働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

健康経営と並行し働き方改革に取り組む
部署横断の改善活動、出社したくなるオフィスづくりも

ベンダ工業株式会社

  • 製造業
  • 呉市
  • 101〜300
  • 推進体制(総務人事)
  • 休暇取得の促進
  • 時間・場所等の多様な働き方
  • コミュニケーションの促進
  • 業務プロセスの改善
  • ICTの活用(テレワーク等)
認定マーク
所在地 〒737-0921 広島県呉市苗代町10098-3
URL http://www.benda.co.jp
業務内容 自動車部品の設計・製造・販売
従業員数 151人(男性130人、女性21人)

(2020年12月時点)

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  • 健康経営を推進、在宅勤務制度で働き方の選択を可能に
  • 有休取得促進へ、「誕生日休暇制度」を導入
  • 部門を横断した小集団活動を展開、交流促進の効果も
  • 新社屋で出社したくなるオフィス実現、健康意識した食堂も併設

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取り組んだ背景 ~従業員が長く働けるようにまず健康経営から推進

bendakogyo_01.jpg自動車や造船などのエンジン始動時に使うリングギアを製造する世界トップメーカー。働き方改革に先行して、2017年頃から健康経営の取組に着手した。代表取締役社長の八代一成氏は「代表取締役会長を務めていた父が2011年に海外出張中に急逝したほか、がん治療に専念するために退社した従業員が出るなど、社内で病気に絡む出来事が相次ぎました。縁あって入社した従業員に長く働いてもらうために、会社としてできることはないのかと考えるようになりました」と取組を始めた経緯を話す。

bendakogyo_02.jpgその後2019年、広島県主催の働き方改革セミナーに八代社長らが参加し、採用力の強化や、少数精鋭を掲げる生産現場の生産性向上などの実現のために、健康経営と並行して働き方改革に取り組む必要性を感じたという。さらに全従業員へのストレスチェックで、家庭での満足度が低い30代の従業員が多くいることが分かった。総務部次長の松浦和美氏は「その頃は受注量が増え、残業や土曜の休日出勤が続き、家族との充分な時間を確保できていないのではと推測しました」と語る。「これはショッキングでしたね。これから中堅となる重要な時期の従業員たちが、会社でも自宅でもストレスを解放できていなかった。休日出勤が当たり前の時期もあり、私の責任で社内の働き方を変えていかなければならないと強く感じました」と八代氏。2020年2月、各部署の代表者でつくる「働き方改革推進委員会」を発足し、取組に本格的に乗り出した。

主な取組と工夫点

相談会開催などで健康経営を推進、国の優良法人に認定

健康経営の推進に当たり、健康診断やストレスチェックの結果を基に従業員に産業医(カウンセラー)による健康相談会を開いているほか、協会けんぽによる肺年齢測定で喫煙習慣の改善を促す取組などを実施している。広島県の「チームがん対策ひろしま」にも加盟した。また、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、健康状態を午前7時までに各自の携帯電話に送られるシステム上で報告し出社してもらう取組をしている。これらの取組が認められ、国の「健康経営優良法人」に認定されている。

自己申告シートによるアンケートや在宅勤務制度で働き方の選択を可能に

bendakogyo_03.jpg年に1度、自己申告シートを用いたアンケートを実施。夜勤や時間外労働、休日出勤の可否を自分のライフステージに合わせて選択できるようにした。また新型コロナウイルスの感染対策のため2020年4~5月に、40~50人の事務系スタッフを対象に在宅勤務を試験的に実施した。問題なく業務を遂行できることが分かり、在宅勤務制度を正式に制度化した。今後は、感染対策のためだけではなく、従業員の働き方の選択肢を増やすためにも、制度を活用していきたいとする。

有休取得促進へ、「誕生日休暇制度」を導入

2019年4月の働き方改革関連法の施行に伴い、休暇の取得促進に向けて「誕生日休暇制度」を導入した。誕生日にオリジナルのクオカードと一緒に休暇申請用紙を渡し、誕生日月の希望日に休暇を取得してもらう。後日、取得日にどのようなことをしたのかをグループ間で共有することで、コミュニケーションの活性化にもつなげている。

