働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

希望を持てる塗装会社へ
〝任せる〟育成方針で若手定着に力

株式会社八紘

  • 建設業
  • 広島市
  • 1〜30
  • 推進体制(経営者)
  • 人材育成・評価処遇
  • コミュニケーションの促進
  • 業務プロセスの改善
所在地 〒731-0121 広島市安佐南区中須一丁目14-12
URL http://www.toso-hakko.com/
業務内容 塗装工事業・建築工事業・土木工事業など
従業員数 計27人(男性22人、女性5人)

(2022年6月時点)

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  • 建築塗装業のイメージ変え、定着率向上へ
  • 「あるべき姿ミーティング」で主体性を育む
  • 「任せる」育成方針で若手の意欲向上
  • 社長の思いを発信し続け、主体的な社員増える
  • イキイキ働ける会社づくりにまい進

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取り組んだ背景

建築塗装業のイメージ変え、定着率向上へ

hakko_Trophy.png 安佐南区中須に本社を構え、ビルや商業施設などの内外装塗装工事を手掛ける。2017年に新事業で始めたマンション向けの大規模修繕工事も順調に成長し、20年度には過去最高売上高を更新した。その一方で、「きつい、汚い、危険」という建築塗装業の「3K」のイメージから高校生など新卒者の人材確保が難しく、採用できても一人前の職人になるまでの下積み時代に辞めてしまうことが多かった。社長の庄田朋幸氏は、「伯父の後を継ぐために入社した09年当時、現場で毎日同じ作業ばかりさせられ、やりがいを感じられなかった経験が働き方改革に取り組むきっかけになりました。19年の社長就任時に、新しく経営理念を『建物を護り、信頼を守り、社員を衛る。』と決めました。さらに業界のマイナスイメージの払拭のため、『給与、休暇、希望』の『新3K』を掲げ、給与を10年前に比べて3割近く上げるとともに土日で連休も取れる体制にするなど、まずは働きやすさの整備を進めました。加えて、塗装の仕事を好きになって安心して長く働けるという希望を持ってもらいたいと考え、働きがいの創出に取り組むことにしました」と話す。

主な取組と工夫点

「あるべき姿ミーティング」で主体性を育む

yahiro_01.jpg 経営理念の浸透や社長の思いの共有に力を入れている。 社員の目に付くさまざまな場所に経営理念を張り出すほか、朝礼や月に1度の全体会議などで繰り返し社長自らがメッセージを発信し続ける。庄田氏は「広島の建物を守るために当社の仕事があり、プロ意識を持ってやり抜くことでお客さまの信頼を得られます。当たり前のことですが、これを徹底すれば会社の事業基盤が整い、社員の雇用を守ることにつながります。この考えを経営理念に盛り込みました。これを共有して社員に当事者意識を持ってもらうことで、強い組織をつくれるのだと信じています」と意気込む。
 また、仕事と会社に希望を見いだすには理想の追求が重要と考え、2年前に「理想の会社に必要なことは何か」をテーマに全社員アンケートを実施。その中から特に要望の多かった「部署間連携」、「コミュニケーションの深化」、「待遇面の改善」、「若手育成」の4項目を話し合う「あるべき姿ミーティング」を月に1度のペースで行っている。役職者がリーダーを務める3~5人のグループで、毎回メンバーを入れ替えてさまざまな意見が出るように促す。「部署や年齢の異なる小グループ制にすることでコミュニケーションが生まれ、大人数だと意見を出しにくい社員も当事者意識が芽生えて活発に意見を出すようになりました。働きがいはトップダウンでは生まれにくく、社員一人一人がつくり出す必要があります。今後も社員の主体性を尊重し、社内体制の改善に生かしたい」と庄田氏は話す。

「任せる」育成方針で若手の意欲向上

yahiro_meeting.jpg 前述の「あるべき姿ミーティング」をきっかけに生まれた若手社員の育成制度がある。10~20代の若手社員が入社5年目までに習得すべき塗装に関する業務や知識を細かくまとめたステップアッププランを作成。このプランに基づいてまずは上司に当たる職長が一連の工程を丁寧に教え、若手社員は実践しながら勘所を学ぶ。これにより、塗装前の養生や下地処理から塗装機械の扱い方など、従来であれば5年以上かかっても経験できなかった業務を、3年ほどで習得できるようになった。庄田氏は「短期間でさまざまなことを経験させることで、若手社員のモチベーション向上につながっています。そして早い段階で一つの現場を任せることで、期日や品質を意識するようになります。主体的に行動すると責任感が生まれ、仕事に対する姿勢も変わってくるといった好循環が生まれています。若手社員が育ち、早期に技術が備われば、組織全体の生産性向上も期待できます」と成果を実感する。 

