女性活躍事例一覧

「子育て中の女性を店長に据え、働き方改革と女性活躍推進を一気に実現」

株式会社ジェイ・スマイル

  • 卸売業・小売業
  • 広島市
  • 31〜100
  • 方針・取組体制
  • 管理職のマネジメント
認定マーク
法人名 株式会社ジェイ・スマイル
所在地 広島市安佐北区落合南2-32-33(本社)
URL
業務内容 業務内容 コンビニエンスストアを2店舗運営し、店舗のみならずネットコンビニも展開。2021年1月には、新たな事業として、高齢者などの「買い物難民」を支援するため、移動販売事業(『セブンあんしんお届け便』。以下、移動販売)をスタート。
従業員数 32名
女性従業員比率 68.8%
女性管理職比率 100%(店長職)

(2021年2月現在)

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  • 経営者視点ではなく、働く従業員視点で働きやすい環境を整備し、定着率がアップ
  • 目が届く規模である強みを生かして、密にコミュニケーションを取り、WIN-WINの関係づくり
  • 子育て中の女性を店長に抜擢し、働き方改革を推進。誰にとっても働きやすい職場を実現

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1.経営者視点ではなく、働く従業員視点で働きやすい環境を整備し、定着率がアップ

 広島市安佐北区で、セブン-イレブン2店舗を運営する株式会社ジェイ・スマイル。代表取締役社長・松下仁氏(以下、松下社長)は、2002年に広島上深川店を開業し、その後、2009年に同店が移転して広島落合2丁目店となり、2011年には広島落合1丁目店を開業した。現在は、2店舗とも、全体の来店客数の7割超を常連客が占めているそうで、長く地域に愛される店を目指している。

「いわゆる脱サラでコンビニを始めたのですが、サラリーマンだった頃は、『休みが取れない』『働きに見合う給料がもらえていない』など、さまざまな不満がありました。しかし、いざ経営者になると、店を回すことで精いっぱいで、従業員の働き方ややりがいのことまで考える余裕がなかった」と、開業当時を振り返る。

「店を回すため、例えば、17時までしか働けない主婦の方に無理を言い、1時間残業をお願いしたり、早朝から勤務してくれていた学生アルバイトに、8時半までのところを9時まで残業してもらったりといったことも日常茶飯事。当時は『オーナーの言うことに従って当然』とおごっていた気持ちもあり、そうした積み重ねで従業員の退職が続いてしまいました。人が定着せず、いつも忙しいという悪循環でした。このままではいけないと感じつつ、変わらない状況がしばらく続きました」。

当時は、短時間勤務で勤務日数も少ないアルバイトを中心に約40名でシフトを組んでいたそうだ。教育も不十分で業務が身に付かず、いつまでもできない状況が苦痛になり、仕事に慣れる前に辞めてしまうことも多かったのだそう。
「常連のお客様には、来店時間が決まっている方も多く、コミュニケーションを増やすためにもスタッフの定着率を上げることは非常に重要でした。最終的には売上にも直結する課題でした」。

2011年に2店舗目を出店し、ますます労務管理が喫緊の課題となる中で、「従業員にとって働くことは、生活を豊かにするための手段。従業員の幸せのためにできることをやろうと決め、少しずつ取り組み始めました。2015年には、個人事業主から法人化し、社会保険を整備したり、本部から提供される勤怠管理システムを活用して1分単位で給与を支給する仕組みを導入するなど、従業員がより安心して働けるようにしました。就業規則も、本部のものをベースに、社会保険労務士の先生や従業員と相談しながら当社に合ったものとし、従業員にとって働きやすい環境を整えていった結果、自然と定着率が上がりました」。

2.目が届く規模である強みを生かして、密にコミュニケーションを取り、WIN-WINの関係づくり

 正社員やスタッフとのコミュニケーションをとても大事にしている松下社長。その理由について、こう話してくれた。「当社は小さな組織です。せっかく目の届くところに従業員がいるのであれば、そのメリットを生かそう。たくさん話をして個別の事情も理解した上で、一人ひとりに合った働き方を実現したいと思いました」。

