働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

部署を越えた連携へ「働き方改革推進室」を設置
ICT活用や外勤・内勤の連携で業務効率化を実現

株式会社山陽測器

  • 卸売業・小売業
  • 広島市
  • 31〜100
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
認定マーク
所在地 〒733-0821
広島県広島市西区庚午北1-20-9
URL https://www.sanyou-sokki.co.jp
業務内容 測量機器、各種試験機、計測システムの総合商社
従業員数 31人(男性26人、女性5人)

(2020年9月時点)

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  • 残業事前申告制度導入やタイムカードのクラウド化で残業削減
  • スマホ導入や外勤・内勤の業務連携で効率化
  • 取引先に協力仰ぎ、業務を効率化

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取り組んだ背景 ~残業時間削減や有休取得促進の取組が形骸化

sanyousokki_01.jpg測量・計測機類の専門商社で、レンタル、修理も手掛ける。近年は建設現場のICT化に関する機器類が好調で、15年間連続増収を続ける。代表取締役の桐木博之氏は「30代後半から40代後半の従業員をけん引役に、とにかく前進しようと頑張り業績を上げてきた一方、彼らに仕事が集中し休みを取りにくい状況があった」と話す。働き方改革関連法が施行されるのに先駆け、2016年に誕生日などの記念日に休める「アニバーサリー休暇」、2017年には毎週水曜日の「ノー残業デー」を導入したが、思うように有給休暇取得や労働時間削減が進まず、桐木氏の声かけで2019年7月、県主催の働き方改革のセミナーに従業員数名と参加したことが取組見直しのきっかけとなった。「他社の具体的な取組事例を見て、単純に残業時間を減らすのではなく、会社のシステムから働きやすい環境、仕組みをつくっていくことが必要と気付きました。働き方改革は経営改革であり、それが企業存続につながるという思いでした」と桐木氏。改革を進めるうえで部署を超えた連携が必要と考え、10月に各部署のトップを集めた「働き方改革推進室」を発足した。

主な取組と工夫点

残業の「事前申告制」やタイムカードのクラウド化で残業削減に成功

sanyousokki_02.jpg残業削減の取組として2017年に既に「ノー残業デー」を導入していたが、「午後6時までに帰ろうという呼びかけだけでは、帰る人は帰るし、気にせずに働き続ける人は続ける、という状況でした」と推進室メンバーで業務部課長の田中泰彦氏。「働き方改革推進室」の会議の場において、「終業時間に終えるという意識が薄い」、「残業の終了時刻などをあらかじめ決めておく必要がある」などの意見が出たことから、上司に業務内容と終了時間を届け出る「残業事前申告制度」を2020年1月に導入した。取引先の協力も欠かせないと考え、「毎週水曜日、ノー残業デーを実施」の言葉を、全従業員のメール署名に記載して社外にも周知を進めた。

また、労働時間管理のためのタイムカードを、クラウド型の勤怠管理システムに変更。残業が一定時間を超えると、本人と管理職にメールが届く仕組みで、管理職は部下の勤務状況把握が容易になり、残業が多い部下がいる場合、声をかけたり、業務分担を見直すなど、現場の指導に生かしている。従業員本人にとっても残業増加に歯止めをかける役割を果たしている。

スマホ導入や外勤・内勤の業務連携で効率化

sanyousokki_03.jpg会社システムを見直す中で、業務で使う携帯電話をスマートフォンに変更。取引先を回る営業担当者が、パソコンのある会社に戻らなくても、出先からメーカーの発注サイトにアクセスできるなど業務の効率化が進んでいる。スマートフォンにはビジネス版の対話アプリを導入。田中氏は「『6時までに帰ろう』といわれても仕事は山積みで難しい、という意見が営業部から出ました。そこで、同アプリを使って出先から業務部へ一部業務を依頼することに。営業担当者の帰社後の作業を減らして残業時間短縮につなげました」と話す。 同アプリは営業担当者から業務部の3人に同時に依頼を送り、時間を取れる人が受けて状況を共有するので、仕事量の偏りも防げる。これにより、これまで営業担当者が行っていた製品のリサーチや見積書作成業務を業務部でも行うようになり、業務部員の仕事量は増えたが、これまで以上に製品の知識が身に付き、会社の売上に貢献できることでモチベーションアップにもつながっているという。

