanaka-shouyu.co.jp/index.html
業務内容 しょうゆ醸造、食品の加工販売
従業員数 43人(男性20人、女性23人)

(2019年10月時点)

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  • スローガンで働き方改革を「自分ごと化」
  • 離職防止に向け、メンター制度導入
  • 残業時間減へ、事前申請制やノー残業デーを徹底
  • 業務の標準化で仕事を任せ合える環境に

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取り組んだ背景 〜従業員間の連携強め、働きやすくやりがいのある職場へ

“kawanaka_01.jpg"1906年に創業。看板商品「芳醇天然かけ醤油」をはじめ、しょうゆやしょうゆ加工品を製造・販売する。製造、総務、営業、店舗から別事業のLPガス販売まで、各部署が異なる動きをしているため、普段コミュニケーションを取る機会は多くない。職人気質の従業員も多く、それぞれが自分のペース・裁量で仕事をこなす風土があった。代表取締役社長の川中康三氏は「18年前に私が入社した時から従業員同士の連携をもっと強め、生産性を高めたいと考えていました。また、入社後1~2年で辞める従業員が多く、働きやすくやりがいのある職場をつくる必要性も感じていました。しかし、当初は何をすればよいのかが分かりませんでした」と話す。そんな折、2017年に県の社内推進人材養成セミナーに参加し、働き方改革に取り組むことを決めた。

主な取組と工夫点

推進委員会を設置、会議の効率化も

kawanaka_02.jpg取組に際して2018年3月、各部署を代表する計6人で構成する「働き方改革推進委員会」を立ち上げた。当初、前向きに取り組む委員会メンバーとそれ以外の従業員との間に温度差があった。そこで、従業員全員に働き方改革を「自分ごと化」してもらうため、年間と3カ月ごとのスローガンを制定。掲示板に張り出し、委員会メンバーが朝礼時に自部署でアナウンスを行った。委員会のまとめ役を務める通販課の高田美由紀氏は「当初は他人ごとのように感じている従業員がほとんどでしたが、次第に興味を持ち、『今はどんなことをしているの?』と声を掛けてもらえることが増えました」と手応えを感じている。
2019年7~9月は「会議時間も大切な仕事時間、時間厳守を第一に」をスローガンに、会議事項を前日までに配布、開始3分前に着席、開始時に終了時刻を確認するという3つのルールを周知。議長または進行者にアンケートを行い、各ルールの達成率などを集めて毎月集計し、フィードバック。議題からの脱線が減り、有意義な会議につながったという。高田氏は「すぐに効果が出ましたが、次第に達成率が下がったため、取組を継続しています。年間スローガン『仕事ヨシ!生活ヨシ!心体ヨシ!』の実現を目指します」と意気込む。

メンター制度で離職防止

“kawanaka_03.jpg"2018年4月の新入社員入社時からメンター制度を開始。同じ部署の年齢が近い先輩をメンターに任じ、仕事やプライベートを含めて困ったことを相談できる体制を整えた。また、総務部長の上田俊彦氏と新入社員の交換日記も始め、コミュニケーションのきっかけにしている。2016年4月~2018年3月の間に入社した第二新卒入社の4人全員が2年以内に退職したが、2018年4月に入社した新入社員2人は現在も活躍中だ。
社長や上司とのコミュニケーションの場として、パートを含め全従業員を対象に部門長が年4回、社長が年2回の面談を実施。また、2019年4月から新しい人事評価「自己評価制度」を始めた。以前は上司や社長による評価だけだったが、今後は自己評価も踏まえ賞与や昇級に反映する考えだ。川中氏は「経営者にも自分の意見を言いやすく、風通しがよい職場にしたい」と話す。

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事前申請やノー残業デーで残業削減、復職支援も

“kawanaka_05.jpg"残業時間の削減に向け、2018年4月からノー残業デーを設定、2019年1月から残業を事前申請制にした。「本当に必要な残業かを精査する習慣が付き、残業削減につながっています」と高田氏。ノー残業デーの水曜午後6時までに退社できなかった従業員は代替日を申請して全員が実施している。同年9月には営業職のみなし残業制を撤廃した。さらに、従来の紙のタイムカードから、ICカードによる勤怠管理に変更。勤務実態の把握が容易になり、総務部門の事務負担を軽減できた。また、残業が多いまたは有給休暇取得の少ない従業員をリスト化し、毎月部門長に報告。部門長は他の従業員に業務を振るなど調整を行っている。
疾病治療で休職する従業員が出たことをきっかけに、治療と仕事の両立を支援する制度の確立も進める。2019年8月にそれまで運用してきた通院や子育ての休暇制度や復職時の短時間勤務などを明文化し、就業規則を一部改訂した。また同時期に、休職時の手続きや公的相談窓口などをまとめた「職場復帰支援マニュアル」を策定。配偶者が出産した男性従業員に育児休暇利用も勧め、過去3年で対象者2人が共に取得した。

業務の標準化で助け合い、休みやすい会社に

kawanaka_06.jpg職人気質の強い風土で、従業員同士で仕事をサポートし合うことはあまりなく、休みを取りづらい雰囲気があった。そこで、病気など緊急時でも互いが仕事を支え合えるよう、業務の標準化を進めている。例えば、5年前ほどから比較的時間の取りやすい土曜日の出勤当番時に、通販、営業、経理など異なる部署の業務を相互に教え合っている。今では請求業務など権限が必要なもの以外は皆が一定レベルまでこなせるようになった。事務以外の職種でもマニュアルの整備・更新を進めている。

取組の中で苦労したこと 〜従来のやり方からの変更に反発

改革を進める中で、「残業があっても有休が取れなくても構わないから、自分の裁量で仕事をさせてほしい」と考える人が少なくなかったという。「何かを変える時に批判的な意見が出るのは当たり前。自分ごと化してもらうために分かりやすいスローガンを作り、従業員一人一人に丁寧に説明することで、少しずつ周知と理解が進みました」と上田氏。

取組の成果 〜残業削減や有休取得に手応え

“kawanaka_07.jpg"残業の事前申請やノー残業デーの徹底、会議のルール決めなどで、各従業員が残業してまでやるべき業務か、効率化できるところはないかを常に意識するようになったという。2019年1~10月までの1カ月の平均労働時間は172時間、年次有休取得日数は7・4日。高田氏は「残業時間や有休取得日数などは確実に改善していると思います」

課題や今後の目標 〜改革は途上、継続した改善を推進

kawanaka_08.jpg2020年1~3月は「仕事の優先順位を考えよう!」をスローガンに、業務内容の棚卸しを進め、業務効率に対しての意識をさらに高める。また、部門長と相談の上、「残業時間月15時間以内」など具体的な数値目標を定めて取り組むことを検討している。川中氏は「働き方改革実践企業の認定を受けましたが、これで終わりではありません。業務の標準化をはじめ、改善・改良を日々続けていく」と先を見据える。

従業員からの評価

通販課
高田 美由紀 主任

“kawanaka_09.jpg"小学生の子どもを育てながら働いています。以前は学校行事などで休むときに周りの人に仕事を頼む必要があり、すんなりとOKしてもらえないときも。改革を進める中で、皆がお互いさまという意識を持ってサポートし合う環境が整い、理由を問わず休みを取りやすくなりました。

取材日 2020年1月