働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

勤務時間の15%を研修に充て、働きがい創出
イベントでコミュニケーション活性化し、若手採用に効果

株式会社ナガ・ツキ

  • 製造業
  • 広島市
  • 31〜100
  • 推進体制(総務人事)
  • 休暇取得の促進
  • 人材育成・評価処遇
  • コミュニケーションの促進
  • 業務プロセスの改善
認定マーク
所在地 〒730-0823 広島県広島市中区吉島西1-21-1
URL https://www.nagatsuki.co.jp
業務内容 コンクリート2次製品製造、建設資材販売、教育事業など
従業員数 89人(男性76人、女性13人)

(2020年11月時点)

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  • 勤務時間の15%を従業員教育に充て、社内勉強会や研修を実施
  • 運動会などのイベントでコミュニケーション活性化、採用にも効果
  • 多能工化や多様な休暇制度で有休取得しやすい環境に
  • 改善活動や委員会活動で生産性を向上

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取り組んだ背景 ~受け入れ体制の未整備で若手の離職相次ぐ

nagatsuki_01.jpg土木工事などに使うコンクリート2次製品の製造や、建設資材の販売を手掛け、豊平(北広島町)、甲田(安芸高田市)、本郷(三原市)、美郷(島根県)に4つの工場を構える。代表取締役社長の長谷川晴信氏は「10年ほど前から3~4年で10人くらいの新卒生を採用しましたが、当時は社内研修などの受入体制が整っておらず、採用した新卒新入社員全員が数年内に辞めてしまい、定着してもらうことが難しかったです。それ以降は人材の確保が思うようにできない状態が続いていましたが、そのような中でも入社した従業員の定着率や採用力の向上を目指し、また、全従業員が働きがいを持てるように働き方改革に取り組むことにしました」と話す。「ナガ・ツキで働くことで、どこでも通用する技能、見識を身につけてほしい」という長谷川氏の考えの下、従業員が主体となって働き方改革に取り組んでいる。

主な取組と工夫点

勤務時間の15%を従業員教育に充て、社内勉強会や研修を実施

nagatsuki_02.jpg従業員のスキル向上を狙い、毎週水曜日に営業・製品勉強会を開く。人間性や考え方を磨くため、2019年からは全員が「致知」という月刊誌を読んで感想を発表し合う「木鶏会(もっけいかい)」も毎月実施している。また、新入社員の育成へ、入社から2~3カ月間、先輩従業員が付きっきりで製品知識などをきめ細かく指導する体制を2020年に構築。希望者には会社が全額を負担し、社外研修やセミナーへの参加も積極的に支援している。長谷川氏は「従業員の成長がゆくゆくは会社の成長につながると考え、勤務時間の約15%を従業員の教育に充てています。意欲があり努力をする従業員にはサポートを惜しみません。モチベーションが高まり、働きがいにつながっているとの声も聞いています」と話す。

イベントで社内コミュニケーション活性化、採用にも効果

nagatsuki_03.jpg従業員同士のコミュニケーションの活性化や従業員満足度の向上を目的に、長谷川氏が社長に就任した2006年から毎年のように、運動会や社員旅行などの社内行事や、家族に参加してもらうバーベキューなどのイベント「家族会」を定期的に開いている。管理部の中本初花氏は「これらの行事は全て就業時間内に行い、参加しやすくしています。普段接する機会の少ない従業員同士の交流が、連携の強化や部署の垣根を越えた円滑な業務運営につながっています。家族を巻き込んだ催しを通じて会社について理解を深めてもらうことで、離職を防ぐことにもつながると考えています」と話す。

こうした取組を採用活動につなげようと、2019年4月にホームページを一新して、社内のさまざまな情報発信を強化。その結果、2019年9月に中途で20代の女性従業員1人をはじめ、20年4月に新卒で高校・短大卒の計2人、8〜10月に20〜30代の中途従業員5人、21年4月には新卒で高校・大卒の計2人を採用。毎年数人ずつを確保できるようになってきたという。