評価制度を変え、自身の現在地を把握

 4年ほど前に経験年数や役職に合わせて業務の到達度合いを確認する人事評価制度に変更した。若手社員には任された建設現場の作業スピードや正確さを、職長にはリーダーシップ能力や若手社員の育成などの内容を盛り込んだ。6月と12月の賞与の時期に全社員と個別面談を行い、半年間の評価・反省と、次の半年をどう過ごすのかといった目標を設定する場にしている。その狙いを庄田氏は「自己評価と他者評価のギャップを感じてもらうため」と話す。「自分の得意だと思っていたことが、一次評価者の上司から見れば実は弱点だったというギャップが生まれることもあり、社員に自身の現在地を確認してもらいます。もちろん、自己評価に対してのフィードバックも丁寧に行うなどのフォローを欠かしません。普段からその社員をよく見ている上司が付けた評価は、社長である私の二次評価よりも重視し、賞与などの査定にも反映しています」。

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取組の成果

職長へ取組の理解を促す

yahiro_03.jpg 働きがい向上の取組の主なターゲットは定着率の低い若年層だ。若手社員に任せるという育成方針には、職長が彼らの失敗やミスを受容しなければならない難しさがあると話す庄田氏。「負担が増えると考えていた職長から理解を得るには相応の時間がかかりました。短期的視点ではなく長期的な捉え方をすると、若手社員が早く成長すれば持ち場を任せやすくなり、逆に負担が減り、生産性が上がります。そして若手社員の成長する姿が職長のモチベーション向上につながるはずです。これらの考え方ついて職長たちと話し合いを繰り返すことで、大きな衝突はなく、むしろ前向きに理解してもらうことができました」と振り返る。

働きがい向上の効果や成果、社内の変化

社長の思いを発信し続け、主体的な社員増える

yahiro_08.jpg 取組を通じて、「経営陣が社員のことを考えてくれている」、「チャレンジできる社風が根付いている」、「働いていて楽しい」といった声が出るようになった。なにより主体的に仕事に取り組む社員が増えたという。庄田氏は「これまでの実績に甘んじることなく、私たちの仕事が必ず社会の役に立っているという思いを、社員に発信し続けることが重要です。また『丁寧に仕事をしているね』、『仕事が早くなったね』などの日々のちょっとした気付きや、お客さまからの感謝の声を社員にしっかりとフィードバックすることも欠かさずに続けていきます」と話す。

課題や今後の目標

イキイキ働ける会社づくりにまい進

yahiro_05.jpg 今後も建設塗装業のマイナスイメージを払拭し、新3K(給与、休暇、希望)の定着に一層取り組む方針だ。庄田氏は「こうした取組を通じて、若手社員がイキイキと働ける会社にするとともに、日々の仕事に達成感を味わえる会社にしたい。また職人不足が深刻化する業界では女性の活躍も必要です。最近、20代の女性が入社してくれました。こうした輪が広がるように福利厚生面のさらなる充実はもちろん、一層働きがいを感じられる職場づくりを目指します」と意気込む。

社員の声

工務部 職長
山田 秀斗氏

yahiro_voice.jpg 高校を卒業して入社した当時、先輩社員の道具持ちなどの雑用ばかりで、やりがいを全く感じられませんでした。しかし、会社が働きがい向上に取り組み始めてからは、若手社員が本当にイキイキと働くように変わったと感じています。自分自身も責任ある立場の職長となり、後輩社員と積極的にコミュニケーションを取ることを心掛けています。上司・部下という関係性ではなく、もっと近い存在になれたらと考えています。また、なるべく仕事を任せることで、若手社員が責任感を持って積極的に仕事に取り組んでくれています。その姿を見て、私のやる気も上がっています。今後も自己研さんを続け、工務部門全体を任せてもらえる社員を目指します。

取材日 2022年6月