総務部内で課を越えた業務を担当し、平準化・効率化を実現

bendakogyo_04.jpgこれまで総務部は課によって帰社時間に差が出ていた。そこで、業務の平準化・効率化を目指して、人事課、総務課、IT課が課の枠を越えて業務を担当する体制を整えた。チーム制で業務効率化に向けて現状分析から検証、改善、運用までを行ったことをきっかけに、IT課が勤怠記録の打刻漏れを自動表示するマクロを組み、勤怠管理の確認に要する時間が4分の1になるなどの効果があった。また属人化していた業務をほかの担当者に引き継ぎ、それを受けた従業員がより理解を深められるようにマニュアルを作成し、多能工化も図っている。

部門を横断した小集団活動を展開、交流促進の効果も

10年以上前から製造現場の生産性向上へQC活動を行っている。それに加え、2020年9月からは製造現場メンバーに事務系スタッフも加わった部門横断型で小集団活動を開始。5チームを設け、チームごとに毎月数回程度集まり、無駄の洗い出し、改善案などを検討し、月末に活動内容を報告。3月に役員に向けた最終の成果発表会を開催した。松浦氏は「事務系スタッフは通常、製造部門の従業員と接することは少ない。現場の改善活動に携わることで仕事を深く知り、コミュニケーションもしやすくなりました」と話す。

新社屋で出社したくなるオフィスを実現、健康意識した食堂も併設

呉市の工場敷地内に技術研究所、実験棟からなる「ベンダ・グローバル・テクニカルセンター」を2021年12月に竣工予定だ。技術開発や品質保証、製造、調達、営業、総務などがワンフロアで働き、相互に情報共有、連携しやすい環境を整える。業務に1人で集中するための「業務集中エリア」や、気軽に打ち合わせ招集のできる「カジュアルミーティングスペース」も設け、多様な働き方を実現する。
健康経営の一環で社員食堂も設ける。米や野菜など地産地消の食材を栄養士がメニュー化し、会社が一部費用を負担して提供する。八代氏は「従業員が出社したくなるオフィスを目指します。東広島市の工場と合わせて2拠点体制とすることで、地震被害などBCP(事業継続計画)対策も兼ねています」と話す。

取組の中で苦労したこと ~在宅勤務の運用に課題、取組の浸透にも注力

bendakogyo_05.jpg事務系スタッフを対象に在宅勤務を制度化したが、全従業員の3分の2に当たる製造スタッフは対象ではない。そのため事務系スタッフが製造スタッフに遠慮し、感染症が落ち着いてから在宅勤務はほとんど実施されていない。八代氏は「通勤時間を削減できるほか、介護や育児がしやすくなるなど、在宅勤務制度の良さもあります。会社の一体感を重んじながらも、働き方改革の良いとこ取りができるような体制を整えていければ」と話す。また、働き方改革に取り組んでいることやその内容について、全従業員への周知が十分にできていない課題もあるという。趣旨や成果をきちんと共有し、今後も取組に弾みをつける方針だ。

取組の成果 ~部門間のコミュニケーションが活発化、離職率も低下

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各部門の代表者でつくる働き方改革推進委員会や、部門横断型の小集団活動などの展開により、部門を越えたコミュニケーションが活発化した。それに伴い、それぞれが違う視点で会社の課題や問題に気付き、改善できる体制が整いつつあるという。松浦氏は「自分たちで協力し合い、より良い会社にしていこうという連帯感が醸成されました」と成果を話す。さまざまな取組が奏功し、離職率は2017年度の11.4%から、2018年度10.3%、2019年度6.3%と着実に下がっている。

課題や今後の目標 ~やりがいを持って働ける「働きがい」の創出へ

bendakogyo_07.jpg今後、さらなる有休取得促進や残業時間の削減などに取り組むほか、1日の勤務終了後から翌日の出社まで、一定時間以上の休息時間(インターバル)を設ける「勤務間インターバル」制度の構築なども計画する。八代氏は「これまでの取組でようやく体制が整いつつある。ここからは従業員が心からやりがいとモチベーションを持って働ける会社へとさらに取組を深化させ、コロナという大きな危機の次にまた何か危機が起きたとしてもそれを乗り越えられる強い企業を目指したい」と今後の展望を話す。

従業員からの評価

総務部
澤畑 果歩 氏

bendakogyo_08.jpgこれまで勤怠管理の確認作業を目視で行っていましたが、IT課の方がシステム化してくれたおかげで作業時間を4分の1まで減らすことができました。その結果、退社時間を早めることができ、家事の時間を確保できるなどプライベートも充実しています。またカウンセラーの方に話を聞いてもらったことで、自分でも感じていないようなストレスにも気付き、自分自身を振り返る良い機会になりました。

取材日 2020年2月