働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

〝従業員満足度〟に重点を置いた改革推進
若手プロジェクト、昼食会の意見を改善に生かす

イームル工業株式会社

  • 製造業
  • 東広島市
  • 101〜300
  • 推進体制(経営者)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
認定マーク
所在地 〒739-0151 広島県東広島市八本松町原10852-1
URL https://www.eaml.co.jp/
業務内容 水力発電プラント製造・メンテナンス
従業員数 108人(男性94人、女性14人) 

(2019年6月時点)

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  • 主体性育む、若手プロジェクトチームを発足
  • 業務のマニュアル化、スケジュールの見える化で有休取得促進
  • 形骸化したノー残業デーをリニューアル
  • 社長との昼食会で従業員の意見を吸い上げる

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取り組んだ背景 ~社長が主導し、従業員満足度の向上に重点

eaml_01.jpg東広島市に本社を置き、水力発電のプラント製造・保守管理を手掛ける。以前は、雨が多く水力発電のメンテナンスができない4~9月は閑散期で、雨の少ない10月~翌年3月に業務が集中し、1年間の繁閑のメリハリがある状態だった。それが2012年7月に始まった「再生可能エネルギー固定価格買取制度」による水力業界の活況に伴い、年間を通じて繁忙期が続き、終わりの見えない忙しさに従業員の疲れはピークの状態だった。また職人気質が根強い社風があり、先輩従業員による厳しい指導についていけない若手の離職が続いていた。
そこで、県の働き方改革推進人材養成セミナーに参加した。その中で行った従業員意識調査の結果、特に役員や管理職への不満が多いことが分かった。代表取締役社長の山口克昌氏は「このまま従業員の不満が積もれば会社の存続さえ危ういと感じました。仕事をやらされている雰囲気が社内にまん延しており、当社の働き方改革は従業員満足度(ES)の向上に重点を置くことにしました」と話す。

主な取組と工夫点

若手プロジェクトチーム発足で主体性育みES向上へ

eaml_02.jpg従業員の意見を積極的に改善に生かすために、若手従業員を主体とする各プロジェクトチームを結成。会社パンフレットの制作や展示会の企画から、会社の設備投資計画(将来のあるべき姿)の立案まで、若手らに主体的に考える機会を与えた。社長と一緒に泊まり込みで合宿するなど、今までにない催しでコミュニケーションの場を設けたところ、さまざまな意見が出始めた。
また、ES向上のため作業環境の整備を開始。夏場の製造現場の暑さは半端ではないため、その対策でファン付き作業服を貸与したほか、無料の飲料水を入れた冷蔵庫を設置。デスクワーク担当者にはポロシャツを支給するなど小さなことから見直しを徹底した。

声掛け、仕事の見える化で有休取得を促進

eaml_03.jpg年初に所属長が部下に声をかけ、5日間の有給休暇の取得を促している。4~9月の上期を取得促進期間とし全社で取得しやすい雰囲気をつくったほか、会社一斉の取得日も設定。それでも取得日数が少ない従業員を洗い出し、経営会議で報告、取得を徹底させた。また、日々のスケジュール管理はグループウエアを活用し、出張や会議など各従業員の動きを見える化。休んだとしても誰かがフォローできる体制を整えながら、一層休みやすい環境整備を進めている。ベテラン技術者が仕切ってきた業務についてマニュアル化することで、従業員の誰もが分かる業務へと平準化も進める。また、各部内で残業時間中の管理をローテーションにし、管理者も早帰りできる体制に整えている。

形骸化したノー残業デーをリニューアル

かねてから水曜日をノー残業デーと決めていたが、実際は形骸化し、所属長が残業すると部下も残り、部下が全員帰るまでは所属長も残る、という古い習慣が残っていた。そこで終業時間に終礼を行い、残業は所属長の事前の許可制に改めた。ノー残業デーを改めて宣言し、併せて管理職が早期退社を促す社内パトロールを始めた。こうした雰囲気づくりを進め、定時に帰宅する人が増えてきたという。

社長と共に意見を交わす昼食会

eaml_04.jpg山口氏は従業員との距離を縮める目的で、部署や年代を問わず8人程度で自由に語り合える「昼食会」を始めた。当初、社長を前に口を開く人は少なかったが、社長自らが聞き役に徹し談笑することで自然と打ち解け、従業員の思いが飛び交うようになったという。マッサージチェアや卓球台、ビリヤード台を設置したい、などの自由な意見が続出した。会社は駅から遠く、車通勤者が多いことから、仕事帰りに飲み会などでコミュニケーションを図るのは難しいため、社内にカフェを設けたいという提案があり、現在、本格的な検討段階に入っている。企画総務グループリーダーの岩崎純一氏は「これらの意見をくみ上げて、ぜひ実現させたいですね」と語る。

取組の中で苦労したこと ~5年の覚悟で臨む意識改革

eaml_05.jpg働き方改革を進める中で、他社の状況を知り、改めて自社の良さを実感することもあったという。年間休日は125日あり、給与水準や残業時間の実態などはいずれも他企業に比べて充実してる。特に、有休を最大60日まで積み立てできる傷病休暇制度は、他社では珍しい制度だが、当然のこととしか受け取られていなかった。企画総務グループ副リーダーの白濱なおみ氏は「これまで他の会社と自社を比べる機会が無く、会社の悪いところばかりに目が向き、会社の制度の充実ぶりを従業員に理解してもらえなかった」と語る。山口氏は「意識改革には少なくても5年はかかる」と覚悟を決め、昼食会などで粘り強く会社の状況や改革の意義を働きかけていくという。

取組の成果 ~全ての部署で有休取得率に成果

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2019年度は全部署で有給休暇の取得率が前年度に比べてアップした。開発グループの23㌽増をはじめ、企画総務と品質管理の各グループが20㌽増、一般的に有休消化が進みにくい営業部門でも16㌽増と成果が出るなど、会社全体で有休を取得する意識が高まり、社内の雰囲気も明るくなっているという。また、今年度4月には新卒者5人を採用し、社内に新たな風が吹く。加えて来年度の新入社員から初任給を見直すことで、現在の従業員へのベースアップにもつながり、仕事への意欲が高まっているという。

課題や今後の目標 ~アンケートで効果検証、PDCAを回しながらさらなる改善へ

eaml_07.jpgさまざまな取組が成果につながっているが、従業員アンケートを継続することで効果検証を行い、PDCAを回していく方針だ。また今後、持病を抱えながら仕事ができる体制や、育児・介護をしながらでも安心して働ける制度に見直しを行う。採用活動は少しずつ上向いているが、決定的な人手不足の解消には至ってはいないため、初任給や独身寮制度も見直す計画だ。

従業員からの評価

営業部
山崎 祐輔 主任技師

eaml_08.jpg今まで従業員から会社に向けて意見を出すことはなく、必要性も感じていませんでした。ただ、今では何か希望はないかと聞いてもらえる。自ら働きやすくするために、何かを変えていこうとする雰囲気が出てきて、やりがいにつながっています。また情報発信を担うグループの責任者を任されました。これはテーマだけが与えられ、後は自分たちが責任を持ってプロジェクトを進めます。チーム内で活発な意見が出て、会社の魅力をどんどん社外に知ってもらおうという勢いが生まれていると実感しています。

取材日 2019年10月29日