働き方改革事例

従業員の声からトライ&エラーで導入加速
9割の社員が業務効率化を実感

株式会社レニアス

  • 製造業
  • 三原市
  • 101〜300
  • entrydatajireikaikaku2-01
  • entrydatajireikaikaku2-02
  • entrydatajireikaikaku2-03
  • entrydatajireikaikaku2-08
所在地 〒729-0473 三原市沼田西町小原200-76
URL https://www.renias.co.jp/
業務内容 事業内容:輸送用機器や特殊車両の部品、セキュリティー商品の開発・製造・販売
従業員数 計161人

(2022年9月時点)

renias_banner.jpg


 ICTを活用して場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を実現する「テレワーク」。広島県は、感染対策だけではなく、個人のライフスタイルに応じた柔軟で自律した働き方を普及するために、県内企業向けにテレワークに関する導入支援策を展開しています。この連載は、テレワーク導入事例5社と各社の導入を支援した専門家に取材し、導入の利点やポイントなどを紹介します。株式会社レニアス 畑本 亮二 総務企画部人事課長に取組の背景やポイントを伺いました。

テレワークに取り組んだ背景は。

re_renias_02.jpg  働きやすい環境づくりの一環で、2019年ごろから社員に協力してもらいながらテレワークの導入に着手した。製造現場を除く多くの部署でパソコン(PC)を日常的に使っており、VPN(仮想専用網)やVDI(仮想デスクトップ)を活用して社外でも業務ができる基本的な仕組みは既に整備されていた。着手して間もなくコロナ禍となり、感染症対策を含めて2020年から導入への動きを一層加速させた。

どんな取組をしていますか。

re_renias_09.jpg  まずPCを使う設計、営業、開発など7部門でテレワーク可能な業務を分析・検証。営業、購買、生産管理、総務は在宅でも出社時と業務が変わらず多くの従業員が活用できると分かった。設計、技術、開発など現場業務が多い部門では、一部社員の出社は必須だが、データの共有で多くの社員が自宅でも対応可能となった。例えば、設計部門ではVPNやVDIの整備で自宅から会社PCに格納されているソフトウェアを活用可能になり、出社時と同様にCAD(コンピュータ支援設計)業務ができている。
 一方、現場が主体の部門では、資料やデータ整理、伝票作成などの普段手が回りにくい仕事で出社の必要性が低い仕事を抽出し切り分けることで、出社とテレワークの両方を組み合わせた働き方を実現した。

re_renias_08.jpg 次にテレワーク活用する中での課題を従業員の声から洗い出し改善した。まず不要な出社を減らすためのウェブ会議推奨や帳票類の電子化を推進。電話当番で出社する負担を無くすため外部から社員に直通する電話番号を設けたほか、出退勤の管理や各種申請などを自宅から可能とするためクラウド型の勤怠・給与管理システムを導入するなど、課題をその都度解消した。あわせて、安定的な運用に向けてテレワークに関する規定や手当ての整備、情報セキュリティーの意識向上を目的としたフィッシングメール対策訓練などにも取り組んだ。

取組に当たってのポイントは何ですか。

re_renias_07.jpg テレワークを導入する上では、焦らず着実に進めることが重要だと考える。設備やサービスの導入直後に、まずは検証でトライ&エラーを繰り返して何が足りないか、どうすれば解決できるかを検討し、各部門や社員の希望する働き方に合う仕組みを構築した。この検証と対処のサイクルの中で、PCに標準装備されているVDI環境の構築や、RDP(リモートデスクトッププロトコル)などの無料で使える機能を活用し、必要以上の経費投入を防いだ。
 導入後もアンケートを行い、従業員の目線で検討を続けることが大切だ。業務に悪影響はないか、一部の人に負担が増えていないかなどを確認している。社内規定や就業規則にも従業員の声を柔軟に取り入れ、全員が納得できるルール作りを心掛けた。導入時から最善の環境を目指すのではなく、まずは現状から個々の課題を解消して各社に合うテレワーク環境の整備が重要なポイントだろう。  

導入後の変化・メリットを教えてください。

re_renias_06.jpg アンケートの結果、約9割が業務効率の改善を実感している。ウェブ会議の推奨が業務時間削減につながり、資料のデータ管理でペーパーレス化も浸透し、一人当たりの月平均時間外労働時間は2019年の12.4時間から2年で6.6時間に半減した。さらに社員が急な出来事に臨機応変に対応しやすくなったほか、通勤事故リスクの減少、通勤費の約10~20%削減など、多くの効果があった。
 そのほか、総務部門を中心に現場業務の自動化、属人化している業務の見直し、生産性の向上などに向けて様々な取り組みを企画している。より働きがいのある職場環境の実現に向け、会社全体でDXの推進に注力する。

社員の声

開発営業部 営業課
三谷 龍哉さん

renias_04.jpg 2021年春に入社しました。就職面接もすべてリモートで安心感があり、テレワーク制度があることにも魅力を感じました。営業はメールや電話でのお客さま対応がメイン業務で、自宅でも出社時と同じように働けます。必要な時には当日朝の申請でテレワークが認められる点も助かっています。

取材日 2022年9月