多能工化や多様な休暇制度で有休取得しやすい環境に

本社の経理業務や、工場での機械操作、溶接作業など専門性の高い業務は特定の従業員に作業が集中することが多く、該当者が有給休暇を取ることで業務が停止・停滞することに課題を感じていた。そこで従業員の多能工化を推進。適性を見極めた上で、定期的に本社・工場内の配置転換を行っているほか、業務の幅を広げられるよう、資格取得の費用を会社で負担している。長谷川氏は「資格手当はもちろん、従業員の頑張りや活躍などを人事評価に反映させています。将来は給与面にも生かしたい」と話す。
2019年からは家族との時間を大切にしてほしいとの思いで、平日連続5日の休暇制度(土日を挟むことから実質9連休)や、家族イベントなどで使える「親孝行休暇」などを導入し、休暇の取得につなげている。

改善活動や委員会活動で生産性を向上

3年ほど前から「働きやすい環境づくり」を目指し、本社や工場の部門ごとに9つの班に分けた従業員主導の改善活動(徹底3S活動)を本格化した。2カ月に一度は「取組報告会」を行い、情報の共有化を図っている。中本氏は「(これらの取組を通して)本社ビルの5階にあった事務所を2階に移しました。また、会議資料(損益計算書、製造・出荷・在庫報告など)の様式を見直し、資料作成を従来の月7時間から2時間半に大幅短縮するなど、業務の効率化や生産性の向上につなげています。顧客満足度の向上や人材育成など6委員会で構成する『委員会活動』では、全従業員が責任感を持って社内改善に取り組んでいます。日頃から一人一人が社内全体に気を配り、〝1分1秒〟の改善を積み重ねることで、労働時間の短縮につなげています」と話す。長谷川氏は「『業務の効率化を進めることで、お客さまへの対応時間が増え、それが会社の利益につながり、ひいては給料に反映される好循環が生まれる』という話を従業員へ常に伝えてきました。従業員にしっかり理解してもらうことで、改善活動が形骸化せずに続けられているのだと感じます」と胸を張る。

取組の中で苦労したこと ~取組のために時間を確保する難しさ

nagatsuki_04.jpg「働きやすい職場づくり」の活動の定着に向けた時間の捻出が課題という。長谷川氏は「月1~3回の土曜日出勤の大半を教育や改善活動の時間に割り当てています。本来は取引先に合わせて工場を稼働させるのが当たり前ですが、時には生産量や営業時間などを削ってでも対応します。多能工化など一朝一夕に進まないことも多く、粘り強く進めていくことが重要だと考えています。さまざまな取組を通じて生産性を向上させることで、職場改善に充てる時間を確保したい。それがさらなる生産性の向上につながる、好循環を実現していきたいです」と話す。

取組の成果 ~休暇制度の導入など有休取得率が上昇

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改善活動や多能工化などを通して効率化を推し進めることや連続5日の休暇制度などが奏功し、有給休暇取得率は2019年の52%から2020年には62%まで増えた。さらに長谷川氏は「もともと残業時間は多いわけではないのですが、多少の残業が発生する繁忙期を含めてさらに減らしていければ」と話す。

課題や今後の目標 ~意欲を評価する人事評価制度の確立へ

nagatsuki_06.jpg2021年内を目標に、仕事や学びに対する意欲を評価する新たな人事評価制度の確立を目指している。中本氏は「明確な目標を設けることで、業務や改善活動に一層力が入ると考えます。数字だけではなく仕事に取り組む姿勢や考え方など、目には見えにくい部分も適正に評価できる制度づくりを進めています」と話す。長谷川氏は「『従業員の幸福度や働きがいの追求』の理念の下、従業員が誇りを持って働くのはもちろん、家族や地域の人にもなくてはならない会社にしていきたい」と展望を語る。

従業員からの評価

営業部
瀬戸川 舞氏

nagatsuki_07.jpg2019年9月に中途で入社し、営業として働いています。家族参加型の社内イベントは、先輩社員の普段と違う様子を見ることができるので楽しいですし、コミュニケーションを図る良い機会だと思います。委員会活動では「社風向上委員会」の委員長を務めており、より楽しく働ける会社づくりに向けて話し合いを重ねることも、やりがいの一つです。さまざまな社外セミナーにも参加させてもらい、いろいろな人の考え方に触れることで人間としても成長できていると感じています。こうしたセミナー等で学んだことは、営業活動を行う上でも役に立っています。各種制度やサポート体制も整っているので、将来は仕事と子育ての両立を目指したいです。

取材日 2021年2月