取引先に協力仰ぎ、業務を効率化

sanyousokki_04.jpg主力の取引先には午前、午後に1日2回配達していたが、社内の業務効率化を図る中で、取引先にも理解と協力を仰ぎ、1日1回に変更。営業担当者の外勤時間の短縮・効率化、伝票類の削減など、業務効率化につながった。桐木氏は「取引先への要請は勇気のいる選択ですが、世の中の働き方改革の流れもあり、取引先にも理解していただけた。業績への影響もなく、ありがたかった」と話す。

取組の中で苦労したこと ~研修通して改革の目的を浸透

sanyousokki_05.jpg取組を始めた当初、働き方改革は単に時短、残業時間削減の取組と認識している人が多く、社内では「推進室だけが何かやっている」という雰囲気だったという。そこで2020年3月、外部講師を招いて全従業員対象の「働き方改革従業員キックオフ研修」を実施したことで、「ワークライフバランスの取れる会社にすることで、達成感のある良い仕事をし、顧客に選ばれる会社になる」という働き方改革の目的が浸透し、従業員皆の心構えが変わったという。推進室内では外勤の営業部と内勤の業務部で意見が合わないことも頻繁にあったため、4月から8月まで推進室メンバーを対象に、外部講師によるミニ研修を実施。客観的な視点から社内の具体的な課題に取り組むことで、営業部と業務部の連携など、部署を越えた改革が実現した。

取組の成果 ~総実労働時間を削減

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残業事前申告制度の導入により、従業員一人一人がこれまで以上に仕事の優先度や取捨選択、メリハリを意識するようになった。また、内勤の業務部が外勤の営業部をサポートすることで、営業部員の帰社後の作業を減らし、業務の効率化を実現。これらが全体の残業時間削減につながり、月次の1人当たり平均総実労働時間は2019年9月末の194時間から2020年5月には175時間まで減った。有休についても、取得を継続的に呼びかけることで従業員の意識が変わっていき、2019年度には5日以上の取得を実現した。

課題や今後の目標 ~有給休暇を取っても仕事に支障が出ない体制づくりを強化

sanyousokki_07.jpg有休取得は2020年度に6日以上、2021年度に7日以上を目標に取組を継続。また、現在5~6週に1度ある土曜出勤から、完全週休2日化も検討している。「休んでも仕事に支障が出ない体制を実現するためには、さらに部署間の協力が必要」と田中氏。月1回の推進室会議に加え、グループウエアを活用し、改善策を思いついたらウェブ上で随時意見を出し合い、会議の場で具体化や決定ができるようスピードアップしていきたいとする。桐木氏は「働き方改革の取組をとおして、みんなで一緒に会社を動かそうという意識が高まった。従業員も経営に参加してくれているような感覚です。まだ改善点はあるし、世の流れにも合わせていかないといけない。これからも成果を積み重ねて、従業員も会社もさらに成長していきたい」と前を見据える。

従業員からの評価

業務部
清川 優太 主任

sanyousokki_08.jpg子どもが小さいので、私が帰るときにはもう寝ていますが、ノー残業デーが定着したおかげで、水曜日は子どもたちが「お帰り」と笑顔で出迎えてくれます。それが活力になって、次の日も「よし、頑張ろう」という気持ちが湧いてきます。週の半ばで体を休めてリフレッシュできるのも助かります。先輩たちも、以前より疲れがたまりにくくなって、土日に趣味を楽しむ余裕ができたと話しています。業務においては営業部から依頼が入るようになり業務量は増えましたが、残業事前申告制度で終了時間をあらかじめ決めるので、その分スピードを上げて効率的にやるようになりました。以前より残業時間は増えていないので、取り組んでよかったと思います。

取材日 2020年9月