女性活躍優良事例

「法律制定前から女性活躍を推進。中古車買取・販売店の女性店長が好循環を生む」

株式会社SANKYO

  • 卸売業・小売業
  • 西部
  • 1〜30
  • 両立・継続支援
  • 登用
  • 職場風土

社名 株式会社SANKYO
本社所在地 広島市中区舟入本町5-1
URL http://www.55-sankyo.com/
事業概要 株式会社SANKYO1961年、ガソリンスタンドを経営する会社として設立。消費者への付加価値を備えた商品ラインナップで石油業界の草分け的存在へと発展。1980年代後半に始まった規制緩和による石油業界衰退期に対して、先を見据えた業態転換を行いながらも「堅実経営」を基本とした経営を継続。経験と実績を生かし、地域に密着した「中身の濃い」会社を目指している。現在は、中古車買取・販売店「ガリバー」を3店舗、自転車専門店「サイクルベースあさひ」1店舗を経営している。
業種 卸売業(小売業)
従業員数 27
女性従業員比率 33.3
女性管理職比率 33.3

(2018年4月現在)

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代表取締役社長 宮迫 雄平 氏

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  • 法律制定前から女性の活躍を推進してきた社風
  • 「子育てをしながら働きたい!」社内初のモデルケースが職場の環境改善のきっかけに
  • 自動車業界に色濃い″男性社会″のイメージを打ち破る、女性店長の存在

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1.法律制定前から女性の活躍を推進してきた社風

株式会社SANKYO(以下、SANKYO)は、1961年にガソリンスタンドを営む企業としてスタート。1980年代後半に始まった石油業界の規制緩和によるセルフスタンドの増加、少子化に伴う車離れ、低燃費車の普及によるガソリンの需要の低下、といった時代の流れに合わせ、16年前に思い切った業態転換を実施した。現在は、フランチャイズ店として「ガリバー」と「サイクルベースあさひ」を運営するとともに、太陽光発電事業なども手掛ける多角化企業へと生まれ変わった。

SANKYOの女性従業員比率は現在33.3%と、卸売業・小売業の全国平均51.1%(※1)と比べると低い状況にあるものの、女性管理職比率は33.3%と、卸売業・小売業の平均12.7%(※2)より20.6ポイント上回っており、女性従業員比率に比例して管理職を登用しているという点が特徴的だ(図1参照)。

図1  SANKYOと卸売業・小売業の全国平均の比較

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※1 出典:総務省統計局(2016年)「労働力調査 長期時系列データ 表5 第12回改定日本標準産業分類別就業者数」

※2 出典:厚生労働省「平成29年度雇用均等基本調査 図11 産業別女性管理職割合 課長相当職以上(役員含む)(企業規模10 人以上)」

女性従業員は、事務職に5名、営業職に4名が配置されている。課長相当職の女性従業員は総務課長が1名いる。また、〝自動車業界は男性中心″というイメージが強いかもしれないが、SANKYOでは部長相当職に女性従業員が1名おり、中古車買取・販売店の店長を務めている。

この背景としては、かつて同社がガソリンスタンド経営を行っていた頃、1990年から所長(いわゆる店長)を務めていた女性従業員の存在があった。男女雇用機会均等法が1985年、育児休業法(現在の育児介護休業法)が1991年に制定され、仕事と家庭との両立支援や、雇用管理における男女の「均等推進」が推し進められたことを鑑みると、当時すでに女性所長がいたガソリンスタンドは非常に先進的といえるだろう。というのも、宮迫晋爾取締役会長(当時、代表取締役社長)は、当時から男女区別なく従業員が能力を発揮することを期待し、結果に対して平等な評価を行うことや、優秀な従業員にさらなる活躍の場を与えるべく、バックアップする意志を示していたという。このように、優秀な人材はきちんと評価し適切な役職を与える、という先代の想いは、現在、代表取締役を務める宮迫雄平氏へと受け継がれている。

2.「子育てをしながら働きたい!」社内初のモデルケースが職場の環境改善のきっかけに

今年で入社4年目、ガリバー広島舟入店にて営業を担当している長迫百合恵さんに話を聞いた。「就職活動中から営業がしたいと思っていました。今でもその気持ちは変わらず、お客様に喜んでいただける営業という仕事が好きで、自分に向いていると思っています」。そう話す長迫さんは2017年4月まで育児休業を取得。その後、職場復帰し、現在は2歳になるわが子の子育てと仕事との両立で、忙しいながらも充実した日々を過ごしている。

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SANKYOが営業職として女性の新卒者を採用したのは長迫さんが初めてという。これまでも子育てが落ち着いてから、再び働き始める中途採用の女性従業員は少なくなかったが、産前産後休業や育児休業から職場復帰する若手女性従業員の前例がないために、時短制度などの育児と仕事の両立を支援する制度は設けられていなかった。

長迫さんが勤務するガリバー広島舟入店の営業時間は10時~19時であり、お客様の来店の多い日曜日も出勤日となる。そのため長迫さん本人だけでなく同じ店舗の従業員からも、「子育てをしながら、土日勤務の対応はできるのか」「営業時間の19時まで働けるのだろうか」といった不安の声が上がった。そこで、上司・同僚ともに「どうしたら長迫さんが仕事を続けられるか」を前向きに考えた。女性の活躍を積極的に推進している守澤ゆかり総務課長(以下、守澤課長)は、当時のことをこう話す。「入社前から彼女がやりたいと言っていた営業を、子育てを理由に諦めてほしくないと思いました。それに彼女の頑張りは周囲が認めていましたし、きちんと結果も出してくれていました。そんな彼女のこれからを応援し、何よりもまずは彼女を失わないよう、できる改善は最大限行うべきだと思いました」(守澤課長の記事はこちら)。