また、アルバイトやパート従業員を信頼し、一定程度の役割を与えて成長を促す取組も意識的に進めたそう。
「アルバイトもパート従業員も、社員が常に店舗にいると、何となく監視されているような気持ちになって動きづらい。あえて社員がいない時間をつくり、スタッフに店を任せてみると、一定の裁量と責任を与えたことで、働く側に自覚が生まれました。すると、だんだん仕事が楽しくなってきたのか、自身の仕事の仕方を工夫したり、お客様と積極的にコミュニケーションをとるように変化しました」。

制度を整え、従業員が自身にマッチする働き方を選択できるようになったことで従業員が定着。経験を積み、従業員が育つと、店舗運営は軌道に乗り、収益力が高まるという、組織にとっても従業員にとってもWIN-WINの好循環が生まれたそうだ。

3.子育て中の女性を店長に抜擢し、働き方改革を推進。誰にとっても働きやすい職場を実現

 現在、2店舗の店長はともに女性で、広島落合1丁目店で店長を務める植田里美さん(以下、植田さん)は、パート従業員から正社員に登用され、2人の子供を育てながら店長業務をこなしている(植田さんの記事はこちら→)。
「どちらの女性店長も、接客や売り場の整理整頓など、とてもきめ細かく、さまざまな年齢やバックグラウンドを持つアルバイトやパート従業員とも密にコミュニケーションを取り、適宜フォローしてくれるおかげで、離職率がさらに下がりました。また、売上を上げるための施策も、スタッフに裁量を与えて任せ、店長は裏方にまわることで、みんなが楽しく仕事ができるようにサポートしています。このようにチームで店舗を運営するやり方で、売上も収益も伸び続けています」。

「24時間営業のコンビニで、女性が店長を務めるのは無理」という業界の常識を覆し、女性を店長に抜擢した理由について、松下社長は次のように語る。
「『店長=大変』という構図は、多くのコンビニが、これまでのやり方を変えられないからだと考えています。社長トリミングDSCF5914.jpg当社は、『働き方改革』と『女性活躍』を両輪で回した結果、働き方に制限のある女性でも、店長ができる体制を実現しました。今後、ライフイベントを迎える女性従業員のロールモデルとなってくれたらと思います。女性が店長として活躍できる店は、誰にとっても働きやすい店といえるのではないでしょうか」。
今後は、パート従業員や大学生アルバイト、正社員といった雇用形態別に「働き方改革委員会」をつくり、さらなる働きやすさを模索する取組も始めるそうだ。

最後に、松下社長に今後の目標について聞いた。
「2021年1月から、新規事業として移動販売を始めました。当社は、地元のお客様に支えられていて、従業員も地元の方ばかりです。これまで築いてきたお客様とのつながりを生かし、パートの方に移動販売を任せるなどしていきたいと考えています。地域に貢献し、『この店は違う!』という差別化を図っていきたい。働く女性も増え、地域の高齢化も進む中で、店舗ありきの販売スタイルから、ネットコンビニや移動販売など、収益の柱を増やすことは、経営的な面から見ても非常に重要です」。

取材担当者からの一言

 コンビニエンスストア業界の慣例を覆し、さまざまなチャレンジを続けている同社。自身の経験と反省をもとに働き方改革に取り組み、人材の定着を実現し、誰もが働きやすい職場づくりを成功させた結果、女性活躍も実現できたようだ。働き方に制限のある子育て中の女性を店長に抜擢し、チームを重視する店舗運営で収益力を高めた。さらに、新しい事業にも果敢にチャレンジし、組織も従業員も成長を目指している。女性活躍の土台として「働き方改革」が重要であることなど、業種にかかわらず学ぶ要素が多い。今後、同社が業界に与えるインパクトがとても楽しみだ。

●取材日 2021年2月
●取材ご対応者
代表取締役社長 松下 仁氏