働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

集中タイム導入で生産性を向上
半日有休制度で休みやすく、委員会で交流促進、意欲向上も

アパレルアイ株式会社

  • 製造業
  • 福山市
  • 1〜30
  • 推進体制(経営者)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒720-2124 広島県福山市神辺町川南1302-2
URL https://www.apparel-ai.com/
業務内容 女性用カジュアルパンツの企画・デザイン・販売
従業員数 27人(男性9人、女性18人)

(2020年1月時点)

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  • 就業時間を30分前倒しし、集中タイムも導入
  • 業務効率化を図り仕事を平準化
  • 半日有給休暇制度で有休取得を促進
  • 委員会活動で交流促進&業務改善

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取り組んだ背景 ~働きやすく能力を発揮しやすく、従業員満足度向上を目指して

apareruai_01.jpg1983年創業の女性カジュアルパンツ専門メーカー。備後地区で盛んな繊維産業の会社として国内生産を主体に、メーカーのOEM(相手先ブランドによる生産)のほか、テレビショッピングで販売する自社ブランドも展開する。創業当時から「従業員が満足して働いてくれることが顧客満足につながる」という社長の考えの下、働きやすく能力を発揮しやすい会社を目指して従業員満足度の向上に取り組んできたという。常務取締役・経営企画室室長の福永浩士氏は「時代に合わせて企業は変化しなければならない。近年の人手不足で、欲しい人材は大手に流れる状況の中、有能な人材を確保し、長く勤めてもらうことが会社にとって大切だと考え、取組を推進してきました」と話す。

主な取組と工夫点

集中タイム導入で生産性を向上

毎日午後1~3時を「集中タイム」とし、急ぎの要件以外は互いの声かけを禁じて仕事に集中するルールを導入した。「集中タイムで生産性を高めるほか、ちょっとした質問が相手の時間を奪っていることに気づき、何でもすぐ聞くのではなく少しでも自分で調べる、考える、というきっかけになれば」と福永氏。
また、労働時間削減の取組を本格化したのは、福永氏が入社した2014年。勤務時間は午前8時45分~午後5時45分だったが、従業員の大半が午前8時15分には出社していた。そこで勤務時間を30分前倒しし、合わせて終業時間も30分繰り上げた。これで帰宅時間が従来のままだと、定時を繰り上げた30分が残業時間にプラスされる状況になるため、仕事の早じまいを呼びかけた。地道な声かけにより社内全体に早帰りの意識が芽生え、全体の残業時間数が増える状況はなかったという。 さらに毎月第3水曜日は残業なしの「スマイルデー」に設定。こうした複数の取組で、労働時間の削減を少しずつ進めた。

業務効率化を図り仕事を平準化

apareruai_02.jpg同じ社内でも部門や繁忙期・閑散期、また能力によっても一人一人の業務量には偏りがある。そのため、従業員からの提案で随時見直しを行っている。例えば、従業員が1人退職した際には退職者を中心とした関連業務の業務内容を棚卸しして見直し、時には他部署も含めた業務分担を実施、担当業務量の平準化を進めている。

半日休の導入で有給休暇の取得促進

有給休暇は法改正を受け、2019年8月にパートを含む全従業員を対象に説明会を実施した。正社員においては「参観日などの子供の行事や家族の通院の付き添いなどで丸一日有休を消化するのはもったいない」との声があったことから、半日有給休暇制度を設けた。全社を挙げた休暇取得の取組のおかげで、休暇が取りやすい雰囲気が浸透していった。

委員会活動で組織横断の交流を促進

apareruai_03.jpg会社の規模が大きくなって、勤務場所が物流倉庫と本社の2カ所に分かれたこともあり、社内のコミュニケーション促進や日頃の業務の円滑化を目的に「ES(従業員満足)向上」「地域貢献のボランティア」「災害に備える危機管理」「社員の交流企画」「メディア化推進」の5つの委員会を設置した。パートを含む全従業員がいずれかの委員会に参加する。勤務場所が離れているため、普段の業務連絡はほぼ電話になるが、委員会で顔を合わせるようになったことでコミュニケーションが取りやすくなったという。また、ES向上委員会は年1回従業員アンケートを実施しており、そこで出された意見や要望が職場環境の改善に反映される。現場の声に基づいた改善が行われることで従業員の仕事への意欲向上にも役立っている。

取組の中で苦労したこと ~経営層の「働くほどもうかる」意識を変える

apareruai_04.jpg労働時間削減や休暇取得促進に取り組む中で、始めに必要だったのが経営層の意識を変えることだった。「作れば売れる時代に創業して業績を伸ばしてきた経営層は〝働くほどもうかる〟という思いがどうしても強かった」と福永氏。今、アパレル業界は過剰在庫状態かつ顧客の嗜好も多様化している中で、やるべきことが増えており、より魅力的な商品と効率向上が求められていることや、若い世代にとって隔週土曜出勤などは待遇で見劣りし、求人で有能な人材に敬遠される状況であることなどを説明し、新たな休暇制度の創設などへの理解も求めた。
また「集中タイム」については顧客の電話やアポイントを優先せざるをえない場合もあるため、時間設定など運用方法の改善を検討している。

取組の成果 ~有給休暇取得日数の増加と労働時間の削減

apareruai_05.jpg有給休暇平均取得日数は半日有給休暇を導入した2019年度は前年より2日増加した。「有給休暇を取るハードルが低くなった」や「半休制度で病院に行きやすくなって精神的にも楽になった」といった声がある。
また、取組を通して社内の残業削減への意識が高まったという。「労働時間が減っているので、納期までに仕事を仕上げるために、一人一人が効率アップを考えるようになりました」と福永氏。「家族と過ごす時間が増えたのはうれしい」や「休みのためと考えると、仕事を効率化し、早く終わらせようとモチベーションが上がる」などの声も挙がっているという。

課題や今後の目標 ~完全週休2日制、在宅ワークの実現へ

2020年1月からは、完全週休2日制に向け試験的な取組を始めた。業務・業績への影響を見ながら、近く完全導入を予定している。急な従業員の休みや退職などで現場が回らなくなるのを防ぐため、今後は業務のスリム化、1つの業務を複数人で担当する仕組みづくりに取り組むことで相互にサポートし合う体制を整えるという。また、育児や親の介護などの状況に備え、フレックスタイム制やITを利用した在宅ワークの導入など、従業員が長く働き続けられるよう柔軟な制度も整えていく予定だ。

従業員からの評価

営業部
海内 孝治 部長

apareruai_06.jpgこの業界に入って約20年、働き方はずいぶん変わりました。当初は、毎日夕方になると業務の手を止め、全員で倉庫へ下りて発送作業、発送作業が終わったら事務所に戻って自分の仕事を片づけて、という流れで終業時刻が遅くなることも結構ありました。時代が変わり、物流を別部門にして人数を増やすなど組織改革を実行し、さらに計画的に生産・発送できる取引先を増やすなどの営業努力もあって、早く退社できるようになりました。業界や社会の変化と、その機を逃さず改革に取り組んだことで労働時間を短縮できたと実感しています。

取材日 2020年1月