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輝く女性事例

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「継続は力なり。その積み重ねが、未来のキャリアにつながる」

三鬼化成株式会社

  • 卸売業・小売業
  • 広島市
  • 31〜100
社名

三鬼化成株式会社

所在地 広島市西区横川町2-13-2
URL https://www.sankikasei.co.jp/
所属・役職 管理部 総務人事担当部長
ご本人氏名 沖 聖子さん

20209月現在)

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2006年〜
三鬼化成株式会社へ中途入社。主に経理業務に従事。

2014年〜
課長に昇格。販売管理システム変更のプロジェクトリーダーを務めたほか、人事に携わるようになったことがきっかけで、「人を育てること」に関心を持つ。

2018年〜
総務人事担当部長に昇格。採用や従業員面談など会社人事全般を統括する役割を担う。国家資格であるキャリアコンサルタントを取得。

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三児を抱えての転職と大忙しの経理業務。育児との両立を家族や同僚に支えられ

三鬼化成株式会社(以下、三鬼化成)で総務人事担当部長を務める沖聖子さん(以下、沖さん)。17年間勤めた前の職場が解散となり、再就職先を探していたとき、転職エージェントに紹介されたことが入社のきっかけだったそうだ。

「転職活動当時は、3人の子供がまだ保育園と小学校に通っていて、正社員を希望していたこともあり、なかなか紹介してもらえる会社がありませんでした。採用の話をいただいたときはとてもうれしく、ずっとこの会社でお世話になろうという気持ちで入社しました」と振り返る。
 
担当になった経理業務の経験はあったが、一人で全てをこなすため、仕事と子育ての両立は大変だったそうだ。仕入れ先への支払いや得意先への請求など、毎月の締切日は必ず守らなければならない。そのため、夫や実母にサポートしてもらい、子供の保育園のお迎えをしてもらったり、業務のスケジュールに合わせて家の支度を全て整え、仕事に影響が出ないよう工夫したりしたそうだ。また、同僚の協力もあり、締切日が近づくと、沖さんが支払業務に集中できるよう、周辺業務などを分担してくれたという。
「夫や母、上司や同僚等、みんなにサポートしてもらえて、本当にありがたかったです」と沖さんは言う。

経理など管理系の業務は、お客さまと直接接することがなく、客観的に判断しやすい定量的な目標などもないため、自身の仕事の成果が見えにくいと感じやすく、沖さんも、毎月膨大な件数の支払業務に追われる中で、自身の会社における役割を考えながら仕事をするというより、ひたすら「こなす」感覚に近かったそうだ。

しかし、ある日社長から「うちからの支払いを待って生活をしている取引先もいる。取引先の従業員や家族のことを、常に思いながら仕事をしなければならない。会社は取引先があってこそ成り立っているんだよ」と言われたことがあったという。
「直接接することはないけれど、正確に支払うという私の役割も大切なんだと思うようになりました。単なる業務ではなく、その先が見えるようになったことは、とても大きな変化だったと思います」と沖さんは話してくれた。

経理とはまったく畑違いのプロジェクトが、社内全体を見渡せるチャンスに

2014年に課長に昇格。「率直にとてもうれしかったです」と当時を振り返るが、入社以来14年間、経理一筋だった沖さんが、販売管理システムの変更という畑違いのプロジェクトのリーダーに任命されたときは、とても悩んだそうだ。
同年に就任した社長の大久保恵身氏が策定した中期経営計画は、これまでの年功序列型の人事制度の撤廃や、働き方改革、女性活躍推進などドラスティックな改革(企業記事はこちら→)だった。その一環として、新しい業務フローを構築し、それに合わせてシステムも一新するというプロジェクトのリーダーだったそうだ。


DSCF3785.png「これまで経理以外の経験がなく、業務の理解度が浅くて、営業や物流など、他部署とのコミュニケーションも大変でした。当時は、分からないことを素直に聞けなかったりもして、うまくいかないことばかり。相談もできず、辛かったです」。

暗中模索の日々が続いたが、新しく着任した管理部長に相談できるようになり、適宜アドバイスやサポートをもらいながら、ようやくプロジェクトも完了間近だそうだ。

こうして、部署の枠を越えて社内の人脈も広がり、管理職として、部下から悩みを相談されることも増えていった。課長時代に人事責任者を任されたこともあり、「人事に力を入れたい」と、人を育てることに関心を持つようになったそうだ。

人を育てる喜びと難しさを日々感じながら

2018年からは、総務人事担当部長として、採用や従業員の面談など、社内外で会社の顔としての役割を担う沖さん。同年には、「採用活動を行う中で、キャリアということを自分がもっと深く理解した上で、仕事をしたい」と考えるようになり、国家資格であるキャリアコンサルタントの資格を取得した。

2020年には、管理部長と沖さんの2名で、初の試みとなる部門長を含めた全従業員との個人面談を行った。従業員一人一人と向き合ったことで、これまで見えなかった個人の思いや、課題があぶりだされたと感じているそうだ。「相手の思いを、その人の立場になって理解するのはとても難しいですが、悩みを整理し、道筋をつけるお手伝いという意味で、キャリアコンサルタントの資格が生きたと感じました」。

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現在、 三鬼化成では、女性管理職比率30%という目標を掲げている。女性管理職の育成について、「当社は、営業事務を長年やっている女性従業員が多いですが、能力はあっても管理職を躊躇したり、ロールモデルがおらず、不安に思う者も少なくありません。一方的に押し付けることはできませんから、本人の意志を大切にしたいとも考えています。適性を見極め、所属の部門長や本人との面談を続けて、『フォローするから安心してね』と背中を押すことが私の役割だと考えています」と話してくれた。また、部長として部門長会議に出席し、経営幹部の一人として、会社のこれからを考える立場となったため、会社の考えをみんなに伝えることも、沖さんの役割だそうだ。

最後に、後進に向けてのメッセージを聞くと、「一度勤めたら、最後まで勤めてほしい。嫌なことから逃げず、継続することが大事だと思います。長い会社員生活の中で、思うようにいかない時期もあると思いますが、会社は必ず変わりますし、時代に合わせて変わらなくてはいけないと思っています。それを楽しみに待っていてほしい」と温かい笑顔で話してくれた。