長迫さんが職場復帰するにあたり、守澤課長を中心に労働環境の整備が始まった。保育園のお迎えや子供と過ごす時間の確保、家事との両立を支援するため、時短制度を取り入れ、職場復帰後は勤務時間を9時~16時へ変更し、必ず所定労働時間内で就業を終えるようにした。

「育児休業中、家庭と営業の仕事を両立できるのか、という不安はありました。そんな中、守澤課長が『長迫さんが復帰できる環境をつくってみんなで待っているよ』など温かい言葉のつづられた手紙や、近況報告のメールを定期的にくださったんです。私のやる気が途切れないよう気遣ってくださる様子を感じ、胸の内の不安が消えていきました。育児休業中に会社が自分の復帰を歓迎してくれている雰囲気を感じられたおかげで、営業という仕事を継続することへの勇気を持つことができました」。

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社内の定期的なイベントである決起集会では2年間の産前産後休業・育児休業から復帰した長迫さんを歓迎、表彰する「カムバック賞」が与えられた。

「働きやすい制度の導入にも感謝していますが、何より会社の方が『仕事と子育てを両立させたい』という私の思いを理解し、支えてくださるお気持ちが一番ありがたいです。子供が急に熱を出してしまった時などの緊急事態の際は、特に周りの方からのフォローを感じます。応援していただいている分、私は結果で会社へ貢献しようというモチベーションも高まっています」と長迫さんは話す。

3.自動車業界に色濃い″男性社会″のイメージを打ち破る、女性店長の存在

「自動車業界は女性が少ないのが現状ですが、お客様との関係づくりが一番の鍵となる営業職は女性にも向いていると思います」。そう話すのは、ガリバー広島舟入店の店長を務める堂本直美さん。堂本さんは、SANKYO入社前は自動車関連の事務職として勤務していた。出産を機に退職し、子育てに専念。子育てが落ち着き、仕事を探していた際、前職と同じ自動車業界であったことからSANKYOの求人が目に留まり、ガリバー国道2号広島竹屋店で事務職として仕事を再開した。入社から3年がたった2007年、ガリバー広島舟入店のオープンに伴い、営業職へと職種を変えた。きっかけは、事務職として縁の下の力持ち的存在だった堂本さんの働きぶりを、当時の代表取締役社長や同僚たちが評価していたことだったという。周囲から「営業の仕事をしたら力をもっと発揮できるのでは」と、堂本さんに対して猛烈な勧めがあり、新店舗の副店長を務めることになった。そして期待通りの成果を出し、3年後にはさらに店長へ昇格した。

堂本さんは営業をするにあたって、顧客との信頼関係の構築に常にこだわるという。さらに、中古車市場の需給関係を読みながら、抜群の判断力と決断力で中古車の買い取り・販売を行い、結果を出してきたそうだ。

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当時から堂本さんの活躍を見ていた守澤総務課長はこう語る。「当時、女性活躍を支援するムードはありながらも、世の中全体としては、やはりどこか女性らしさを求められていたように感じました。『女性は男性の後ろで一歩引き、与えられたことを行う』、そういった固定観念を含む女性らしさを、堂本はいい意味で気にせずに突き進みました。堂本は強みである判断力・決断力を生かし、これまでに弊社が開拓してきていなかった業者を回り、次々と信頼できる取引先を見つけ、契約を結んで帰ってきました。先陣を切って物事に取り組む堂本の姿は見ていてとても気持ちよかったです。現状を変えていく力が強いように感じました」。

また、「店長」と名乗って接客を行うと、驚かれることも少なくないことから、堂本さんは初対面の顧客と接する際、「店長」と書かれた名刺を使わないそうだ。女性の店長は少ないのが現状なのであろう。「店長という立場になると拘束時間も長く、突発的なお客様対応も増えてきます。そのため一般的には両立が難しいと考えられ、女性の店長が少ないのではないかと思います。しかし、業務内容的には、男女区別なく活躍できると考えています」と話す堂本さんが、現在、子育てと両立中である前述の長迫さんの活躍も支えている。堂本さんが長迫さんのロールモデルとなり、良い循環をつくり出しているようだ。

取材担当者からの一言

SANKYOは、ガソリンスタンドを経営していた約60年前から、管理職層・若手従業員を問わず活躍する女性がいた。それは、男女区別なく従業員が能力を発揮することを経営層が期待し、役割を与え、女性の活躍を推進してきたからだ。今回の取材を通じて「子育てを理由に仕事を諦めず続けていきたい」「大変だと思うが、頑張っていきたい」という女性自身の仕事への思い、期待されているという意識を持たせる会社の雰囲気、上司や同僚からの応援が、仕事と子育てを両立させる上で、いかに重要か改めて感じることができた。

子育てをしながら営業職を続けたいという女性従業員の思いがきっかけとなり、前例のなかった時短制度の導入など職場環境の改善、働き方の意識改革に大きく一歩踏み出し、少しずつ成功体験を重ねながら歩んでいるSANKYO。守澤課長の「女性活躍の推進は今後さらなる改善が必要。男女ともに働きやすい環境にしていきたい」という言葉通り、従業員の気持ちに寄り添った制度や会社全体の意識改革が、今後ますます従業員が力を発揮できる会社へと進化させていくことであろう。

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●取材日 2018年8月

●取材ご対応者
株式会社SANKYO 総務課長 守澤 ゆかり 氏
ガリバー広島舟入店 店長 堂本 直美 氏
ガリバー広島舟入店 長迫 百合恵 氏