働き方改革事例

従業員の提案を職場の環境改善に生かす
取引先を巻き込んだ受注数の平準化で生産性向上

有限会社寿木工

  • 製造業
  • 東広島市
  • 31〜100
  • entrydatajireikaikaku2-01
  • entrydatajireikaikaku2-04
認定マーク
所在地 〒739-2404 広島県東広島市安芸津町大田白坂201
URL http://ktbk.jp/
業務内容 内装ドア・ドア枠・間仕切りなど住宅建材の製造販売
従業員数 43人(男性38人、女性5人)

(2020年9月時点)

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  • 従業員アンケートや面談で課題を洗い出し、職場環境を改善
  • 従業員の意見募る「改善提案制度」で働きやすい環境づくり
  • 取引先を巻き込んだ受注数の平準化で生産性向上
  • 就業規則などを見直し、ウェブで内容を共有

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取り組んだ背景 ~長時間労働の常態化で離職者が相次ぐ

ktbk_01.jpg木を使った電子ピアノ、スピーカーボックスの製造で1965年に創業。時代の変遷に合わせて事業を変え、現在は内装ドアやドア枠、 間仕切りなど木質建材の製造事業を主力とし、東広島市安芸津町に白坂(本社)、広瀬の2工場を置く。代表取締役の住岡和美氏は「地元高校生を中心に採用していましたが、以前からの長時間労働の常態化で年間2~3人の従業員が辞めてしまい、定着してもらうことが難しかった。長く働き続けられる職場環境の整備が急務と考え、働き方改革に取り組むことにしました」と話す。もともと「同町の雇用を支え、従業員や地域の人から愛される会社づくりをしたい」という思いを持っていた住岡氏。従業員に向けて取組を宣言し、トップダウンの形で改革に乗り出した。

主な取組と工夫点

従業員アンケートや面談で課題を洗い出し、職場環境を改善

ktbk_02.jpgまず、全従業員向けのアンケートを実施し、現状把握や課題分析から始めた。その結果、喫煙場所の移設や洋式トイレへの変更など職場環境改善への要望が出たほか、主任、課長など40代前後の中間層が仕事や家庭との両立にストレスを抱えていることが分かった。社外の意見も取り入れたいと、外部からコンサルタントを招き、女性、若手、子育て中など3~4グループに分けて面談を実施。アドバイスを受け、月1度の土曜出勤前の金曜にノー残業デーを設けた。また、製造業界全体で働き手不足が懸念される中、女性に活躍してもらいたいという狙いもあり、広瀬工場に女性トイレを新設。併設事務所の建て替えにも着手した。「まずはやってみよう」の精神で進めていった。そのほか、住岡氏と推進リーダーの平井辰典氏が、県の働き方改革企業内推進人材養成セミナーに参加。住岡氏は「業種によって残業時間など数値目標に濃淡がありましたが、各社のさまざまな取組を学ぶ有意義な機会となりました」と話す。

従業員の意見募る「改善提案制度」で働きやすい職場づくり

ktbk_03.jpg30年ほど前から5S活動に力を入れ、整理整頓・清潔を保ち、安全な職場環境の醸成につなげている。設備・在庫の保管場所、工具などの収納場所を定位置化することで、業務効率を高め、モラルの向上にもつながっている。そのほか、従業員の「考える習慣づくり」を目的に、安全、品質、効率、経費、環境などの項目で従業員の意見などを募る「改善提案制度」を取り入れている。住岡氏は、「『1分1秒1円』の積み重ねが残業を減らし、付加価値や生産性を高めます。例えば、工具などは右手側に置くなど、ささいな提案でも吸い上げ、提案1件当たり500円の報奨金を出しています。2019年は年間約630件の案が生まれ、従業員が主体となり、効率的で働きやすい環境づくりに意欲的に取り組んでいます」と話す。これまでに、作業指示書の簡素化など業務改善を実現したほか、工場内に自動搬送機を導入し、今まで人力で行っていた搬送作業を自動化することで、業務時間の短縮や従業員の負担軽減につなげている。

取引先を巻き込んだ受注数の平準化で生産性向上

ktbk_04.jpg受注数が月や日によりばらつきがあったことで、必要な労働力の見込みが立てにくく、残業や余分な人員配置につながっていたことから、取引先と交渉し、受注数を平準化した。これにより、毎日同量を造り、納めることができるようになり、安定した利益につながった。住岡氏は、「受注数平準化は、生産性を高める特効薬だと考えます。発注が安定するため、取引先にとっても、『ウィンウィン』の関係になる。取組の中で一番の恩恵かもしれません」と話す。

就業規則などを見直し、ウェブで内容を共有

ktbk_05.jpg就業規則、育児・介護休業規則などの見直しも進めている。2017年から育児休業や介護休業を拡充したほか、ハラスメント関連の項目を加えた。積極的な声かけを通じ、子どもの学校行事や家庭内イベントなどでの半日休みの取得も促している。そのほか、休業災害件数や品質ロス率、生産性の項目の目標数値を載せていた経営計画書に、「働き方改革の目標」として有休消化率(50%)や月の残業時間(20時間)、平均年収(500万円)を盛り込んだ。これらの文書は新型コロナ対策BCP(事業継続計画)などの内容とともに、企業向けチャットツールを使っていつでも内容を確認できるようにしている。

取組の中で苦労したこと ~ベースアップで従業員の理解を獲得

ktbk_06.jpg直近1年間で月190時間となっていた総労働時間をいかに削減できるかが課題で、残業時間を1日1時間以下にすることを目標に、発注の平準化や5S活動、改善提案制度など全従業員で地道な取組を積み重ねた。住岡氏は「残業の減少で給与が減り、モチベーションの低下や生活への不安が生まれることも考えられたため、19年4月に3%のベースアップを行った。従来とほぼ同等の平均年収となることをしっかりと伝えていき、少しずつ会社の姿勢を理解してもらえた」と話す。

取組の成果 ~残業時間がほぼ半減、定着にも成果

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業務改善などを進め、1人当たりの月平均残業時間は17年の45.9時間から、19年は27.9時間まで減った。有休消化率は17年53.4%から、19年67%に。年間2~3人いた離職者も1人ほどに減り、定着にも手応えを感じている。

課題や今後の目標 ~柔軟な働き方や自己研さんを支援する体制目指す

ktbk_08.jpg従業員間の連携強化やコミュニケーション活性化に向け、20年4月には社内イベントや各工場のニュースを載せる社内報の発行を始めた。今後も一層働きやすい環境づくりを目指し、様々な取組を検討している。 制度面では、始業や終業の時間を規定の中で自由に選べるフレックスタイムの導入や、育児・介護休暇の拡充などを行い、より柔軟な働き方を実現し、従業員が地域の人に「いい会社に勤めているね」と言われるような会社にしていきたいという。今後は、働き方改革によって生まれた時間を生産性の向上に生かしてもらえるよう、自己啓発やスキルアップなどの必要性をアドバイスする体制づくりも視野に入れる。

従業員からの評価

管理課(広瀬工場)
山下 真記子氏

ktbk_09.jpg19年8月に中途採用で入社し、ピッキング作業を担当しています。働き方改革に積極的に取り組んでいる会社で早く帰りやすい雰囲気があり、ほぼ毎日定時に退社できています。小学生の子どもが3人いるため、安心して子育てや家事ができ、助かります。参観日などに合わせて半日休みもとれ、製造業では珍しい祝日休みというのもありがたいですね。女性は少ないですが、働きやすい職場環境だと感じています。

取材日 2020年9月